かつて筆者にとってMTGといえば手もとにあるカードと書店やカードショップでひっそりと販売されている専門雑誌がすべてであった。当時MTGの最新情報を入手するには義務教育の学生にとってはかなり高価なデュエリスト・ジャパンやMTGしか興味のないプレイヤーにはやはり割高なゲームぎゃざを購入するほかなく(一般書店においてゲームぎゃざを買うのは思春期の男の子にとってかなり勇気のいる行為だった)、使いたいカードがあればパックから引くか遠出してシングルカードで入手するしかなかった。
だが現在ではネットというパワーナインをも凌駕する強力なツールが存在し、だれもが手軽に最前線の情報を手にいれることが可能になった。トッププレイヤーたちと一般プレイヤーをへだてていた〝情報格差〟の4文字はもはや死語となり、アナログな書物たちはモーリシャス島のドードー鳥のようにあっという間に姿を消してしまった。もう1000円札をにぎりしめてブースターパックを目当てに雑誌を買いにいく時代ではないのだ。
というわけで今回は現代のMTGプレイヤーにとって土地カードのつぎに必須ともいえるネット世界のMTGから筆者のお気にいりをいくつか紹介してみよう。
『マジック・ザ・ギャザリング公式サイト』
http://mtg-jp.com/
言わずと知れた公式サイト。実質デュエリスト・ジャパンの後継だが、雑誌時代にはなかった初心者むけのコンテンツも充実している。MTGをはじめてみたいという人はまず下のリンクでクールな壁紙をダウンロードしてから電撃オンラインの「プレインズウォーカー養成講座」をチェックしてみよう。
『MTG Wiki』
http://mtgwiki.com/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8
MTGのすべてを伝えるべく現代によみがえった《Library of Alexandria(AN)》。筆者が当作品を執筆するにあたって正確なカード名やその効果、当時の環境のメタなどを調べるのによく利用させてもらっている。「カスレア」の項目では《蒼ざめた月(NE)》《冬月台地(PR)》などの伝説級のカードたちがいかに使えないかを綿密に考察しておりオススメの記事である。
『2ちゃん』
純粋な情報量ならおそらくNo.1の巨大掲示板。〝MTG〟でスレッド検索すると地方での衰退がウソのように活発な情報交換がおこなわれている。もちろん《嘘か真か(IN)》かわからない情報もあり、また多くのスレで略語や独特のスラングがとびかっているので基本的に中級者~むけだが、質問スレや初心者交流スレなどもあってツンデレな先輩方がやさしく(ときにきびしく)指導してくれるので即レスキボンヌな人にはオヌヌメ。ただしアンケ厨とテンプレ読まない厨は逝ってよし。
『魔法使いの夏(ラッチ先生)』
http://books.vipdoor.in/comic/ww3847
週刊少年ワロスでつい最近1部が完結したMTG漫画。夏休みの少年たちが第5版をとおしてMTGの魅力にとりつかれていくというストーリーで、第5版からMTGをはじめた筆者を《狙い撃ち(WL)》な作品。全体的にノスタルジックな雰囲気で、とくにラストの流れはすばらしい。筆者的には《死の接触(5th)》《鳥の乙女(5th)》が印象的。できるならあの夏にまたもどりたい。
『やる夫が一人でMTGのプレリに行くようです(先鋒先生)』
http://books.vipdoor.in/comic/ww3332
おなじく週刊少年ワロスで連載中のMTGリポート漫画。この作品をきっかけに筆者はMTG復帰&プレリ参加を決めた。タイトルのとおりMTG大好きだけどいっしょにやるプレイヤーのいない主人公ニュー速でやる夫がさまざまな困難を乗りこえながら基本セット2010のプレリに参加するという感動作であるが、読者もいっしょにシールド戦の空気をあじわえるというハイブリッドな構成となっている。さあ、あなたもこれを読んで10月のラヴニカへの回帰のプレリに参加してみよう!
『まじっく!(NNC先生)』
http://books.vipdoor.in/comic/ww3600
またまた週刊少年ワロスのMTG漫画。まだ2話しかないのが残念だが、どちらも秀逸な内容となっている。とくに第2話はMTGのたのしさをほぼ完璧に表現した伝説的1品。邪悪でロックなターボフォグ使いにもオススメ。
『はじめようぜ!ヴァンガード!!(大魔王メラミ先生)』
http://merami.web.fc2.com/vgtop.html
MTGではないが最近人気のヴァンガードというTCGを題材にした漫画。遊戯王の支配がつづく新都社に一石を投じる熱い作品で、ていねいな作画にわかりやすい展開とルール解説漫画にふさわしい内容となっている。どうしてもMTGとくらべてどうちがうのかという視点で筆者はみてしまうが、MTG、遊戯王、デュエルマスターズなどほかのTCGにもつうじている著者の腕前に期待したい。
ごらんのように週刊少年ワロスでは非常に多くのMTG漫画が連載されており、〝MTG〟で最速サーチしてみるとじつに15/20がワロス作品というぐあいである。逆に〝遊戯王〟で検索してヒットするワロス作品はわずか2つであり(そのひとつも実際にはMTG漫画である)、遊戯王勢が幅をきかせる新都社とはあきらかに一線を画している(この不可解なまでに偏った傾向については現在ハーバード大学や世界各地のシンクタンクなどで研究・論議されており、クレイ数学研究所もこの問題に100万ドルの懸賞金をかけているので自信のある新都社ワロス両民は挑戦してみてはどうだろう)。
ともあれ世界の天才たちがこの謎をときあかし、新都社でもMTGが隆盛してくれることをひそかにねがいつつ筆者は本編の執筆にもどろうと思う。