Neetel Inside ニートノベル
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僕の最後
2:逃げ出さない勇気

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――次の朝、俺は町にある一番大きな神社の木の上で目を覚ました。


悪魔のくせに神社入れるのかよ…



大きなあくびが聞こえたので横を見ると、寝ぼけ眼な柊が目を擦りながら起きあがった。


「神社なんて悪魔はへっちゃらよ…。西洋とは宗教が違うもの…。」


柊はあくびをしながら言った。

可愛い顔が台無し。



「…前から気になっていたが、お前は何で俺の考えていることが分かるんだ?」


柊はまだおさまらないあくびをする口に手をあてて答えた。


「私も詳しいことはわからない。まぁ、いつも分かるわけじゃないし、いいんじゃない?」


いいわけあるか。

お前に俺の考えていることが分かっているんじゃないかと不安に思い、可愛い子を見つけても妄想ができないじゃないか。



ふいに柊が町の方を見た。そしてその町の方を見たまま、青い眼光を鋭くした。



「…どうした?」

柊の鋭い眼光を見て恐くなった俺は、恐る恐る彼女に聞いた。



俺の問いを無視した彼女は、どこからか大きな辞書のような本を取り出した。


俺の時も見てたやつだ。



「…今日の仕事が決まったようね」


は?


「さ、行くわよ!!」


腕を掴まれたのでまた空中浮遊するきかと思い、前回その恐怖心を植え付けられた俺は何とか引き止めようとして必死にその理由を考えた。


「まてまてまて!!あ、そうだ!!朝ご飯、朝ご飯食べよう!!」


よりいっそう強く俺の腕を掴み、引っ張り上げようとしている柊は言った。



「悪魔ならともかく、幽霊に近いあんたのお腹が減るわけないでしょ!!」


ほら、さっさと行くの!!と結局彼女に引っ張られ、俺は再び広い空にダイブした。




――着いた先は駅だった。


やっと駅の地面に降ろしてもらえた俺は、駅の構内を見渡した。

俺は来たことがない駅だったが、かなり大きな駅だった。


キョロキョロと見回していると柊が階段を下り、駅のホームに歩いて行ったので、その後について行った。



ホームに下りると、朝の通勤ラッシュで駅には人が溢れかえっていた。



「…すごい人の数だなー」

数ヶ月間引きこもりだった俺は、こんな数の人を見るのはとても久しぶりで、新鮮だった。



「あそこを見て」

柊が指を指したところを見ると、そこには黒に近い紺のセーラー服姿の女の子がいた。


その娘は俯いていて、顔がハッキリ見えなかったが、顔は可愛い方だと思った。



柊ほどじゃないけどね。


下の方で結ばれた二つの髪やスカートの長さを見る限り、おとなしめな子のようだ。



重要なのはこの子が眼鏡っ子だということだ。



下の方だがツインテ・眼鏡・おとなしいという、ある意味三拍子揃ったこの子もまた、俺のストライクだった。


俺がその子の方をデレーと見ていていると柊に思いっ切り足を踏まれた。



なぜだ。



もっと近くで見ようと思い、その娘の前に移動すると、おかしなことに気がついた。



その娘がフラフラ揺れているように見えたのだ。

また、ホームの一番前に立っているその娘は、下を向いたまま線路をずっと見ていた。




――と、ここでホームにアナウンスが流れた。



その娘のいるホームに電車が来るようだ。

ちぇっ、もうちょっと見ていたかったのにと思い、その娘の方をもう一度見ると驚く光景が目に入ってきた。




なんと、その娘が俯いたまま線路の中央に立っていたのだ。




パー!!と電車のベルが構内に鳴り響く。

電車がホームに入って来たのだ。





俺は頭が真っ白になった。






――人が死ぬ。




俺の目の前で。




俺は何もできないのか。


また守れないのか?








……嫌だ。


またあんな思いをするのは嫌だ。













……また…?





気づくと俺は線路に飛び出していた。



       

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