僕はゴミ捨て場でミイラを見つける。
雨風にさらされてボロボロになってしまっているけれど
その骨格から犬か猫のものだと僕は判断する。
ミイラの首には黒ずんで擦り切れた首輪がつけられていて
そこには生前の彼、もしくは彼女の名前が彫られていた。
彫られた文字を見て僕は少し驚く。
行方不明の従姉とまったく同じ名前が彫られていたのだ。
「犬や猫にこんな名前をつけるなんてまともな飼い主じゃないな。
まあ、こんな所にミイラ化したペットを捨ててる時点であれだけど」
ミイラに少し同情しながら僕はそう思う。
よく見るとミイラの前足には従姉がいつもはめていた指輪がくっついていた。
僕はそれに気づかないふりをして足早に家に帰る。