Neetel Inside 文芸新都
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ある日の日
帰国

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すると、リビングから誰かが出て来た。
「おかえり~兄さん」
出て来たのは、母と海外に行っていた妹の美夏だった。
すこし、身長が高くなり髪を左にまとめるサイドポニーテールにして大人っぽくなっていた。
「お帰りなさいませ史樹様」
「おかえり~」
少し遅れてユミとエミがやって来た。
「たっただいま~」
目の前の美夏に、どう対処すればいいのかおどおどする。
「ねぇ~兄さん私の名前分かる?」
史樹の顔を覗き込むように、不安そうな顔して聞いてきた。
額を軽く指で擦りながら考える。
そして、ゆっくり口が動き始める。
「美・・・夏?」
史樹の口から出てきた言葉に三人は、驚いた。
ユミとエミのことは分からなかったのに、美夏の名前が分かったからだ。
美夏の表情を見ていた史樹が。
「あれ?違ってた?」
徐々に美夏の目が涙目になり始め。
「違ってないよ・・・美夏だよ。妹の美夏だよ。よかった・・・覚えてた」
美夏は、思いっきり史樹に抱きついた。
「よかったね美夏ちゃん」
にっこりしながら、美夏の隣に移動し頭を撫でるエミ。
「うん!本当によかった」
だけど、ユミは下を向いていて。
「美夏ちゃんは、覚えていても私やエミの事は忘れているなんて・・・」
下を向いているユミを史樹が見ていた。


キッチンでエミと美夏が夕食の準備している。
史樹とユミは、ソファーで隣同士で座って待っている。
「美夏ちゃんには、いなかった間のことをすべて話しました」
「あっそうなんですか・・・ってことは」
「もちろん、記憶喪失のことも」
「ですよね~」
「聞いてもいいですか?」
「なんです?」
ユミの方を見る。
「美夏ちゃんこと本当に覚えてるんですか?」
腕を組む。
「ぼんやりって感じ、はっきり覚えてるわけじゃない」
「そう、何ですか・・・」
後ろを向く史樹。
「エミさん、今日は何ですか?」
声に反応し振り返り。
「内緒!」
「なっ何故内緒・・・」
苦笑いをする史樹。隣に座っているユミを見て。
「あっそうそうユミさん僕学校行く事にしました」
「えっ、しかし記憶が戻ってないのに」
「大丈夫だってユミさんも同じクラスなんでしょう?」
「そうですけど・・・」
「そんなに信用できないですか?」
史樹の顔を見るユミ。
「そうじゃないんです!ただ、記憶を失ってるアナタが心配なのです!」
ユミの顔を見ていた史樹は、ユミが本気で自分の事を心配してくれていると顔を見て思った。
史樹は、ゆっくり右手でユミの頭を自分の胸に引き寄せる。
「史樹様・・・」
顔が赤くなるユミ。ユミの耳元で囁く。
「ありがとう、心配してくれてでも、大丈夫だから」
「しっ史樹様がそこまで言うのなら・・・分かりました」
「ありがとう」
ユミから離れる。
「でも、明日は休日で休みですよ」
「あっ!そっかじゃあ明日も病院に行ってきます」
「小橋さんですね分かりました」
自然と見つめ合う二人。
「な~に、見つめ合ったりなんかしちゃってるのかな~お二人さん」
二人の後ろに調理器具のおたまを持って微笑みながらでも、目がとても怖いエミが立っていた。
慌てて目線を外す二人。
「まぁいいや、ご飯出来たから食べよ」
「うん、そうだね」
立ち上がる史樹。
「ユミさん」
まだ、座っているユミに手を差し伸べる。史樹の手を右手で掴み立ち上がる。
「はい、史樹様」
ユミの顔に久々に笑顔になった。

       

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