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VS勇者 むかし交わしたヤクソク 今回の浄化はなし!

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  先代の勇者はめちゃくちゃな野郎だったらしい。王様に世界を救えという命令を受けた瞬間、まずは王国周辺の魔物を根絶やしにしたらしい。勿論命乞いをする魔物や、敵対意思のない魔物、戦うことのできない老いた魔物や幼い魔物、病気で苦しんでいる魔物も……
  結果としては魔王を討伐し人間サイドに平和というが訪れたが、そのあとが問題だった。一時期勇者の思い付きで人間と魔物が手を取り合って生きていけるような世界を作ろうという話しになったらしいけど、魔物側は猛反発。だが、このままではいけないと思ったのが新しい魔王。またいずれ人間と魔物の戦争が始まると思った彼は勇者と交渉。そして1つの契約が結ばれたという。
「それがお前の言う殺さずの呪いというやつか」
「まぁ、悪い言い方になるけどそうよね。今後この世界の人間と魔物はお互いに殺し合わないようにしましょう。万が一のために殺しあえない呪いをかけておきましょうねって話しよ」
  だが、この話は色々引っ掛かる。そもそも俺はこの世界の人間ではない。
「それにしても長く続いてるな。もう数百年も前の話だろ?」
「そう。だから、弱くなっているのは確かなの。だからね……」
「だから?」
「人間側の呪いが解ける前に魔物側の呪いを解いて本格的に世界征服をやっちゃおっかってね」
「ま、まじか!」
  ハーピィは綺麗な目で俺を見据え「マジよ」と一言いい放った。
「でも、それを四天王と呼ばれるあんたが俺に伝えてもいいのか?後でやつらのところに戻ったときどうするんだ」
「いいのいいの。別に好きであそこにいたわけじゃなくて、楽しく暴れられたらいいなって思ってなんとなく居ただけだし」
  意外と魔王の配下も一枚岩ではないらしい。なんとも悲しい話だ。
「まぁなんとなく俺がこれからやるべきことはわかったよ。だから魔王の居場所を教えてくれや」
「え!?、あのぉ、それはそのぉ……」
「まさか……知らないのか?」
  テヘっと笑って舌をだすハーピィ。いっておくけど可愛くないぞ。  心のなかをまたも読まれたのか「うるさい!」という一言と共におしりに回し蹴りを喰らう。くそ、やっぱりあのとき殺しておけばよかった!
「まあ感謝しなさい。このピリア様があんたのお供になって残りの四天王を倒してるうちに魔王の居場所なんてわかっちゃうわよ」
「へぇ、お前らにも名前があるんだ」
  へへん、と威張るハーピィのピリア。なんで威張る。
「そうよ!あたしの名前はピリアよ」
「で、お前俺に着いてくるの?」
  ピリアの表情に困惑が浮かび上がる。え?なにその反応こっちが困るんですけど。
「まってよ!あたしたち魔物が他人に名前を教えるってことはあんた達でいう求婚と同じくらい重要なことで、それだけあなたを信用していることなの!」
「そんな文化は知らん!お前らの文化を勝手に押し付けるな」
  ふと、頭に妙案が浮かぶ。とても意地悪がしたくなった。
「もしかして、俺のこと好きになっちゃった?」
  急に顔を赤くしたと思ったら、俺に風の魔法をめちゃくちゃにかけてくる。やめて!死んじゃう!
「こっちは親切心で言ってるのにあんたって人はぁ!」
「無理!やめて!それに一人のほうが楽だし!」
「え!?…………ば、バカぁぁぁぁぁ!人の気持ちを知らずにぃ!」
  おまえは人じゃないだろという突っ込みを入れる前に、泣き声が混じった怒声と特大竜巻が俺を全力で襲った。あれ?これ、結構やばいんじゃね?嗚呼無情。助かったと思ったのに、結局中心部で風によって八つ裂きにされる俺。竜巻はすぐに消えたがダメージは大きい。痛みで薄れ行く意識。最後に目に映ったのは泣きながらなにかを叫んでいるピリアの姿だった。
  このアマ、起きたら絶対に殺す。痛みが増す毎にいつの間にか視界が真っ暗になった。
「残念なお知らせです。ハーピィ・ピリアは勇者に敗れたようです」
  地下室と思わしき場所でピリアについて語る声。現在部屋には3つの影がある。
「種族としては最弱とはいえ、単純な戦闘能力は私たちとほぼ同等かそれより上の彼女が敗れるとは意外ですね。」
「ということは、勇者に真っ正面から戦闘を挑むのはあまりよろしくないようだな」
  こほん、と咳払いをする声。その主が話を続ける。
「さらに残念なお知らせですが、ピリアは勇者側につきました。」
「あのじゃじゃ馬を手懐けたのか!」
「これは困ったことになりそうですね」
  ゆらりと、身をよじる松明の炎。消えてしまうということを伝えているようだ。
「……なら私の部下を使いましょう。あれならなんとかやってくれるはずです」
「おお!確かにお前の部下であれば直接手を下さずとも勇者を永遠の眠りにつかせることができるかもな」
「ええ、そうです。そう、一生目を覚ますことのないようにしてくれるはずです。伝えておきます。直ちに勇者を向かい討てと」
20, 19

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