退廃
文字に囲まれている。
空が赤い。
鳥が啼いている。
横たわったコンクリートに書かれた数式は、よく考えると、意味の無い文字と数字の羅列で。
空を覆っているあの大きな球体は、よく見ると、地球より大きいだけの、見慣れた赤い果実で。
耳をつんざく翼の悲鳴は、よく聞くと、僕の内側から出ているようだ。
僕の内側は。よく見ると、どうやら限界が訪れているようだ。
僕の内側は。よく考えると、意味の無い精神と記憶の羅列だったんだろうな。
僕の内側は。そうして、よく聞くと、音がしなくなっていた。
動かなくなった彼の寝ている場所は、何も無い荒野でした