第三話 「作ろうか!」
僕たちは、暗く沈んでいた。
「はぁー、野球部が無いなんて・・・どうしようか啓君・・・」
「う~ん、どうしたもんやら・・・・。」
浩介君は何かを真剣な顔で考えていた。
「ほんま、どないしようかねー。考えてもしゃあないな。よし、新羅、校庭でキャッチボールでもしよか!」
シゲ君が僕にこういって校庭に連れ出された。そこで僕達は思いもよらぬ光景を目の当たりにした。
「こっちやでー新羅。はよせー。」
「待ってよーシゲ君~。」
僕たちが走っていると、先に走っていたシゲ君が急に止まった。
そこでお決まりの、「イタイ」僕はシゲ君にぶつかって転んだ。シゲ君はびくともしなかった。
「なにしてんやろ、あいつら。・・・よし、いってみよか。」
「え、ちょ、ちょ、ちょっと待ってよー」
校庭に出て僕が目にしたものは・・・6人の男たちが何かを投げたり、捕ったりしているように見えた。
近くによっていくと、はっきり見えた。彼らはキャッチボールをしていた。
「何見てるの?やりたいのか?」
一人の男が僕に優しく声をかけた。
「え、あ、あ、あの野球部の方ですか?」
僕がそう聞くとその人は優しくこういった。
「この高校には、野球部が無いんだってさ。だから、作ろうと思って!」
つくる、作る、彼はそういった。そうだ、無いなら作ればよかったんだー。この人優しいし頭いいなー。
「おい、隆明なにしてんだ~。早く、次のメニューやろうぜ。」
後ろからノリの軽そうな男が話しかけてきた。それに乗じてキャッチボールをしていた全員が僕の方によってきた。その中にはさっき僕の胸倉をつかんだ怖い人と、助けてくれた優しい人もいた。
「お前さっきの小さいの。なにしに来たんだよ。」
相変わらず怖い口調で僕に話しかけてきた。
「え、いや、あの、その、・・・さっきはごめんなさい!」
「・・・俺は~さっきの事謝れなんていってなーい。なにしにきたかきいているんだ。」
「おい了、そんなに怒るなよ。可哀相だろ。」
また僕は、この優しい人に助けられた
そして、後の二人が僕のそばに寄っていた。一人は明るくて気のよさそうな人、もう一人は、無表情で何考えているのか解らない人だった。
「お前も、野球をやるのか?」
無表情で何考えているのか解らない人が僕にそう尋ねた。と同時にもう一人の人が、
「君さ、ポジションどこ希望するの。」
同時に聞かれて僕は最初に聞かれた質問と同時に答えた。
「はい・・やります。ポジションは、ピッチャーを希望しています。」
するとノリの軽そうな男が、
「お前もか?」
と僕に尋ねてきた。この人も僕と同じくピッチャ-をしたいんだ~などと感心していた。
「お前、中学でもピッチャーしてたのか?どっち利き?名前は?」
「え、あの、その、えっと・・・」
「裕也、そんなにいっぺんに聞いても答えられるわけねーだろ。まず、こっちが自己紹介しなくちゃな。」
彼のおかげで何とかなったー
「俺は、鈴木隆明(すずき たかあき)希望ポジションはレフト。よろしくな。」
次に無表情な人が、
「不破大地(ふわ だいち)希望ポジション、キャッチャー」
この人挨拶にもやる気なー。さっきの気のいい人だ
「俺、弓沢徹(ゆみさわ とおる)ポジはセカンド希望、よろしく。」
怖い人が、
「俺は、野上了(のがみ りょう)だ。希望ポジション、ショート」
助けてくれた人が、
「真田一(さなだ はじめ)サード希望。よろしくな。」
僕と同じポジションの人が、
「丘谷裕也(おかや ゆうや)希望は背番号1でピッチャー」
この人いきなり背番号1ってすごいこと言うな~感心した。
「僕は、新羅将(しんら しょう)です。希望ポジションはピッチャーです。」
一通り自己紹介が終わった時にシゲ君と浩介君達が来た。なんで、僕より先に行ったシゲ君のほうが遅いんだろ?まあいいや。
「新羅~なにしてんだ?てか、こいつら、誰?」
「あっていきなりこいつらとは、貴様にそんな風に呼ばれる筋合いは無い!」
不破君が浩介君に対して怒った。
「・・・悪かった。でなにしてんですか?」
すると鈴木君が、
「野球の練習。一緒にやる?」
「まてよ、この高校には野球が無いんだろ。」
「だったら、作れば良いんじゃないのか。」
弓沢君がいった。
「・・・俺は、坂口浩介。」
「希望するポジションはどこだ?」
不破君に尋ねられて、
「ライト」
「そこの、でかいのと、長髪+金髪は?」
「俺は、センターや。ついでに、名前は、佐藤茂樹や。よろしゅう。」
「僕は、八田啓介。ピッチャーを希望します。」
みんなの自己紹介が終わってみんながそれぞれの人の顔を見ていたときに
急に、僕より少しばかり背の高い男が走ってきた
「お~い。あんたら、野球部の人か?」
真田君が、
「この高校野球部無いって。だから、俺らで作るの。」
「そうなのかー、なら俺も入部して良いよな。」
隆明君が
「もちろん、名前と希望ポジション教えてくれるか?」
「俺は、風間一樹(かざま かずき)。希望ポジは、センターかファースト。よろしくな。」
この後、もう一度みんなで自己紹介をしてキャッチボールをした。
これから、このチームで野球をする。なんだかそれが、楽しみになってきた。