「一枚絵文章化企画」会場
「チョコレート・タコス」 七靴
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『チョコレート・タコス』
絵いんか さく七靴
街の小道に壁たかく、開けはなした空から、
うす青じょうずに垂れ落ちてくる。
ひやひやになった星のボディに汗、
右手にかんきつのペットボトルをあけ、
喉に刻印しながら流しこむ。
「ああ!あのレンガ!
…風のはためき。」
今はぐちゃぐちゃになった背中で、
健気にはりついた毛糸の爆弾を処理させている。
くろいジグサグをなんども縫いつけられて、
まだ痙攣したての、あたたかな匂みを嗅いでいる。
―8月のはじめの日、チョコレート・タコスの絵を描いていた。
多いかぶさった暗赤色のなかに、具としておさまったそいつを
引っ張り出す自分を想像しながら、チョークくさい右手を動かすたびに
びょう線は目の前で揺れ、白い花粉もまた鼻にこびりつく。
「やおら!」…と腰を踊らせたタコスが、不思議な布を持ち上げるたび、
なかのものみんな重力を裏切って頭上をかすめる。
あとは、ねこそぎ落ちてくる。
-- fin --
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ chocolate tacos