初めてみる流星群に溜め息を吐く兵士。美しい、美しいが、これを戦場以外のところで見たかったと後悔をする。
ふと、兵士はあることを思い付く。「流れる星、一つ一つに願いをかけよう」
また別の場所、そこは歓喜に包まれていた。杯を交わし、労をねぎらい、散った友に思いを馳せる。突然、顔を真っ赤にした若人が天に向かって叫ぶ。全員が天に顔を向けると、そこには大量の流れ星が……
ここは密林。月明かりさえない暗闇を、先の戦いで生き残った僅かな部下を率いて帰還する兵士。勿論彼も怪我をしている。いつたどり着くか、いつ追い付かれるか、いつ力果てるか……
そんなことを考えていたその時、突如空が明るくなる。敵の迫撃砲か、はたまた照明弾か、回りに隠れる指示をだし、自分も、たまたま見つけた穴の中に逃げ込む。
気休めにしかならないが、頭を抱えなるべく体を小さくする。
しかしなにも起こらない。穴からゆっくりと、様子を伺いながら出ていく。未だにそとは明るい。見上げれば、木々の間から、一筋、二筋と、星が落ちていく。緊張感から解放され、兵士はその場にへたりこむ。少しだけ休憩しよう。大切な部下にそう命じて、ゆっくり落ちていく星達を眺める。
焼き尽くされる故郷、荷車と馬が地を蹴る音、子供達の泣き声。
助けられなかった、逃げることしかできなかった。
後ろから悲鳴が聞こえる。奴等が来たようだ。今はただ、追い付かれないように逃げるしかなかった。なにも考えず、ただひたすら。この時だれも気づかなかった。自分達の頭上を星が流れていることに。
少女は窓から身をのりだし、月を眺める。ゆっくり目を閉じ、三回祈る(どうか御無事に……生きて帰って)
三回祈り終わり、ゆっくり目を開けると一筋の流れ星が……
「ちょっと早かったかな?」
誰に言ったわけでもないその言葉。その願いが叶ったかは誰も知らない。