あれから数日、俺はSOTENにログインし続けているが、
Qやあのスナイパー男の動向も今、全くわからない。
なんせ、Qに至ってはあの日からログイン履歴が無いのだ。
丁度そのころ、俺はある不思議な感情に支配されていた。
(Qの生活はどうなったんだろうな・・・ 多分もう大丈夫になったからログインしないのかな・・・)
彼女のことを考えてはすぐ、焦燥感を覚える。 この感情をどこかで否定しながらも否定しきれない自分もいる。
(ああ、俺、あいつのこと・・・)
そう確信した瞬間、いても立っても入れなくなり、ゲーム機の電源を入れる。
俺はゲームの中に身を投げ入れた。
ログイン早々、俺はフレンドリストのログイン履歴をチェックする。
ログイン・・・3分前。
俺はQとアクセスを図る。 すると彼女からすぐに攻防モードへの招待が来ていた。
『一緒に参加してください。 攻防モード 防衛側』
俺はすぐにワープし、彼女の元へと行く。
「Q!」
「おっ、ジャック~」
「最近どうだった?」
「今日久しぶりにログインした。 お金溜め込んで置けるうちに溜めないといけないからまだ金稼ぎはやめないつもり。」
「俺も俺も。」
『攻防モードを始めます エリアF15へワープします。 よろしいでしょうか?』
Qと俺は迷うことなく『はい』のコマンドを選び、転送される。
「よろしくみんな。」
重たそうな装甲を見にまとうアバター『高太』が口火を切って話しかけてくる。
「というか、今回のエリア、僕初めて体験しますけど、基本湖が広がっていますね。 装備が重たい人は湖に落ちないように気をつけましょうね。」
僕といってはいるが、見た目は完全に女性である。 彼女は『あーかいぷ』と名乗った。 彼女の装備は軽装の割りに武器が強力である。 スキルも見るからに高そうだ。
「お前は・・・ジャック!」
俺のことを知っている者がQのほかにもいた。 彼の方を見ると、闘技場モードでやっていたころ戦った男がいた。
「鉄男!?」
二章
「随分と懐かしい顔じゃねえか」
かつての敵はそう笑い飛ばすとあの日の戦いの後のように右手をさしのべる。
「久しぶり、ジャック」
「こちらこそ、鉄男」
「よし、じゃあ俺たちは防衛側として協力して頑張っていこう」
高太の言葉を皮切りに、俺たちは湖岸にそって歩いていった。
「…静かだね…」
あーかいぷが呟く。それ以外の音は雑草を踏みしめる10本の足から発せられるものだけである。
「じゃあ、今のうちに作戦を考えましょうよ。 二手か三手に分かれるべきだと俺は思うんですが」
俺の言葉に鉄男とQはすぐさま賛成の反応を示す。 だが、高太は反対の意を示した。
「…このゲームに参加する奴はだいたい実力が同じ奴ばかりだ。 2VS1なんて状況に立たされて勝つ自身はあるか?」
高太の真剣な目つきに思わず俺は黙ってしまった。
「…俺はない。 だから全員で行動をする。 5VS5なら勝ち目が見出せなかったとしても5手に分かれて逃げれば時間稼ぎにはなる」
「…なるほど…的を射てないわけではないな。ここは高太の言うとおりにした方が良さそうだ。 なあジャック」
「そうだな。 そうしよう」
俺は渋々納得すると、足元に視線を落とした。 いつでも逃げ出せるように足の武具を軽いモノに変えておいた。
「Qも武具変えておいたら?」
「私は…負ける気無いから… 5VS5になろうと1VS1になろうと逃げるつもりは無いわ」
相変わらず彼女の自信満々の態度に呆れながらも、俺たちはまた一歩一歩歩き始める。
仮想空間の太陽が西側に沈み始める頃、時計はあと4分のところを指していた。
「ヒャッハー! 一網打尽のチャンス到来ィィィイイイイイイ!!」
頭上が叫び声がした。 俺は反射的に上を見上げるよりも先に、武器である洋刀を腰から抜いていた。
―いつでも戦えるぜ…
一人の男が5人に囲まれるように中央に着地した。 そして両手に持っていた大型の鎌を360度ぐるぐる回って振り回す。
「うろおおおおおおおおお」
奇声を発しながら回る男の脳天めがけて、高太がピストルで一発だけ発砲する。
綺麗に打ち抜いた。 頭蓋骨の穴から多量の血が流れ出る。
―1人仕留めた。 そう思った矢先だった。
湖岸沿いの道から少し離れた森から、体長2mは超える熊が現れた。
かつての敵はそう笑い飛ばすとあの日の戦いの後のように右手をさしのべる。
「久しぶり、ジャック」
「こちらこそ、鉄男」
「よし、じゃあ俺たちは防衛側として協力して頑張っていこう」
高太の言葉を皮切りに、俺たちは湖岸にそって歩いていった。
「…静かだね…」
あーかいぷが呟く。それ以外の音は雑草を踏みしめる10本の足から発せられるものだけである。
「じゃあ、今のうちに作戦を考えましょうよ。 二手か三手に分かれるべきだと俺は思うんですが」
俺の言葉に鉄男とQはすぐさま賛成の反応を示す。 だが、高太は反対の意を示した。
「…このゲームに参加する奴はだいたい実力が同じ奴ばかりだ。 2VS1なんて状況に立たされて勝つ自身はあるか?」
高太の真剣な目つきに思わず俺は黙ってしまった。
「…俺はない。 だから全員で行動をする。 5VS5なら勝ち目が見出せなかったとしても5手に分かれて逃げれば時間稼ぎにはなる」
「…なるほど…的を射てないわけではないな。ここは高太の言うとおりにした方が良さそうだ。 なあジャック」
「そうだな。 そうしよう」
俺は渋々納得すると、足元に視線を落とした。 いつでも逃げ出せるように足の武具を軽いモノに変えておいた。
「Qも武具変えておいたら?」
「私は…負ける気無いから… 5VS5になろうと1VS1になろうと逃げるつもりは無いわ」
相変わらず彼女の自信満々の態度に呆れながらも、俺たちはまた一歩一歩歩き始める。
仮想空間の太陽が西側に沈み始める頃、時計はあと4分のところを指していた。
「ヒャッハー! 一網打尽のチャンス到来ィィィイイイイイイ!!」
頭上が叫び声がした。 俺は反射的に上を見上げるよりも先に、武器である洋刀を腰から抜いていた。
―いつでも戦えるぜ…
一人の男が5人に囲まれるように中央に着地した。 そして両手に持っていた大型の鎌を360度ぐるぐる回って振り回す。
「うろおおおおおおおおお」
奇声を発しながら回る男の脳天めがけて、高太がピストルで一発だけ発砲する。
綺麗に打ち抜いた。 頭蓋骨の穴から多量の血が流れ出る。
―1人仕留めた。 そう思った矢先だった。
湖岸沿いの道から少し離れた森から、体長2mは超える熊が現れた。