Neetel Inside 文芸新都
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玉石混交のショートショート集
青い電車(作:fu)

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☆青い電車(作:fu)


 久方振りの晴間が覗いた土曜日に、青い電車は揺られて行きます。
 電車の進行方向から左側の窓の外には、アヒルのボートがたくさん浮かんでいる湖がありました。そして右側の窓からは、所狭しと咲き誇る、満開の梅の花が見えました。梅林はどこまで続いているのでしょう、なかなか終わりに至りません。
 休日だからか、乗客はかなり多く、車内の座席は全て埋まっている程です。電車の中なので、皆何かしら考え事をしています――




 梅林の華やかな光景を見つめながら、20歳の若い予備校生はこう思っていました。
 ――ああ、しまった。
 今日が晴れだと分かっていたなら……気象予報士がもっとマトモに仕事をしていれば……
 今日のデートは映画館なんかじゃなくって、梅まつりにしたのに……
 ああ、失敗したなぁ……

 陽の光が反射する水面をぼんやりと見つめながら、30歳のOLはこう思っていました。
 ――まったく、ヒマな人が多いもんだ。
 いや……だけど今日は土曜日だ。しかもこんな良い天気。人が多くて当たり前?
 世間がおかしいのか? それとも……
 …あたしがおかしいのか……?
 …あたし、なんだろう……おかしいのか……?

 梅林を談笑しながら歩いている男女を睨みつけながら、42歳の電気工はこう思っていました。
 ――死ね、あいつら死ね。
 脱線しろ、この電車。
 あいつら巻き込んで、俺も殺してくれ。
 どうせあと十年後に、生きていられる自信もねェんだ。
 仕事もねェのに、どうやって……

 青空を見上げながら、23歳の冴えない男はうとうとしながらこう思っていました。
 ――輪廻転生に従えば、俺の次の生は人間ではないハズだ。
 俺は鳥になりたい。
 鳥に、なりたい、なぁ……
 だって、空飛べたらキモチよくね?
 なぁ……たぶん……セッ……より……
 キモチ……

 窓の外など目もくれず、車内をキョロキョロ見回しながら、5歳の男の子はこう思っていました。
 ――415。
 モハクモハクハサハ。
 モハクモハクハサハ。
 モハクモハクハサハ。

 息子の電車好きに辟易しながら、24歳の母親はこう思っていました。
 ――ヤダヤダ。
 なんか、鉄オタ? だっけ?
 将来、あんな風になったらって考えっと……ヤダよう、そんなの。
 やっぱアレだ、コイツは電車から遠ざけないとダメだなあ。
 なんかスポーツやらせなきゃ。なんか……
 …野球とか。高校でー、佑ちゃんみたいになってー。モテまくってー。プロ入ってー。
 女子アナをヨメに連れてくるー。
 …女子アナに「おかあさん」って呼ばれてみたいわ……




 様々な人の完結しない思いを乗せて、青い電車は揺られて行きます。
 常磐線、上り列車。
 終点上野まではあと2時間――

     




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「青い電車」採点・寸評
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1.文章力
 40点

2.発想力
 30点

3. 推薦度
 20点

4.寸評
 すいません自分が馬鹿なのか意味が分からなかったです。取りあえず自分には電車に乗っている人の関連性のない愚痴が6本並んでいるようにしか見えなかった。またオチもなく病んだ内容なので、採点はそれを反映しています。
 裏に深い意味があるなら頭の良い人、教えてください。ただし「一般読者」が対象である企画なので採点は変えませんけど。

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1.文章力 70点
2.発想力 50点
3.推薦度 70点
4.寸評
 ポエムのような穏やかの中に映る人々の人間らしい感情の数々は、とても現実的なものであり、それはよくある光景の一コマとして非常に良く描かれています。前述のように小説というカテゴリにはそぐわない形式でありますが、その発想となんとも言えぬ読後感は好きです。

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1.文章力 75点
2.発想力 60点
3.推薦度 60点
4.寸評

 電車に乗っている様々な人間の心象描写を描き出すという作品。文章の地力があるのが分かり、サクサクと読める。
 登場人物の人間性が伝わってくる描写力はかなりのものだと思うのだが、その内容には統一性がなく、物語性もなく、話自体にオチもない。
 統一されていない部分がこの作品の売りでもあると思うのだが、それが逆に、この作品を読んだ後に残るものをなくす結果にしてしまっている。
 雑然とされすぎていて、作者が何を書きたかったのかが分からない。むしろ、思いついたものを並べ立てただけにも見える。
 文章力のある作者だと思うので、次は「一つの物語」を書いてみてほしいと感じた。

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1.文章力 30
2.発想力 30
3. 推薦度 70
4.寸評
 これは気持ちいい。何事もないけれど、だからそれがいい。
 とっても好きな雰囲気です。

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1.文章力 60点
2.発想力 30点
3.推薦度 40点
4.寸評

文章はとても読みやすいですが、心に引っかかるものが少ないです。
一つの電車に乗り合わせた人々の思いをそれぞれ描くという物語構造は面白いですが、そこからの発展なり飛躍が無いのが残念でした。
ショートショートというには人物も物語りも物足りないです。

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1.文章力 (70)

2.発想力 (50)

3. 推薦度 (60)

4.寸評 
ステレオタイプの人間を大勢乗せた列車が上野に向かって、ただ走っています。乗客全員が下らない春色の夢想の中に居て、春眠のような気だるい雰囲気が漂います。
さらさら読めて読後感も良い、佳作といったところでしょうか。
雰囲気が良く、情景の描写も上手いので、もう少しその辺りを細かく書けば良かったと思います。
オチは、あったんでしょうか。

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各平均点
1.文章力 55点

2.発想力 40点

3. 推薦度 52点

合計平均点 147点

       

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