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13ページ 小説家になろうと包囲網

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 11月25日。文豪会開催一ヶ月前。

 〒猫瀬、犬腹
『犬腹:文豪会に出展する作品、【高校生6人を密室に閉じ込めてみた】でいきましょう。ベストファイブを勝ち取った作品ですからね。縁起も良いですし』
『猫瀬:【閉じ込めてみた】で大丈夫ですかね?? 正直、文豪会に出すにはちょっと自信ないですが……』
『犬腹:う~ん……。でも、今から他の作品を書き出すには時間が足りないでしょう。それに、編集部としては青谷ハスカの代わりとして猫瀬先生にダークなジャンルを担当してもらう意向らしいですから。ハスカ先生の穴を埋めてお釣りが来るほどの作品を出してやりましょうよ』
『猫瀬:もう。簡単に言うなあ笑』
 猫瀬は思わず苦笑した。
『猫瀬:でも、そういうことなら【閉じ込めてみた】で挑戦してみようと思います。僕が、青谷ハスカに勝ったんですから』
『犬腹:ああ! さあ、文豪会に向けて練り直していこう』

 〒後藤ニコ、猫
『猫:いや、それは……。さすがに……』
『後藤ニコ:その気になればできるでしょ?』
『猫:いや、無理ですよ……! そもそも私の意見でどうにかなるレベルじゃないです、それ』
『後藤ニコ:やんなさいよ。とにかく、来月の入れ替え会議で猫なんとかに代わって青谷ハスカをベストファイブに昇格させること。それができなきゃ、今度こそ担当替えてもらうからね』
『猫:勘弁してくださいよ……! 入れ替え会議で作者入れ替えが行われること自体、本当にごく稀なのはご存知ですよね!? しかも、秋に交代があったばかりの猫瀬とハスカ先生だなんて、普通に絶対無理です!!』
『後藤ニコ:うあ~、無理とか言っちゃうんだ。残念~。猫さんとこれからもやっていきたかったのにな~』
『猫:それを交換条件にするのはやめてくださいってば、本当!! とにかく、いくらなんでも入れ替え会議でハスカ先生をねじ込むのは無理です。分かって下さい。それよりも、文豪会に出す作品進んでますか? 締切に間に合わないなんて絶対あり得ないんですからね』
『後藤ニコ:……分かってるわよ。いくら私でも文豪会は真面目にやるってば。でもまあ……、ほっといても、猫瀬が文豪会で足を引っ張ればさすがにベストファイブ除名になるかしら。そうすればまたハスカちゃんがベストファイブに戻るよね』
『猫:そうですって。編集長にとっても、文豪会で優勝するのが一番の手柄な訳ですし。猫瀬の力不足が分かれば対策を打とうとするでしょう』
『後藤ニコ:まあ~、じゃあ、そういうことにしとこうか。今回ばかりはあんたの無能っぷりも許してやる』
『猫:あ、ありがとうございます!!』
 後藤ニコが退室しました

 〒泥辺五郎、泥沼
『泥沼:先生……。文豪会向けの作品、書いていただけているでしょうか』
『泥辺五郎:ああ~~~~。書いたような、書いていない、ような』
『泥沼:ちょ、ちょっと。冗談ですよね?』
『泥辺五郎:う~~~~ん、昨日の夜、書いていた、ような。それをどこかに捨ててしまった、ような』
『泥沼:先生~!! お願いしますから真面目に書いてください!! 万が一にも、文豪会不参加なんてことになったら新都社アク禁食らってしまいます!!』
『泥辺五郎:いや、だから。書いてたんだってば。でもそれをどこにやってしまったか、とても不思議な気分なんだ』
『泥沼:だから、小説のファイルはちゃんと名前を付けて保存して下さいって言ったじゃないですかあ~~~!!』
『泥辺五郎:とても、謎めいている』


 こうして、新都社の誇るベストファイブ5名が文豪会“連覇”に向けて作業を進めている頃、他の4つのサイトも同じように頭を悩ませ新都社の連覇を阻止せんとその力の限りを奮っていた。

 〒【小説家になろう】ベストファイブ専用室
『高羽忍(第4位):今年の新都社の面子は伊瀬カツラ、後藤ニコ、橘圭郎、泥辺五郎、猫瀬の5人か』
『田中(第2位):うおほォ~~! いるぜいるぜ後藤ニコォ~~!! 今年は血祭りに上げたんぜえ~!!』
『Ceez(第3位):ピッピピ~~~!! ボクの相手は橘圭郎~~!! 勝ち目ゼロ%感知ィ~~~!!!』
『青葉夜(第5位):ああ!? 青谷ハスカ、ベストファイブ落ちたのがぁ!? 去年のリベンジしてねーぞぉ!! 逃げやがったなあのカス!!!』
『Ceez:ピピピ、ピピピ。お前ぇ~、内心ホッとしてるんじゃ~ねえのぉ~。またまた返り討ちに遭ったんじゃさすがにみっともねえからなあ~~』
『青葉夜:どゴルァ!!! この俺が二度も負けるわきゃねーだろ!!! 殺すぞカス!!!』
『田中:うるせえな!! 文豪会出れるからってハシャいでんじゃねーぞザコが!!!』
『佐島勤(第1位):やかましい!! 青谷ハスカとか言ったか、あんなど素人に振り回されている時点で青葉が未熟だ。それよりも言わずもがな、新都社を倒す為には伊瀬カツラ・後藤ニコの二大看板を崩さねばならん』
『青葉夜:……フン。去年だって、アンタが伊瀬カツラに勝てなかったのが敗因なんじゃあね~のがぁ』
『Ceez:ピ・ピピピピィ~~!! 佐島サンの怒りメーター上昇感知ィ~~!!!』
『佐島勤:……今年は、去年のようにはいかんさ。ここ数年文豪会制覇からは遠ざかっている我々だが、俺は、今の世代こそが“黄金世代”だと信じている。必ずや、4つのサイトを倒し【小説家になろう】がWEB小説の頂点に立つ』
『青葉夜:…………』
『佐島勤:全力でいくぞ。新都社を必ず頂点から引きずり降ろせ』
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