70話 絡みあう想い
あたしはいつも迷ってばっかだった。
パパやママを殺され、森をさまよっていた時も、ミーシャがあたしを見つけて導いてくれなきゃ野垂れ死にしていた。
神様や精霊に祈りを捧げながらも、心の中は仇への呪いでいっぱいで、力を欲しながらも、それは復讐や殺しがしたいだけなんじゃないかとか、自分がイヤになったりもして頭の中はぐちゃぐちゃだった。
義勇軍に入ってからはクラウスの後ろばかりついていっていたけど、彼の言葉や考えに触れなければ何もできない未熟者だったからだ。戦場の現実はとても厳しくて、吐き気を催す邪悪さで、きっと彼が助けてくれなければ、あたしは精霊戦士と呼ばれるどころか、何もかも呪いつくす悪魔と呼ばれていたと思う。弱い人たちを守るどころか見下すようになっていたり、心を荒んでしまって、あたしを姉のように慕ってくれるレダやハレリアやリエカたちにだって邪険になっていただろう。
でもクラウスやミーシャのおかげでそうはならなかったし、あたしも少しは心も体も強くなった…と思う。
そして今、森であたしを見つけてくれたミーシャや、戦場で助けてくれたクラウスが危機に陥っている。
もう迷うことはない。
今度はあたしが彼らを見つけて助けるんだ。
走る、走る。
三頭の竜のうち、最後の一頭がひた走る。
精霊戦士ビビ、そしてゲオルクからビビのサポートをするよう命じられたゴンザ率いる僅か二十騎──だがゲオルクが選抜した特に優れた精鋭のハイランド騎兵たち。
「おじさんたち、こっちだよ!」
「おじさんって…俺ァ、まだそこまで年くっちゃ…」
言いかけてゴンザは思いとどまる。目の前を走るビビはまだたったの十三歳のエルフの少女だという。ただでさえ短命種の人間の自分は、彼女からすればあっという間に老人になっていくのだろう。
(それにしても)
ゴンザは密かに溜息を漏らす。こっちは騎兵だというのに、先行する徒歩のビビとはちっとも距離が縮まらない。息切れも起こさず野山を自在に駆けていく姿は山猫のようだ。ハイランドの精鋭が誰一人として追いつくことができない。一人で十人の兵を相手にできると言われている自分たちが。
これが種族差というものなのだろうか。いや、彼女は普通の戦士ではなく、精霊戦士というものだったか。アルフヘイム全体を見ても数人しかいないというが、まさに文字通りの一騎当千の強者だ。
ゴンザは己が傭兵であることを強く自負している。そもそもゲオルクなどは傭兵王を名乗っているが「王」の部分が強い。根無し草ともいえる傭兵としてはゴンザの方が傭兵らしい傭兵だ。ゲオルクの配下としてハイランド王国からついてきたが、野心だってそれなりにある。今はゲオルクを私淑しているためにアルフヘイム側に味方しているが、別段アルフヘイムに義理や情があるわけでもない。状況によってはもしかしたら甲皇軍に味方することだってあるだろう。心のどこかでそういう気持ちは常に残している。ゆえに、この戦争全体を客観的にかつ中立的な目で観察していることも多い。
(だが、甲皇国が何でこんな戦争を仕掛けたってのは良く分かってねぇんだっけ…? もう何十年も続いている戦争だから開戦理由も忘れられちまったってことだったか。しかし、あの嬢ちゃんを見てると…結局のところ甲皇国の人間は亜人を恐れて戦っているような気がするぜ)
同等かそれ以上の知性と能力を持つ異種族。それもかつて、古代ミシュガルド時代においてエルフは人間を奴隷のように扱っていたというではないか。人間が恐れるのも当然といえば当然。それが先鋭化し、亜人絶滅という過激な思想になったとしても無理はない。勿論、いくら相いれないといっても他種族を絶滅させようなど許されない行為だが…。
「アルフヘイム軍か!?」
「ここは通さんぞ!」
こちらを見とがめる声。
前方に敵、甲皇軍の銃兵集団が現れる。
主戦場は要塞正面であり、ニコロやトーチが率いるアルフヘイム軍主力部隊が甲皇軍主力部隊と戦っているはずだが、何せ敵は数が多い。こちらの要塞東側にもそれなりの守備兵が陣取っていたようだ。ご丁寧にコンクリートで固められた陣地が築かれていて、銃兵が三脚に立てた大型機関銃を構えているではないか。
「あれはやべぇ。側面に回り込んで陣地を潰さねぇと」
ゴンザはそうビビに警告するが、ビビはお構いなしだった。
「そんな時間…ない!」
「はっ!?」
ビビは背中に抱えていた全金属製ハルバードを手に取り、渾身の力を込めて敵陣地へ投げつける。
「うわあああ!」
甲皇軍兵士らの悲鳴とともに、敵陣地が粉砕され、コンクリートと鉄と血と肉片が飛散した。それなりの規模の陣地が何の犠牲も戦術も使わずに力押しに無力化されたのである。
「……」
ゴンザは言葉も出ない。
(あれが敵だったらと思うと…よく甲皇軍はこんな化物のような連中を相手に戦争を始めたものだ)
そこだけは、敵の勇気に賞賛の言葉を贈りたい。
そして、同情もする。
もう心は偽れない。
剣を大きく振りかぶって遠くの敵にまで強く見せる必要もない。
腰に下げた剣が届く範囲だけ守れれば良い。
いずこからか砲声が響いている。恐らく甲皇軍とアルフヘイム軍の最終決戦が行われているのだろうが、今の俺には関係ない。
アルフヘイム軍総司令としてではなく、ただ愛する妻を取り戻したいだけの男には…。
