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第二話【これが七味だ】

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さて、

「帰るか…深井は今日部活無いのか?」

「うん、腹痛が痛いって言ってきた」

「お前のために休んでくれたんだぞ、八木野」

「スァーセンwwwケヒヒwww」

俺は登下校にチャリンコを使っている、しかし深井はバス、鈴木さんは徒歩である。

つまり。

「ほれ八木野ー!次どっちに曲がるのー!」

「ちょっ、まっ、て、て、」

何故か俺のチャリンコに深井と鈴木さんが二人乗りしている、そして持ち主の俺が走っている。

これがレディーファースト、恐ろしい。

「大丈夫か深井、次の信号で代わってやろうか?」

「大丈夫大丈夫!鈴木ちゃん軽いし、短距離で鍛えた脚力を見よ!」

「おっ、俺と、代わっ、て!」

「次どっちー?」

「あ、左ー」

てなわけで我が家に着いた。

「わりと近いね」

「そうか?俺はいつもの二倍以上に感じたぞ」

「一人暮しなんだな」

「あーそうそう、やっすいアパートだけどな」

さて、淀川先輩が来る前に部屋で構えていなければ。
油断した。

淀川先輩は『放課後…君の家で…』と言った。

細かい時間指定が無かったから急いで帰ってきたが。

まさか俺たちよりも早く来ているとは、そしてドアの前でつっ立っているではないか。

「あ、あわわ…」

「もういるじゃん…しかもドアの真ん前にいるし」

「あれが淀川先輩か…たしかに何か怖い雰囲気があるな」

「だ、誰から行く?」

「いやお前だろ、八木野が当事者だし」

そりゃないぜ!

しかし二人がいる分かなり心強い、逝くぜ。

「お、おくれてすいません!」

淀川先輩がギョロっと言わんばかりにこちらを見た。

ひぃ。

「…遅いじゃない」

「す、すいません…」

え、怒ってんの?表情が変わらんからわからん、怖いってことはわかるけど。

「………」

「………」

この沈黙、た、耐えきれん!
19, 18

  

「あの…ご、ご用件は?」

恐る恐る聞いてみた、何故この人は人の目をガン見するんだろうか。

相手の目を見て話すのはいいことだけども。

「………部屋に…」

部屋だと?今部屋は血の染みが見えないようにあえて散らかしているからあまり見られたくない。

あくまで、あえて散らかしているのである、ホントだよ。

しかしこの淀川先輩、わざわざ部屋に入りたがるとは、まさか昨日の一件での責任を感じ掃除をしに来たのではないだろうか?

なんだ、良い所あるじゃないか!

「あぁどうぞどうぞ!散らかっておりますが!」

あえて、な。

「おじゃまします…」

淀川先輩はスーッと部屋の奥に行った。

「ちょっと、八木野!」

深井がこそこそ声で俺を呼んでいる。

「どうしたどうした」

「どうしたじゃないわ!部屋に入っちゃったけど良いの?」

「あぁ、もう少し様子を見ようと思ってな…」

「結局私たちは何をすればいいんだ」

「ど、どうしようか」

「どうするも何もできることなんt…ヒッ!!」

深井が悲鳴を上げた、鈴木さんもハッと息をのんだ。

「なんd…」

振り返ると、俺の目の前、寸前に黒い点。

淀川先輩が立っていた。
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