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「チョコレート・タコス」 七靴

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☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


『チョコレート・タコス』

         絵いんか  さく七靴



街の小道に壁たかく、開けはなした空から、
うす青じょうずに垂れ落ちてくる。



ひやひやになった星のボディに汗、
右手にかんきつのペットボトルをあけ、
喉に刻印しながら流しこむ。


「ああ!あのレンガ!
…風のはためき。」



今はぐちゃぐちゃになった背中で、
健気にはりついた毛糸の爆弾を処理させている。
くろいジグサグをなんども縫いつけられて、
まだ痙攣したての、あたたかな匂みを嗅いでいる。




―8月のはじめの日、チョコレート・タコスの絵を描いていた。
多いかぶさった暗赤色のなかに、具としておさまったそいつを
引っ張り出す自分を想像しながら、チョークくさい右手を動かすたびに
びょう線は目の前で揺れ、白い花粉もまた鼻にこびりつく。
「やおら!」…と腰を踊らせたタコスが、不思議な布を持ち上げるたび、
なかのものみんな重力を裏切って頭上をかすめる。


あとは、ねこそぎ落ちてくる。



     -- fin --




☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ chocolate tacos

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