Neetel Inside 文芸新都
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ロボット三原則+崇拝/うた /まるや

大地を駆ける龍は、命のはじまり、そして終わりへと流れてゆく。彼方に霞む水平線から残り火が空を染め、夜の帳がおりていく。この世を映す大きな鏡は紅く、紅く、一瞬の情熱に身を焦がす。景色が脳裏に焼きつくというが、きっと、この光景を目の当たりにした人が作ったのだとふと思う。
海は歌う
愛しき子よ
あなたに恵みを与えましょう
命を愛でよ
生命の調和のために

朝に濡れたつゆ草が風の助けを得て、その雫を大地に集めていく。短い季節を謳歌するかのごとき、鳥やセミの狂想曲が辺りを埋める。絶え間なく雲海を切り裂いて空がのぞき、定規で引かれたようにまっすぐ陽の光が射しこむ。あの光の柱で天使が降りてくるというが、今なら信じられる。
太陽は歌う
弱き子よ
あなたを白日のもとにおきましょう
従いたまえ
揺るがぬ正義のもとに

雲ひとつない空は小さな輝きに彩られ、木々や草花を闇一色に染めあげた。木々の間を縫うように風が走り、いつからか虫の音は鳴りを潜めている。静寂の中、風と共演する木の葉の歌声に冬の足音が聞こえるようだ。冷気に清められたこの夜空を仰げば、誰だって「月さえ手にいれられるのではないか?」と淡い幻想を抱くことだろう。
月は歌う
迷い子よ
あなたを仄かに導きましょう
安らぎたまえ
あなたの守るあなたのために



       

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