二〇一二年の俺/人大甲
小説を書くに当たり、大事にしていることがあると思います。それはプロットであったり、環境であったり、各々が“これ”と掲げるものがあるでしょう。俺にとってはテンションこそが執筆意欲に直結している要素なのです。
思えば四年前、就職する間際までは「この人テンションおかしい」で通っていた俺ですけれども、この世知辛い世の中で以前のままのテンションを維持したまま生き抜くことは難しい。それでも打たれるごとにニョキっと復活していた俺ですが、さすがに四年という歳月は尖ったテンションを丸くするに十分な時間だったようなのです。
個人的な事を言わせてもらうと、自分で自分が詰まらない奴になってしまったという評価を下さざるを得ない状態なんですよね。
結果、どんだけ書いても“面白い”と以前は思えたであろう自分の文章は、何時見ても潰れて乾燥したナメクジにも劣る思いしか浮かばなくなってるんです。
二〇一二年という年は、その状態から如何に抜け出すかを重点的に考えて過ごして来たと言っても過言ではありません。
まず最初に、俺は小説から離れることにしました。休みの日に部屋でずっと進まないワードパッドと睨めっこすることを辞めようと。そうして新しい趣味を探しているうちに、ダーツが現れました。
たまたま飲んでいた所がダーツバーで、負けた奴はウォッカ一気という殺人未遂的な罰ゲームが切っ掛けで初めて触ったのですが、これが中々面白い。何が面白いって、全然当たらない。生来の負けず嫌いがそこで目を覚まし、ウォッカを一気飲みしながら“これしかない”と思いましたね。
それから三ヶ月ほどパソコンのパの字すら触らず、暇があればダーツの練習をするという生活が続きました。今までの俺を顧みると、異常だったのでしょう。何事も無く、ダーツをやらなくなっていました。当たらないし。
その時点で薄々感づいていたのですが、性懲りも無く新しい趣味を見つけようとし、カラオケに辿り着きました。声を出すのは昔から好きだったので、これしかない、そう思いましたね。
それから三ヶ月ほど、休みが来れば一人だろうとカラオケボックスに篭るという生活を続けていたのですが、ある時、急に咳が止まらなくなったんですね。それでも気にせずにカラオケに通い続けた結果、肺炎を患いました。
土曜日の朝、いつも通りカラオケに行こうとベッドから出ようとして、身体が異様に重いことに気付く。身体も顔も熱っぽいし、もしやと思って熱を測れば、40℃という見慣れない数字が目に入る。当時は夏、季節外れのインフルかと思って覚束ない足取りで病院に行くと、咳が出ているということで胸のレントゲンを撮られる。即入院でした。
人間というのは自覚してしまうとその通りになると言いますが、肺炎と診断された後の俺は瞬く間に調子が悪くなり、飯も食えず、三日三晩点滴オンリー生活を強いられることとなりました。瞬間最大体温は42.1℃をマーク。お医者さんから真剣な顔で「親御さん呼んじゃう?」と聞かれた時は死を覚悟しましたね。
結局一週間ほど入院したら治ったので、無事退院となったのですが、その時にはもうカラオケのカの字も頭に無く、そのまま流れるように仕事が忙しくなり始め、気付いたら年を越そうとしていました。
その頃、さすがにバカちんの俺でも気付きました。テンションとか色々小難しいことを並べたけど、結局は飽きやすいだけだったんだと。思えば何時もワードパッドを開いている時はニコニコ動画やYoutubeも一緒に開いていたり、唐突に麻雀が始まっていたりしました。
こんな飽き性の俺ですけれども、ここまで続けたからには終わらせないといけない奴(カレー)があるので、ちょっとだけ頑張ろうと思います。
今年の抱負:完結させる
来年も同じ抱負になると思います。