ぽん。
はじける音がした。
僕の耳の傍で、何かがはじける音がした。
それは、きっと、終わりの音だった。
泡がはじける音よりは大きく、
風船が割れる音よりは小さい。
何にせよ、死に逝く音だった。
その音は、月日を重ねるごとに
聞こえる回数が多くなっていった。
「先生。僕の耳元で聞こえる、この音は何ですか。」
先生。分からないことだらけなんです。
この世界は、分からないことに満ち満ちているんです。
いつか僕以外が消えてしまうこんな世界でも、
知りたいことは山ほどあるんです。
影は減り、声は消え、美の意味など葬られてしまう。
それでも、知りたい。
僕の見ている世界を、知りたい。
そんな欲求と、自己満足だらけの僕。
こんな僕でごめんなさい。