Neetel Inside 文芸新都
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私とお酒の日々
2010/05/22/1:24(土)「黒ビールのススメ」

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 こんばんは。
 千世子です。
 
 
 本日(金曜日の話です)……ようやく、先週から続いていた修羅場を抜けました。
 結局今週もほぼ終電帰り。それが、やっと、本日っ、終わったのです! 私や山崎くん、桐子さん、その他何人か、終盤はフラフラになりながらも無事、生き抜くことができました……
 
「千代子さん、回覧板です」
「はーい」
 
 山崎くんから回覧板が来ました。ここで言う回覧板とは、仕事上、目を通してほしい書類や、ちょっとしたアンケートの記入だったりと、とにかく全員に回すようなものです。
 今日の回覧板の内容は……
 
◆◆◆◆◆
 
 みんな、おつかれさま。ちょっとした打ち上げをやろう。(←要約するとこんな内容でした)
 参加するなら下に名前を記入。
 
 参加者:桐子、千世子、(省略)、山崎
 
 場所:新しくできたビアレストアン
 
◆◆◆◆◆
 
 すでに私の名前が書かれていました(汗)。桐子さんの字体でしたね、どう見ても。
 しかし、しかしです。場所のビアレストラン。前々からチェックしていたので願ったり叶ったりだったんですよねぇ~。
 夏と言えば屋上のビアガーデン。これは風物詩ですが、ビアレストランは年中いつでも楽しめるステキな場所です。そんなステキな場所が職場近くにできたなんて……イベントがあれば、何かに理由をつけて行けそうですね。
 
 定時になり、私の属する部署全員で定時ダッシュ。目指すはビアレストランです。
 お店に着くと、オープンしたばかりで混雑していましたが、予約していたようなのですんなり座れました。
 
「千世子と山崎くん、こっち!」

 ……桐子さんからご指名がありましたが、ええ、すんなり座れました。
 ひとまずドリンクを頼むことになったわけですが……ついに、この日が……黒ビールを語る日がやってきましたね! 私は普通のビールよりも黒ビールのほうが好きだったりするんですね、味に関しては。
 
 黒ビールは、日本ではマイナーな部類に入ると思います。多くの人はビール=黄色というイメージですからね。
 スタウトだのラガーだのを説明する気はありません。ここでは、なぜ黒ビールをおすすめするのかをご説明します。
 
 
◆千世子流「黒ビールのススメ」
 
 職場の人たちとの呑み会で、かつ黒ビールがメニューにあれば、私は必ず黒ビールを頼みます。
 実は黒ビールは常温で呑んでその薫り、味わいを楽しむものなのです。日本ではキンキンに冷えて出てくることがほとんどですが、おしゃべりがメインの呑み会では、冷えてておいしい、ぬるくなってもおいしい、いつでもおいしい、それが黒ビールの良さなのです。
 
 カクテル系は氷が溶け始めると台無し。
 ビールは生ぬるくなると残念。
 日本酒、焼酎などはお酒好きがバレてしまうかもしれないのでNG。
 
 ご覧の通り、黒ビールは付け入る隙がありません。
 普通のビールと違って、ちびちび呑んでもおいしさがわかる、ここもポイント。「何で注文したの?」と訊かれても「めずらしいから」で回避できるもグッド。
 
 ちょっと割高なところが難点ですが、そこはそれです。
 
◆◆◆◆
 
 
 さあ、来ました、黒ビール……が……?
 ……2つ?
 桐子さん含め、多くの人は普通のビールのジョッキ(大ジョッキの人は男前に感じます)。ちらほらとサワーの人もいます。
 
「1つは千世子の分で、えーと……」
「あ、俺です」
 
 山崎くんが頼んでいたようです。前の宴会や焼き鳥屋といい、ビール党なんでしょうか……? そして桐子さん、ニヤニヤしながら渡さないでください。
 さて……各自ドリンクが渡ったところで、かんぱーいっ!
 
 じゅるるるっ。
 
「んーんっ」
 
 思わず声が出ちゃいました(汗)。
 今、私は泡だけを呑みました。千世子流は、黒ビールは泡がおいしい! と説きましょうか。
 ビアレストランの注ぎ方は大変上手で、ふわふわとした泡なのに、ずっしりとした香ばしさ。口の中でまんべんなく泡が広がり、独特の煙臭さ(褒め言葉ですよ! 褒めてるんですよ!)に味覚、嗅覚が魅了されてしまいますっ。
 吸ったことはありませんが、ハマキってこんな感じでしょうか?
 
 ビアレストランのフードメニューと言えば、ソーセージ、チーズの盛り合わせは外せませんが……ああステキ、桐子さん。さっさと注文しています。スモークサーモンを選ぶあたりセンスを感じますっ。
 個人的には黒ビールはソース焼きそばやナポリタン、餃子とかに合うんですが、さすがにメニューにありませんね。
 
「……千世子さん」
 
 ジョッキを置いた山崎くんが話しかけてきました。 
 
「黒ビール、好きなんですか?」
「めずらしいから、つい、ね」
 
 こんな感じで質問を回避します。まあ、毎回できる方法ではありませんが……
 
「山崎くんは黒ビール好きなの?」
「ビールでは一番好きかもしれませんねぇ」
 
 むむ。仕事はそこそこできる上に、いい趣味をしてます……
 学生からの知り合いだったら、さぞかしビール話で盛り上がれたことでしょう、残念。
 
 そこから桐子さんも混ざり、ここ2週間の苦労話をしたり、苦労話をしたり、少なからず楽しかったことを話したり。ほとんど苦労話ばかりでした……
 そうこうしているうちに、黒ビールが半分以下になっていました。これ一杯だけにしようと思っていましたが……ハイペースでした(汗)。
 しぶしぶウーロン茶でも飲もうかなと考えていた、そのとき。
 
「千世子さんは、2杯目はハーフ&ハーフですか?」
 
 !!!!!
 
 ハーフ&ハーフとは、普通のビールと黒ビールを半々で割ったもので、2つのビールとはまったく別方向に行っているもの……ですが、黒ビールの薫りと普通のビールののど越しのハイブリッド!
 
 1人だったり、昔からの友人たちとだったら2杯目にはぜったい注文していますが……
 でも、ひさしぶりにビアレストランに来たわけですし……
 でも、職場ではないしょにしていたいし……
 でも、黒ビール→ハーフ&ハーフという流れは鉄板っ。
 でも、でもぉ……
 
 この間、3秒(ぐらい)。
 
「う、ウーロン茶にしとくよ」
「……そうですか」
 
 そうして私はウーロン茶、山崎くんはハーフ&ハーフを頼みました。
 呑みたくないです。大丈夫です。ええ、大丈夫です。
 
 ……訊かれさえしなければ、ここまで憎しみやら悲しみやら湧かなかったはずっ……!
 
 
 
 
 
 解散して帰宅後、桐子さんからメールが来ました。
 
『また今度、連れて行ってあげるから。怖い顔しなさんな』
 
 そんな怖い顔していたのでしょうか……うーん。
 
 

       

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