Neetel Inside 文芸新都
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紅い紅葉の短編集
ランドマークタワーさん短編(?)

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 ランドマークタワーさんというビルがある。私は彼女がとても好きで、ケータイの待ち受けやパソコンの壁紙、iPodtouchのロック画面に至るまで、全てがランドマークタワーさんだ。
 ここで勘違いして欲しくないのは、ランドマークタワーさん以外のビルに興味はない。かっこいいなぁとか思うことはあれど、その裏には必ずランドマークタワーさんの影が存在している。
 簡単に言えば、私がビルを見る際にはランドマークタワーさんが比較基準に必ずいるのであって、かっこいいビルを見た際には『このビルかっこいいなぁ。けどランドマークタワーさんには負けるな』と思い、かっこ悪いビルを見た際には『ランドマークタワーをさん見習えよ』と考えている。
 ここまで語ると、こんな一人よがりもいい所の文章を読んでくださっている読者は、当然こう思うだろう。
「ランドマークタワーのどこがそんなにいいのか」
 他人の好きなモノを知ると、大体そう思うはずだ。他人の趣味嗜好はえてして理解し難いモノだ。
 しかし本音を言えば、私にもよくわからない。果たしてどこがそんなにいいのだろうか。
 この文章は、それを探る為のモノだということも、頭に置いて欲しい。


 私とランドマークタワーさんとの出会いは高校生の時だ。私は常々、自分の小説では街を重視した作品作りを心掛けている。
 しかし、名前だけ決めてあっても、街は街。押しにしては弱いということに気づき始めていた。
 言うなれば、『街の顔』と言える物がなかったのだ。
 その名前を口にしただけで、『あー、あそこね』となるモノが、私の想像する街にはなかった。
 東京なら東京タワー。
 大阪なら通天閣。
 京都なら清水寺。
 そういうモノがなかった。
 なら東京や大阪や京都をモデルにすればいい。そう考える人もいるだろうが、ひねくれ者な私としては、『メジャーすぎて嫌』だった。
 当時の私はネット上で景色の画像を集めることにハマっていた。いろいろな街を見ては自分のキャラクターをそこに置き、ピンとくる場所を探していた。
 しかしピンとくる場所はなく、そろそろ景色画像フォルダがかさばり始めてきた時、みなとみらいの写真を見つけた。
 それを見た時の感動は忘れられない。
 求めていた『街の顔』が、そこにあった。
 大中小三つのビルが並ぶクイーンズスクエア。
 ヨットの帆みたいな形をしたインターコンチネンタルホテル。
 そして、一際大きなランドマークタワーさん。
 私はこれを見た瞬間、目の奥が熱くなるのを感じた。火が灯ったような熱さだった。
 これは紛れもない『街の顔』。
 こんなに異彩を放った街があったのかと、頭を抱えた。
 それから私は、自身の小説の舞台をみなとみらい、あるいはその近辺に設定している。
 感心したのは、横浜という街は非常に便利なロケーションだということだ。学校も近くにある。オフィス街もある。遊園地もあれば美術館や高級住宅街もある。ちょっと行けば山や川もある。
 出来過ぎなくらいに、物語の舞台として優秀なのだ。
 だからなのか、横浜を舞台にした作品はたくさんある。
 Wikipediaに『神奈川県を舞台にした作品』という項目があるので、そちらを参考にしていただきたい。意外な作品があったり多かったりで驚くだろう。


