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2ページ GHOSTと挑戦者

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 ベストファイブに名を連ねるには方法が二つある。
 一つは毎年12月25日に行われる“入れ替え会議”。編集長、五天皇の計6名が参加し会議によってベストファイブの入れ替えが行われるが、もっとも、この会議によって作家の入れ替えが行われるのは稀である。
 春、夏、秋の年に3回行われる“入れ替え戦”。主に作家の入れ替えが行われるのはここであり、誰にでも平等にチャンスが与えられている。
「へー、顎男が橘圭郎に挑むのか」
 入れ替え戦とはその名の通り、ベストファイブの座を賭けて複数名の作者で争う行事の総称である。参加希望者は編集を通して事前にその旨を伝え、参加が認められた者は現ベストファイブ作家達との“一騎打ち”を行うことができる。

 ~主な順序~
 1・編集と作家で協力して入れ替え戦用の作品を一作品書く(中編以下)
 2・作品を編集長に提出し、“対戦希望作家”を第5希望まで伝える
 3・編集長が参加者を選出
 4・挑戦者と現ベストファイブ作家一名との一騎打ち

 “一騎打ち”とは両名の作品を公開し、人気投票の結果で争うという単純なものであるが、参加者選考に際して、最終的には編集長が判断を下すとは言え挑戦者が希望を言えるということはつまり――、
「今季の“五位挑戦枠”はつばき先生か~」
「これはハスカ降板あるな」
「只野空気、またカツラ先生に挑戦してるよ……」
 入れ替え戦のたび、当然ながら“ベストファイブ5位”の作家は挑戦相手として一番人気の競争率である。現在であれば青谷ハスカが格好の標的なのだ。

 〒新都社文芸作家の集い
『アルマイト:つばき先生、挑戦権獲得おめでとう』
『つばき:ありがとう』
『プロトコル:新ベストファイブ作家誕生決定かな(笑)』
『猫瀬:www』
『顎男:いや、そう簡単な話ではないよ』
『プロトコル:↑こいつ包茎』
『顎男:入れ替え戦は短い作品で勝負しなければならないからね。ワンアイデアならハスカ先生は強い』
『アルマイト:なるほど』
『山田一人:顎男先生の方も、橘先生との入れ替え戦頑張って下さ――』

(そうなんだよな~……。私の作風で通用するかどうか……)
 つばきは嫌味にならない綺麗な官能要素を含む、人間の心情に迫った作風で人気を博している作家であり、目を惹くような設定が重要な短編勝負となると不利な感は否めなかった。
(とにかく、編集長が私を選んでくれたんだから今回はもうこの作品で勝負するしかないけど、もしかしたら泥辺先生や橘先生が相手の方が私の場合は良かったんじゃ……)

(はぁ~っ、今回はつばき先生かあ)
 青谷ハスカの担当編集、青山はデスクトップの前で頭を抱えていた。
(落花生さんや立花さんもつばき先生の作風なら青谷有利と言ってくれてはいたけど、果たしてどうなるか……。そもそもハスカにやる気がない。万が一締切に間に合わなくて不戦敗なんてことになったら前代未聞だぞ)

 ■2011年夏季入れ替え戦予定■
 6月23日 青谷ハスカvsつばき
 6月24日 泥辺五郎vsNAECO
 6月25日 橘圭郎vs顎男
 6月26日 ――
 6月27日 伊瀬カツラvs只野空気

(あれ? 今回ニコ先生は手空きなのか。珍しいな……まあニコ先生に勝てる人なんてそうそういないだろうが。いやいや、それよりとにかく俺は早くハスカに作品を書かせないと……)

 ところが、青山の不安に反して青谷ハスカは締切の二週間前には作品を青山に渡したのだ。
(!? おいおい、まさかこんなに早く原稿をもらえるとは。ハスカもなんだかんだ言ってベストファイブには執着心あるんだ)
 喜び勇んで原稿を読み始める青山。するとすぐにその表情は凹凸豊かに変わり、あっという間に作品の中へと引きずり込まれていった。
(お、面白い……)

 ――6月30日。入れ替え戦第一戦アンケート結果発表日。

 青谷ハスカ496-286つばき

「うおっ!!」
 結果を見た青山は声を上げて喜んだ。
(すごい……つばき先生相手にこれだけ差をつけるとは。ベストファイブ残留どころじゃない、四位昇格も……)

 ○

『ah:どうも~』
『どうも。結果、良かったじゃん』
『ah:いやいやwwおかげさまでwww』
『まあ、別に良いけどさあ~。今回私手空きだったし。次からはちゃんと自分で書きねい』
『ah:いえいえいえ~! 是非次もよろしくお願いしますよ! ニコ先生!』
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