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―――「――――――――」

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 ん? なんだ、もう始まっていたのか。

 お前らこんにちは。神道だよ。
 いつもの入りとタイトルコールをすっぽかしちゃった。まあ忘れていたボクが言うのも何だけど、あの入りとタイトルコールって必要なのかな。まったくいらないような気がするけど……楽しんでたのって、アイツだけなんじゃない? お前らはどうだったの? 楽しかった?

 さて、アイツの話しはどうだっていい。ボクは今、とても幸せな気分なんだ。
 前回からボクが前に出るようになり、月子の隣りに立てるようにもなった。それだけでかなりのものなのに、今回はそんな比じゃないぞ?
 何だと思う? なぜだと思う? どうしてだと思う? 気になる? ねえ、気になる? 気になるよなぁ、なあ!
 ハハハ、しょうがないな、教えてあげようじゃないか。だってボク、気分が良いからねぇ~。

 今ボクは月子の部屋にいるんだ。前回から今日まで『命令』を使わず、じわじわじわじわ改ざんを続けていった。少しずつ認識を変えて、物理的な距離も縮めていった。
 そしてようやく自然に月子に受け入れてもらえるようになったんだ。なんと月子に招待されたんだ! うふふふふ~。

 しかも、部屋のどこにいると思う?
 玄関だって? 部屋の中って言ってるだろ。
 リビング? あー、おしいなー。さっきまでいたんだけどね。
 お風呂場……? バカ! えっち!


 ……ボクは、ベッドの上で寝転がっている。


 月子が甘い香りを振り撒いているって知ってるかい? 抱き締めたらそれはもう濃厚な香りを味わえる。何の香りだろうなー……シャンプー? それともコロン? まるで果物のような香りがするんだ。それと同じ香りがベッドからもしている。
 まるでベッドそのものが月子みたいだ。あああ、月子が溶けているようだ。ボクもこの月子ベッドの中に溶けてしまいたいよう……っと、妄想が暴走するのがボクの悪いクセだね。


 で、だ。ボクと月子、ベッドの上でナニしてると思う?




「はぁぁ、柔らかい」
「あんまり動いちゃダメだよぅ……」
「ちょっと動いてるだけじゃん。うりうりー」
「やっ、くすぐったい……!」

 ボクは月子に膝枕をしてもらっているんだ。月子の脚がね、もう柔らかくって……見上げればぺったんこの胸の向こうに月子の顔。いい眺めだぁ……ちょっと困った月子の顔、たまらない。脚を撫でたりフガフガしたり、ついつい意地悪しちゃうよ。

 ……お前ら、よもやボクと月子がセックスしてる、とか思ったんじゃあるまいな? だ、だとしたら、こ、こ、この変態、変態! 変態ー! まだボクと月子はそんな間柄じゃない! チューもまだだってのに! ……まあボクじゃセックスは無理だけどさ……

 でも、、それでも。

「月子、手、繋いでいい?」
「うん、いいよ」

 ボクの手に月子の手が絡まってくる。
 ほら、もう手を繋ぐというのは普通になっているんだ。最近はどこに行くにも手を繋いでいる。ちょっと周囲の視線が痛いけど、そんなのどうだっていいよね。だって大好きな人と手を繋いでるんだ、周囲の目なんて気にする必要ないよな。

 月子の右手を覆うように、ボクはもう片方の手も伸ばした。柔らかい、温かい、小さい、綺麗な月子の手。むにむにと指でその感触を確かめる。
 ああ、いる。ちゃんとここに月子がいる。情けない話しだけど、まだ不安なんだ。もう隅っこから月子を見ているだけというのは嫌なんだよ。

「んちゅ……」

 引き寄せて、手の甲にキスをしてみた。唇から伝わる感触は、意外と骨っぽい。月子は恥ずかしがっているようだ、嫌がられていない。
 ……あ、この爪、ちょっと割れてる。もったいないなぁ、綺麗な指、爪なのに。

「あむっ」
「わっ、こらっ」

 その指をぱくりと咥えたら、すぐに引き抜かれた。そしておでこをぺちんと叩かれてしまった。拒絶ではない、子供に怒るお母さんみたい。
 別にとって喰おうってわけじゃないのに。ぺろぺろしたいなぁ。

「だめ? ぺろぺろしちゃだめ?」
「……したいの?」
「うんっ」
「もう……しょうがないなぁ」

 しぶしぶ差し出された指を、ボクはバクンと咥え込んだ。
 ぺろぺろ、レロレロ。味がするわけじゃないんだけど、おいしい。くすぐったそうな月子の顔見てるとおいしく感じる。

 この距離感ならできるかな……チュー。チュー、できないかな……
 う、う、う、
 うおー! いけるか? いけるのか? 頼むお前ら、勇気をくれ!

「ね、ねえ、月子」

 ボクは身体を起こした。
 痛い、心臓が鳴り過ぎてて痛い。

「急にどしたの?」
「えっと……」

 臆するな……勇気を、勇気を!

「ボク、月子と、キス、したい」
「…………?」

 月子はハテナ顔。「何言ってるの?」みたいな表情をしている。
 ダメ、だったか……

「変なの」
「ぐっ……」

 うぐぐっ……そんな言い方しないでよ……うう、涙が出そう……

「そんなに改まって言うようなこと?」
「……ふぇ?」
「キスぐらい……強引にしてもいいんだよ……?」

 ふいっと月子は顔を背けた。

 つ、
 つ、
 つ、

 月子ー!

