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3:立たぬなら、立つまで待とう、幼馴染フラグ

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そいつは、ダン―と足を踏み鳴らして、俺の行く先を塞いだ。

「ようやく登場か、おっそいよー!?」

ピン、と跳ねたポニーテールが呼吸と一緒に揺れている。
企むように組んだ腕と、にやりと笑った顔。

椎名つかさ―幼稚園からの幼馴染で、何かと俺につっかかってくる。
「幼馴染フラグ」とかではない。
羨ましがる奴はいるが、実際はそこまで嬉しいわけでもないし。
それに、俺はこいつを女として見ていない。

「ふふふ、高校も一緒になるとは...。まあ、これからもよろしくね!」
ニコッ―と微笑みながら握手を求めてくる。
普通の奴はこの笑顔に騙されてしまうのだが...俺はそうはいかない。
「ああ、そうだな」
にこやか営業スマイルで握手を華麗にスルーする。
その柔らかそうな手を握り返せば、絶対手の骨が砕かれる。

シュッ―

...俺の頬をスラリと伸びた足がかすめる。
「新春、初試合ということで」
語尾にハートを付けて可愛らしく言う。
こいつは空手部、柔道部、合気道部に同時に所属し、闘う事が大好きだった。
不良と喧嘩なんかはしないし、その趣味に問題は無かった。
...俺を喧嘩相手にすること以外は。
「新春の使い方が違うぞ」
5

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