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太陽の言葉、月の言葉
Act4. 終章 旅の始まり、そして終わり

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Act4. 終章 旅の始まり、そして終わり

 リースとぼくはとりあえず、火のそばに座って話をすることにした。
「あの、改めて……
 ぼくはルーク。ルーク・アルジャーノです。
 リース……て呼んでいいかな」
「ええ、もちろん。
 わたしも、ルークって呼んでいいかしら」
「よろこんで!!
 ぼくはずっと、きみを探してたんだ。
 あのときのお礼が言いたくて」
「え……?」
「覚えてない?
 まだぼくが小さい頃、崖から落ちたところを、きみに助けてもらったんだよ」
「…………
 ごめんなさい、とても言いにくいんだけどそれ、わたしじゃないかも知れない」
「え」
「わたし、何度か人を助けたことあるけど、崖からおちた男の子を助けたことはないの」
「あ………
 ひとちがい……」
「ごめんなさい。
 でも大丈夫、きっと会えるわ。
 わたし、あなたを手伝う。
 あなたは、わたしの恩人だから……
 あなたが、あなたの恩人に恩返しをできるように、あなたのお手伝いをしたいの。
 いいかしら?」
「いいの?!」
「うん。
 強盗団としてのクランベルキャラバンは壊滅しちゃったし。
 今回のことであいつも少しは懲りたでしょ。
 もう会いたくなんかないけど、また会ったらそのときには……
 そのときまでに強くなっておいて、とっちめてやるんだから。
 だからいいの。今は、あなたと行きたいから」
「うれしい。こちらこそお願いするよ!!
 実はぼく、これから旅も続くことになったし、ナガルさんたちの志にも共感してるし、正式にこのキャラバンに加えてもらえないかってお願いしてみようと思ってるんだ」
「賛成! わたしもそうしたいと思っていたの。
 さっそくお願いしに行きましょう!」

 そうしてぼくたちは、いっしょにナガルさんのもとにいった。
 ナガルさんはサラさんと一緒にお茶を飲んでいた。
 しかしぼくたちを見ると、にこにこしながらぼくたちの分のお茶を入れてくれた。

「そうか。
 お前たちなら歓迎だ。
 あらためてよろしく頼む」
 はたしてナガルさんは、二つ返事でうなずいてくれた。
 ぼくと、そしてリースとしっかりと握手してくれた。
「しかし惜しいな。俺たちもてっきりこれは運命の再会だーって思い込んでたのにな」
「はい…。
 女の子でしたら、助けたことあるんです。
 帽子を取ろうとして、崖から海に落ちた子。
 ルークと同じ、珈琲色の髪と目の……
 でもそれは女の子のはずです。
 あの子の空色のハンチング、白いハートのワンポイントがついてて、すっごく可愛かったですし」
 ぼくとナガルさん、サラさんは顔を見合わせた。
「えーと、それってこれみたいなのかな……?」
 そしてぼくは、ポケットからあのハンチング帽を取り出した。
 空色のハンチング。ぼくがはじめてつけた、白いカモメのワンポイントが特徴だ。
 それを手にとるとリースは、驚いた声を上げた。
「え………… ええ! これよ!!
 このちょっと平たいハートのワンポイント。
 どうしてこれをルークが??」
 ぼくたちはもれなく絶句した。


~おしまい~

       

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