僕は山羊を連れた老婆からリンゴを買う。
山羊の角にはたくさんのリンゴがなっていて
山羊が小難しそうに首を傾げるたび鈴のように揺れる。
老婆は山羊の角から真っ赤なリンゴをもいで僕に渡してくれる。
僕はそれをズボンで軽く擦って口をつける。
「美味しい」
とびきり甘くみずみずしいリンゴに僕は思わずそうつぶやいてしまう。
老婆はそれを聞くと満足げに頷く。
「今年は良い紙が作れましたから」
そう言って彼女は綿菓子のように白い薄紙を山羊に食べさせる。