Neetel Inside ニートノベル
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ニーノベ三題噺企画会場
お題①/うんぽっぽ/ムラムラオ

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「うんぽっぽ!」

 夏の祭典、日本の南のどこかのビーチに特設された会場で、俺達は謎のコトバを叫んでいた。
「うんぽっぽ!」
 想像して欲しい。
 真夏のヴィーナスだって裸足どころか裸で逃げ出すようなウハウハしたくなるこの天気。
 サンサンサンシャインなんてギャグを一発こいても、きっとみんな笑い飛ばしてくれそうな快晴である。
 真っ青なコバルトブルーと夜の月ような砂浜の上で、普通ならキャッキャウフフしていなければいけないのに。

「うんぽっぽ!」

 俺達はやっぱり、宗教じみたことをやっていた。


 ◯


「諸君、時は来た! この神の杖を一振りしてバカップルどもを割れた海の底へ叩き落としてやろうではないか!」
 10人ほどの男どもに囲まれながら、夏だというのに布を体に巻き付かせている暑苦しい男がわめいた。
 何を隠そう、この男こそが俺の所属するサークル「ターザンinタンザニア」のリーダーである。
 杖を手に持ち、まるでかの神話のモーゼの如く海を真っ二つに割ろうとしているが、そんなことが出来るわけもなく、後ろにぞろぞろとモテない男を引き連れてリーダーは海へ向かった。
 海上には相変わらず出すとこを出したたわわな美女と美男子がキャッキャウフフしている。
 死ねばいいのに――――なんて小説がそういえばあった。
 たいそう分厚く、書店で見かけて驚いた覚えがある。
 あれで殴ればスカッとするかもしれないが、こんなところで殺人事件を起こして警察官にモテてもしょうがないので俺はリーダーに帰りたい意志を伝えることにした。
「リーダー、もうやめましょう。こんなことして何の意味があるんですか」
 俺は薄汚れた布に手をかける。
 すると、なんてことだろう、その布がはらりと地に落ちてしまったではないか。
「…………」
 リーダーはしばらくの間、俺を筆頭に後ろに続くモテない男たちに無駄に引き締まった尻を見せつけた。
 ――――ようするに、布の下には海パンも何もはいていなかったのである。
「…………」
 リーダーは腰に手を当てて、少し反り返るようなポーズをした。
 こちらを向く様子はない。
「いいか、お前たち」
「……はい」
 奇妙なテンポで気味悪く腰を振りながら、リーダーは尻で文字を書いた。
 まるで、神のお布施のように、文字を書いた。
「今お前たちに、タータンに伝わる秘伝を体術を使って示した」
「……タータンってなんですか?」
 聞き慣れない言葉に俺が首をかしげると、リーダーは突然怒鳴った。
「馬鹿野郎! この宗教の略名すらわからんのか!!」
 無駄に筋肉質な尻は、怒りに任せて揺れるリーダーに構わず静観のようである。
 正面に関しては考えないことにして、俺達はリーダーからタータンの秘密を伝授してもらい、納得する。
 なるほど、「ター」ザンin「タン」ザニアか。
 ものすごくどうでもいい気がするが、とりあえず意味はあったようだ。
 納得し終わって正面を向いたら、リーダーはもう海の中へ消えていた。
「リ、リーダー……」
 布が落ちた時から既に海上方面で叫び声が上がっていたから、避難自体は終わっているとは思うが、少々不安でもある。
 しかし、こうしてリーダーから解き放たれたことで、自由の身になった喜びのほうが俺には大切だ。
「よし、帰ろうか」
 海に背を向け、帰ろうとする俺に、眼鏡男が言った。
「リーダーの尻文字がわかったぞ」
「……奇遇だな、俺もだ」
 すると、他のモテない男たちも口々に「俺もだ」「俺も俺も」と重低音のハーモニーを奏で始める。
「……よし、答え合わせしてみようぜ」
 誰かが言って、皆が一度静まり返る。
 そして、俺達は叫んだ。

「うんぽっぽ!」



























 


 














       

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