Neetel Inside ニートノベル
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私が私になった日
【三年前 三月 裏視点】

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 あーあ。どうしよう、終わっちゃったじゃん。こんなことになるんなら、付いてくるんじゃなかったなぁ。って言ってもしょうがないか。付いてきた私が悪いし、何より私のせいだもんね。余計な口を挟まなければ穏便に、とまでは行かなくても誰も死なずに別れられたんだと思う、きっと。
 少なくともお父さんを手に入れることができていたはずだったのに、なによりも妹が欲しかったからちょっと焦っちゃったんだね。どうせお母さんとこの人がくっついていたらやることやって妹か弟ができていたんだから、ちょっとくらい我慢すればよかったかな。でもすぐに欲しかったんだよね。あの子みたいな妹が。
 だってさ、妹って可愛いじゃん。自分より小っちゃい女の子だよ? そりゃ可愛いよね。でも私は一人っ子だから居ないんだよ。歯がゆいよ、ものすごく。
 って、既に何考えても意味ないか。
 だって取り返しつかなくなっちゃってんだし。
 後悔、っていうかね。むなしくなってきた感じだよ。
 見るも無残なくらい身体にさしまくってくれちゃってるから、ぴくりとも動けないや。生ぬるい感覚があるけど、これはきっと私の血なんだろうね。確かめようにも確かめようがないからわかんない。
 しっかし、いくら私が指一本折ったことあるからって仕返しにしてもやり過ぎ感は否めないよね? 死んじゃうしこれ。
 怒り爆発して思いっきりやってくれたのは壮観だったけどね、ちょっと私以外にしてほしかったかな。
 ま、あいつの人生と交換と思えばまぁ許せなくはないけど。その後を見ていられないのが残念だなぁ。三人も殺しちゃって、一体どう生きて行こうと思っているのやら。それとも一緒にあの世に行ってくれるのかな? そうしたらまた仲良くしてあげよう。
 私を殺してくれた仕返しから始まるけどね。だってどう考えたって指一本折るのとじゃ割に合わないしさ。
 引きこもったって聞いてたからビクビク怯えてるだけだと思ってたのに。一体どうしてあんなにも強気になれたんだろう。なんて、言うまでもないか。だってきっかけは私があの一言を言ったからなんだから。
 本当に、笑っちゃう。
 妹が欲しくて欲しくてたまらない私が言うのもなんだけど、でも妹のために人生捨てる気には到底ならないよ。
 ああ、おっかしい!
 そんなに妹ちゃんが大事だったとはねぇ。
 ……なんだか目がかすんできたなぁ。本当に終わりが来ちゃったみたい。とっても残念だけど、さようなら。あの世でずっと待ってるよ。大歓迎、しちゃうから。
 ……。…………。………………。

       

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Neetsha