Neetel Inside 文芸新都
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まっしろなせかい

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 男が気付いた時にはすでに雪を掻き分け、真っ直ぐに進んでいました。
 男は、何故僕は雪を掻き分けて進んでるんだろう?、と、思いましたが、全く分かりません。
 確かな事は、手に持つスコップと衣服以外には何も持っていない事でした。


 雪を掻き分けながらしばらく進んでいくと、雪の上に疲れた顔をした男が立っていました。
 男は雪を掻き分けるのを止めて尋ねました。
「どうかしたんですか?」
 すると疲れた顔をした男は答えました。
「ここまではなんとか来たけれど、雪を手で掻き分けながら進むのに疲れてしまったのです」
 そして、疲れた顔をした男はこう続けました。
「もしよければ、このマッチ棒のニ本入ったマッチ箱と君の持っているスコップを交換してもらえないかな?」
 男は少しばかり考えて、スコップとマッチ箱を交換してあげる事にしました。
 すると疲れた顔の男は、
「ありがとう、これでやっと進めるよ」
 と、言い残し、スコップで雪を掻き分けながらどこかに行ってしました。


 スコップを失った男は手で雪を掻き分けながら少しずつ、少しずつ、進みました。
 しばらくすると、立派な煙突のある家に着きました。
 コンコン、と、ドアを叩いても返事はありません。
 男はいけない事だと思いながらも、家の中に入りました。
 家の中は風は凌げるものの、酷く寒かったので男は少しがっかりしました。
 ふと見ると大きな暖炉があり、薪もくべてあります。
 男はポケットからマッチ箱を取り出し、薪に火をつけて暖をとりました。


 薪もすっかり燃え尽きて、家の中が少し寒くなり始めたので、男は家を出て先に進む事にしました。
 手で雪を少しずつ少しずつ掻き分けて進みました。
 しばらくすると男は疲れて立ち止まってしまいました。
 そのまま立ち止まっていると、ザクッ、ザクッ、と、何かを掘る音が聴こえてきます。
 男が音のする方を向くと、真っ白な雪の中をスコップで雪を掻き分けながら進んでくる男が見えました。
 雪を掻き分けながら進んできた男は立ち止まっている男を見つけると、
「どうしたんですか?」
 と、声をかけてきました。
 立ち止まっている男は答えます。
「ここまではなんとか来たけれど、雪を手で掻き分けながら進むのに疲れてしまったのです」
 そしてポケットからマッチ箱を取り出して言いました。
「もしよければ、このマッチ棒の一本入ったマッチ箱と君の持っているスコップを交換してもらえないかな?」

       

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