「んっ」
「……ふぁ、ぁ」

 ボクは勢い良く抱き締め、月子の唇を奪った。念願だった月子の唇はマシュマロのように柔らかかった。
 唇を舌でなぞり、「ねえ、開けて?」と目で合図を送る。すると、開いた。ボクはすかさず舌を突っ込んだ。
 月子の唾液。さっき飲んでいたオレンジジュースの味がした。

「はっ、は、は、は」

 顔を離し、ボクは荒い呼吸を整えた。
 さっきよりも鼓動がひどい。これがキスってやつなのか……ああ、なんて甘美なものなんだろう。身体が昂ぶってしかたがない。
 月子は顔を赤くしたままうつむいている。すごくかわいい!

 キスもできた。これで確信した、もうある程度のことなら拒否されることはない。
 ようやく、ボクが最もやりたかったことができるかもしれない。
 もうチューまでしたんだ、それに今のボクは勇気が溢れている。

「月子。お願いがあるんだけど」
「……えと、まだ心の準備というか……覚悟ができてなくって……」
「ああいや、ソレじゃなくてね」

 エロいぞ月子。
 まあそれはおいおいするとして。

 ボクは月子の髪に触れ、一房、優しくつかんだ。
 綺麗だなぁ。さらさらで、艶もある。ボク、月子の髪、好きだ。


「髪、切らせて」


 月子が固まった。今度は、信じられない、といった様子。
 前にボクは月子の黒髪が好きって言ったよね? でもいろいろ考えて思ったんだけど、月子の身体ってさ、アイツの手垢がついてるわけじゃん? で、その手垢を拭いたいんだよね。手や唇はどうやって無理だろうけど、髪だったら切ってしまったらそこまでじゃないかな? 切るだけで手垢が取れるんだぜ?

「えと、なんで……?」
「ボクね、ショートヘアの月子も見てみたいんだ」

 というもっともらしいウソ。
 案の定困っている月子。うふふ、そうだね、ボクは知っているよ。月子は髪の手入れ、欠かさないのね。毎日毎日丁寧に手入れをしてキューティクルを保っているよね。
 その髪を切ってしまいたいんだよ。どんな顔をするんだろう。ああマズイな、サディズムが出てきたよ。

「それはダメだよ……どうして? 好きって言ってくれたのに」
「好みが変わったんだ」
「そんな……でも、イヤ。ぜったいイヤだよ……」
「切らせてよ、『伊藤月子』」
「ハイ」

 ボクは月子からハサミを受け取り、月子の後ろに移動した。
 月子は人形のように動かず、意志が感じられない。
 あーあ、結局『命令』使っちゃったよ。

 ボクは月子の髪をある程度まとめる。そこにハサミを通して――


 ジョキン


 月子から離れた髪をゴミ箱に入れる。


 ジョキン
 ジョキン
 ジョキン


 伸ばすときは時間かかるのに、切るときはあっという間だね。
 ジグザグに切り揃った月子の髪。ちょっと長めに残したから、あとで美容院で整えてもらおうね。

「……似合う?」
「ん?」
「髪、短いけど、似合ってる?」
「うん。似合ってるよ」

 そんな悲しそうな顔しないでよ。大丈夫、長い髪も素敵だったけど、短い髪も可愛いよ。

 ボクは月子を寝かせて、上から被さり、唇を奪った。




『コメント返信』



 ボクはずっと月子にキスをした。手や脚や、頬、おでこ、唇。あらゆる場所にキスをした。
 そのあとはいっしょに美容院に行ったよ。肩をちょっと超えるぐらいに揃えてもらって、月子も落ち着いたみたい。似合ってるよ、月子。

 ああそうだ、お前らに訊きたいことがあったんだ。
 月子にあれこれしてやろうと思ってるんだけど、どんなことしたい? 言ってみなよ。



[54] 何が起こった!? <2012/02/08 22:59:54> LyYYaCO.P

 何って、ステキなことさ。



[55:第 話「ボクのカノジョは超能力者」] 神道「神道です。なんだか大変な事になりましたね」 <2012/02/08 23:05:39> LTgKKIA/P

 おい……悪ふざけはやめろ、貴様ら……!



[56] なんなのこれ…これは次回に期待するしかないな <2012/02/08 23:06:09> hdnIcpD0P

 ふふふ、どんどん期待してくれ。今回はどうだったかな?



[57:第 話「ボクのカノジョは超能力者」] ギアスだと… <2012/02/08 23:07:48> qUNX/d61P

 コードギアスって作品の主人公と能力が被ってるみたいだね……知らなかったんだ……ほんとなんだ……



[58:第 話「ボクのカノジョは超能力者」] 月子さんの陽太愛を甘くみないほうがいい……はず。 <2012/02/09 01:50:19> FYkJbIk1P

 たくさんチューしたけど、まだ甘く見ないほうがいいの?



[59:第 話「ボクのカノジョは超能力者」] 女・・・? <2012/02/09 12:33:22> uKyvsGN1P
[60:第 話「ボクのカノジョは超能力者」] ほほぅ・・・これはこれは/// <2012/02/09 13:03:03> OsH/4kh0P
[61] 『まあいっしょに合コンに行ったり、サイドポニーやツインテールとかいろいろ遊べたから』この辺に違和感を覚えるな <2012/02/09 21:41:31> aHpm2I21P
[62] 「(胸が)ボクよりちょっと小さいぐらいがいいな!」だと…? <2012/02/10 00:05:04> RfYzVWj1P

 これ以上このことをツッコむな……これが最初で最後の警告だぞ……!

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