Neetel Inside 文芸新都
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ある日の日
記憶の復活

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春美とキスを交わした史樹。それは、感謝の気持ちと別れがこもったものだった。
お互い離れた時だった。
史樹は、自分の後ろに気配を感じ振り向くと。
金髪の女性が立っていた。
彼女を見た瞬間。
「あ、頭が・・・」
膝をついて片手で頭を押さえもう一度、女性を見る。
「・・・ル・・・カさん?」
倒れてしまう史樹。
金髪の女性は、春美の隣に行く。
春美は。
「あなたがルカさん?」
「そう、何故私のことを?」
「ずっと史樹の隣にいましたから」
「そう」
二人は、倒れた史樹に近づいて。
「史樹?私は、これからも彼方のすぐ隣にいるからね」
すると、春美の体が光の粒子になって史樹の体と一体になった。
「史樹君」
残ったルカは、しゃがんで史樹の首に掛けてあった丸い玉を握って。
「私は、いつでもこの中にいるからね」
ルカも春美と同じように粒子になって丸い玉と一体になった。



時計の針は、深夜の2時を指していた。
史樹が倒れてから10時間以上が経っていた。
学校が終わってから直輝たちが来たが史樹は、目を開けることがなかった。
病院の面会時間が過ぎてもユミとエミは帰ろうとしなかった。
ユミとエミは、史樹を挟むように座り史樹が目を覚ますのを待っていた。
「ここは・・・」
史樹の目が開き周りを見渡す。
「史樹様?」
史樹に声をかけるユミ。
「史樹?」
エミも声をかける。史樹は、二人の顔を見て。
「よう・・・二人とも」
軽く笑う史樹。
史樹の声を聞いたユミの目から涙が出そうになる。
「よかった・・・本当に良かったです」
エミは、ユミの隣に行き頭を撫でる。
史樹は、フラフラだがゆっくり起き上がる。
「俺が記憶喪失になってる間に色々とあったみたいだな・・・」
「え?」
驚く二人。
「史樹・・・自分が記憶喪失になってたこと覚えてるの?」
「・・・あぁ。ちゃんと覚えてる」
ユミの頬に手を当てる。
「色々と迷惑かけたな・・・」
史樹の手を自分の手で重ね目を閉じるユミ。
「いいえ、記憶が戻って本当によかったです」
「エミもすまなかったな・・・」
エミの顔を見る史樹。
「全然大丈夫」

長い月日を経て史樹の記憶が戻った。
これから先ユミやエミ美夏そして、直輝たちと楽しく過ごそうと史樹は、心の中で誓った。

記憶が戻った日。史樹は、病院から家に帰り二日間学校を休むことにした。
二日後。
史樹は、ユミと美夏と共に学校へ登校した。
教室に着くと直輝が窓の外を見ていた。
カバンを置いた史樹は、直輝の背中を叩いた。
振り返る直輝。
「うぉ!もう大丈夫なのか?」
「あぁ、大丈夫」
「・・・そうか」
なんだか元気がない直輝。
「どうした?・・・あれ」
周りを見渡す史樹。
「なぁ?ラ―スは?」
「そっか・・・お前は、知らなかったんだな」
「どう言うこと?」
「実は、ラ―ス・・・海外に留学することになったんだ」
「うそ!」
「嘘じゃない・・・」
直輝は、また窓の外を見て空に目をやる。
「今日、行くんだってよ」
「そうか、妹さんは?」
「妹もだ、兄貴がいないと寂しいから私も行くって言ったらしい」
「凄いな~でも、今行かなくても・・・」
直輝の隣に並び同じように空を見る。
「あいつなりに色々考えたんじゃね?」
「そうだな」
そこに担任が入って来た。
席に着く生徒たち。席に着くとユミの前の席が寂しかった。
すると、史樹の携帯が振動した。
メールが来た。
ラ―スからだった。メールの文は、一言だった。
『 ラ―ス
    
    $がんばれ!前を向いて歩け!』
メールを読み携帯を閉じ。

――あぁ、歩くよ。

       

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