Neetel Inside ニートノベル
表紙

太陽が登る月が沈む
復讐

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ある女性を護る為にマフィアたちと戦った。ストーカー紛いの連中から護る為だった。
奇襲した為か大した被害も出ずに僕は事務所を制圧した。
その中で僕は怯えている女性を見つけた。本当は怯えていたのか分からない。笑っていたかもしれない。
彼女を僕は助ける事にした。その美しさに惚れてしまったのだ。でも同情もあったと思う。
彼女を抱きかかえると仲間が「連れて行くのかと?」 少し心配そうに言った。
なぁに大丈夫さ、きちんと世話はする。僕はそう言った。
最初はどこか遠くに逃がしてあげようと思ったがいつのまにか一緒に住もうという気持ちになっていた。
彼女は最初ぶるぶる震えていたが歩いているうちに震えは止まっていた。僕は彼女にどうすると聞いた。彼女は一緒に住みたいと笑っていった。
妖艶な笑みだった。僕はあっというまに魅了されてしまってそれじゃどこに住もうかと聞いた。
彼女はここがいい、と言う。ここ? と問い掛けると「ここの谷」と応えた。
ここの谷は全く人気が無かった。街からそうは遠くは無いものの不便な事に変わりは無い。でも彼女がそう言うのなら。僕はそう思って小屋を作って、そこに二人ですむことにした。
彼女は瓶から丸い粒を取り出すとそれを飲んだ。僕それがなにかわからなかったが別にどうでも良かった。
彼女は僕に擦り寄ってきて子供が欲しいと言った。僕も子供は欲しいなと思った。
何人が良いかな、二人かな。などと彼女は言った。僕も二人が良いねと応えた。
それから何年かして不便ながらもその生活にもなれた。子供も二人できた。男の子と女の子だ。
まだまだ10歳くらいで二人とも可愛かった。彼女はあんまり見かけなくなったがその生活は楽しかった。
僕はいつも娘におはようやいってらっしゃいのキスをしてあげていた。ある日そんな僕に、息子は俯いて伏目がちに「なんで僕にはキスしてくれないの?」と言った。
僕は何故だがそんな息子が性的な意味でとても可愛く見えてドキドキしてしまう。顔が赤くなっているのが分かった。
息子の後ろで娘は不思議そうにでも全く興味のなさそうな顔で眺めていた。
ちらりと僕を上目遣いに見てきた息子に僕は意を決して抱きしめた。
顔に両手を添えてゆっくりキスをした。息子は爪先立ちしていた。
キスが終わると息子は嬉しそうに僕に抱きついてきた。僕もなんだか嬉しくなって抱きしめ返した。
それからまた数日後か数ヵ月後か。僕は仕事で家を空けていた。
事務所を襲撃した時にストーカーを逃していたらしくそいつが家にやってきた。不幸にも僕の家は谷にあったことで人気が無かった。
奴は妻を狙っていたようだった。そして同時に僕に物凄い復讐心と憎悪を煮えたぎらせていた。
まず奴は雇った若いハンサムな男と二人で僕の家に近づいた。奴はそのままずかずかと土足で家に入り込み妻を陵辱した。仲間はその間息子と娘を椅子に縛って待っていた。
丁度家に遊びに来ていたのか、青年も一緒に縛られていた。
奴は縛った三人を見て「お仕置きしてあげましょう」といった。仲間はそれに応えて「OK。こっからは俺の仕事だね」と言い携帯で大勢の仲間を呼んだ。
最初は息子も「父さんがお前らなんかをやっつけてやる」などと色々吼えていたが柄の悪い大柄の男たちががついた頃にはすっかり萎縮してしまった。
雇われた男は「まずは斑死射を打たないとね」と言って注射をそれぞれ三人に打ち込んだ。
その後息子と娘は精液塗れになっていた。ぼろぼろになった二人を抱きかかえて男たちは去っていった。
僕が家に帰ると家の前には大勢の人が集っていた。なにかと思ってみてみると僕の家はぐちゃぐちに荒らされていて息子も妻も娘も誰一人いなかった。
呆然としている僕の耳に誰かの噂話が沢山入ってきた。
「娘の手足は切り取られた後粉にしたりして料理されてしまったのだ」
「息子は犯されてかなりの安値で売春宿に売りはたかれた」
「斑死射を打たれると痛みを感じないらしいがかなりヤバイクスリで依存性が高く廃人になってしまう」
僕は急いで知り合いのマスターの元へと走った。マスターとは昔からの付き合いで事務所襲撃の時も一緒だった。
マスターは白い髭をなぞりながら言った。ストーカー野郎だろうと。僕も同じ意見だった。
カウンターに座っていた男が俺も手伝うぜと名乗りをあげた。眼帯をしていて随分と腕が立ちそうだった。
話していくうちに妻もクスリをやっている事が分かった。あの丸い粒は麻薬だったのだ。
妻はヤク漬けにされてしまっているだろうからもう取り戻す事は出来ないだろうとマスターは言った。僕は悲しかったが、妻を取り返さないことよりもずっと息子たちをそんな目にあわせてしまった事の方が何倍も苦しくて辛かった。どんな姿になっていても必ず取り戻してみせると思った。
深い悲しみを憎悪と怒りに変えて銃をとった。そして必ず連中に報復してやると誓った。
僕はそこで目が覚めた。

       

表紙

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