 話を戻すと。
 私がランドマークタワーさんにのめり込んで行ったということは、ここまで読んでくださった読者には理解できたはずだ。
 しかしここで、『果たしてランドマークタワーとはなんなのか』それがわかっていない読者もいるだろう。現実で私に向かってそんなことを言えば、嬉々として一時間は話をする。
 どこがいいか、なぜ好きか、一時間みっちり話をする。
 一時間が長いという方もいるだろうが、私としては充分相手方の都合も考えた上での、厳選した話題を話す一時間だ。
 そもそもランドマークタワーとは、三菱地所が保有している超高層ビルだ。
 まさに横浜の象徴とも言え、ランドマークタワーの名は伊達ではないとわかる。七十階建てで高さは約二九六メートル。これはビルとしては日本一の高さを誇っている。
 また、テレビの中継局としても活躍しており、神奈川県民がテレビを見られるのは彼女のおかげなのだ。
 これを読んでいる方の中に神奈川県民がいたら、是非ともランドマークタワーさんに一礼して欲しい。
『ランドマークタワーさん、いつも電波をありがとう』
 これをランドマークタワーさんに向かって、一度でいいからして欲しい。私は一度したことがあり、以来思い出す度、心の中で小さく感謝している。
 神奈川県の電波はランドマークタワーさんあっての物なのだ。
 さらに地下二階から三階まではランドマークプラザと呼ばれるショッピングモールがあり、ホテルなども入っているため、登って楽しい見て楽しいという無敵の複合施設なのである。
 ホテルの部屋から見る夜景。六九階から見る横浜の景色は、圧巻という言葉では足りない。どれだけの表現を使っても、その百分の一も表現しきれないのだ。
 さらにはその外観。
 私に取ってかっこいいビルとは、『シンプルかつ重厚感溢れている』という物で、ランドマークタワーさんはその言葉に相応しいビルなのだ。
 決して高さに惹かれたから好きになったわけではない。その渋いデザインながら一目見てわかるシンボリックさに惚れたのだ。
 私は常々思っている。最近のビルは厚化粧すぎると。
 新宿にあるコクーンタワーや六本木ヒルズなど、確かにパッと見てわかるが、あの手のビルには品がない。確かにかっこいいが、それはそう思わせたいからという生産者の下心が見える。
 しかし、ランドマークタワーさんは違う。ランドマークタワーさんは、例えるなら『ナチュラルメイクの美人』なのだ。
 素材がよく、いじらなくても絵になる。
 それが彼女だ。
 私はランドマークタワーさんを例える時、『シックなドレスを着た大人の女性』とよく言うが、その理由がこれだ。
 しかし、一度として納得されたことはない。船が女性に例えられることがあるのだから、誰かしら納得してくれてもいいと思うのだが。
 まあ人の趣味嗜好とは様々な物。私の趣味嗜好が理解され難い物であることはわかっている。
 それを承知した上で言わせてもらうが、私はランドマークタワーさんを愛している。
 家族や友人に笑われたことももちろんある。
 しかし、その程度で挫けるようなら愛とは言わない。
 愛とは、何者からの影響も受けない純粋な感情だ。
 故に、他人の言葉で消えたり現れたりするような感情は、愛ではない。
 たとえば、日本には『擬人化』という文化がある。私はこの文化があまり好きではない。自分勝手な物だと思っているからだ。
 擬人化しなければ愛せないようでは愛ではない。故に擬人化は好きではない。
 一応ランドマークタワーさんの擬人化画像を探してみたが、ピクシブに一枚くらいあるのみだった。
 マイナーなのだろうか、と首を捻ったが、次には怒りが湧いていた。
 なぜか。
 その絵にはランドマークタワー以外の擬人化も描いてあったからだ。
 ランドマークタワーさんだけを全力で描けよ!!
 そんな怒りを感じた。
 しかし私は、これを声高々と主張する気はない。
 他人の愛し方についてとやかく言うのは野暮という物だ。
 もし生半可な愛であれば、私はもちろん怒る。激怒する。
 愛する女性を軽視されれば怒るのは当然。
 とはいえ、『そのままの姿でランドマークタワーさんを愛せないのか。私は愛せるというのに』なんて、優越感に浸っているのもまた事実。
 けれど、私が一番ランドマークタワーさんを愛していると言い張る事はしない。
 ランドマークタワーさんはみんなのランドマークタワーさんなのだ。
 ランドマークタワーさんが無機物である以上しかたない。
 彼女からの愛は望めないのだ。
 ランドマークという名前の通り、彼女はみんなの目印。
 横浜のシンボルだ。
 私はこれからも彼女を愛して行く。
 この愛が萎えることは考えない。
 見返りを求めないのが愛だ。
 彼女のお膝元で暮らしていける。それだけで、私は充分に幸せだ。
 彼女に出会えただけで、私はすでに満足している。
 それがわかっただけでも、この文章を書いた甲斐があった。
 理解してもらえなくても構わない。
 そう再確認できて良かった。
 私はビルマニアではなく、ランドマークタワーさんのファンなのだ。
 そうある自分を誇りに思っている。
 好きなモノは好きだと言い張れることは幸せだ。

 ありがとうランドマークタワーさん。

     

ランドマークタワー短編

僕はランドマークタワーさんが好きで、至る所でランドマークタワーさん萌えを推奨しているのです。
これを書くキッカケになったのはつい先日、某先生から『ランドマークタワーさん萌えで短編書いてくれるくらいじゃないと納得できないですね』と言われたので、「その発想はなかった!!」ということで書いてみました。何者だよ某先生ェ……。
短編というよりはエッセイ、あるいは随筆的な感じになりました。どうも三島由紀夫の『金閣寺』が頭から離れず、というか、どうやってランドマークタワー萌えだけで話を書いていいかわからず。いつかはきちんと話にしたい。
あまり長さはないですが、とりあえずランドマークタワーさんに対する熱い想いを書いたつもりですが、某先生に『気持ち悪さが大事』とも言われていたので、多少そこらへんも意識しております。正直ナメてかかったこの短編ですが、僕の文章には個性がないとかいろんな課題消化への糸口がちょっと見えた気がします。これを読んでくれた人が、すこしでもランドマークタワーさんに興味をもってくださると嬉しいです。
ランドマークタワーさん短編を書くキッカケを与えてくださった某先生、ありがとうございました!
そしてランドマークタワーさんありがとう!

       

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Neetsha