「こちらです、クラウス」
「確かなのか、アメティスタ…?」
「はい。大きな魔力を感知しました。そこにミーシャさんがいると思われます」
「分かった。急ごう」
俺とアメティスタは早歩きで山道を進む。
アメティスタは先導して前を歩いているが、時々心配そうに俺の方を振り返ってくる。
「ところで…体は大丈夫なのですか、クラウス」
「大丈夫、とは…?」
「先のアリューザ戦以来、例の業病によって命も危ぶまれていたではないですか」
甲皇軍がアリューザを爆撃した際に謎の黒い雨が降り、それに打たれた者は〝黒蓮病”と呼ばれる体調悪化に悩まされていた。俺も一時期は目が見えなくなったり体がきしんで動くのも辛くなっていた。同様の症状となった者は他にも多くいて、次々と衰弱して命を落としていたが…。
「問題ない…アリューザ以前の状態と変わらないようだ」
「では完治したのですか?」
「ああ…恐らくはな。治る見込みなどないと医師にも治癒魔術師にも言われていたのに、何故だか良く分からないが…」
「…まさに奇跡ですね。神や精霊のご加護に感謝しなければ」
「フェデリコが黄金騎士団兵士を動かし襲撃してきて…ミーシャやルキウスが危機に陥った…あの時だ」
俺は剣の柄を固く握りしめる。
大丈夫だ。
問題なく、あの時のように剣を振るうことはできるだろう。
戦場で、俺は後方で指揮を執ることが多く、それほど前線に立って戦うことはしていなかった。ただ、ビビやアメティスタのようには戦えないが、鍛錬はしてきた。相手が甲皇軍の強化兵のような桁違いの相手でない限り、何とか切り抜けられるだろう。
「……あの時、俺はアルフヘイム軍総司令の立場は忘れ、ミーシャとルキウスを守りたいという一心となった。その時、ふっと心が軽くなるのを感じたのだ。妻子のためと思えば、あれほど動かすのも辛かったのに、不思議と体も軽くなっていた。──やはり、俺に軍の総司令など柄ではなかったということなのだろう」
「…不思議なことですが、それが神か精霊かの意思というなら、その御心のままに動くとしましょう」
アメティスタの言う通りだ。
神か精霊かは知らないが、このアルフヘイムの戦史の表舞台から、英雄と呼ばれたクラウスは降りる時期が来たのだ。そう、これは天啓なのだろう。単なる一人の男として生きよという。望むところだ。もう心は偽れない。元々、俺は故郷や人々を守りたいがために剣を取ったに過ぎない。地位も名誉も財産も不要だ。これまではアルフヘイム軍総司令という肩書があったがために多くの人々を守ることができた。しかし、誰よりも守りたいと願う|妻《ミーシャ》や|息子《ルキウス》のためには、その肩書が邪魔になりつつあった。
「クラウス…」
俺は駆けだす。
そうだ、もう心は偽れない。
古い自分は脱ぎ捨て、新しい自分となって生きるのだ。
名誉も何もない、故郷すら捨てていくこととなろう。
だが後悔はない。
愛する妻と息子さえ隣にいれば。
「ミーシャ!」
私はクラウスが好き。
誰よりも彼のことが好きだと自信を持って言える。
私自身は何の取り柄もない弱い人間だ。強くもないし頭も悪い。できるのは身の回りの平凡なことばかり。平和な時代ならそれでも良かったかもしれないけど、今は戦時中だし、余計に私は何もできない人間だと思い知らされてきた。
ただ一つ、私は平凡な人間だから、いつも通りに過ごしたいと願っていた。村を焼け出された時も、日常を失わずに過ごしていたいと考えた。だから村を失って打ちひしがれていた避難民のみんなを励ましながら森の中でもいつも通りに過ごそうとしてきたし、ビビやレダみたいに親を亡くした子供たちにとって安心できる場を作ろうと努めてきた。そこだけは、小さなことかもしれないけど、私は頑張ってきたことだと思う。
クラウスと再会した時、彼は英雄と呼ばれ始めていたけど、中身はいつもの彼だった。いつもと変わらず、私に微笑みかけてくれた。そんな彼が、私はやっぱり好きだ。
彼がみんなから頼りにされ、アルフヘイム軍総司令と称賛されるようになっても、実際のところ…喜ぶことなんてできなかった。それは私だけの彼ではなくなるということだし、いつか彼が私から離れていってしまうのではないかとばかり恐れていた。
でもクラウスはやっぱり優しいままで、地位や名誉を得ても昔と変わらずに私に接してくれた。軍の総司令と呼ばれて、戦場ではとても勇敢な姿を見せていても、私の前ではやっぱり変わらないままの彼だった。
ビビやアメティスタやサイファや…多くの素敵な女性から愛されているのに、平凡な私を選んでくれている。だからきっと、子供ができても、長命のエルフだから若々しいままの彼に対して私だけがおばあちゃんになっちゃっても、彼は変わらずにいてくれると思う…。
だから。クラウスが変わらず私に接してくれるから、私も変わらず彼を愛して、いつも通り過ごして、そして「お帰り」って言ってあげるんだ。
「………お帰り、クラウス」
「………ただいま、ミーシャ」
ひしと抱き合うクラウスとミーシャ。
互いにもう二度と出会えないかもしれないと絶望していたこともあり、万感の思いが胸を去来していた。
「アメティスタも来てくれたのね…ありがとう。クラウスを守ってくれて…」
「いえ。ところで、サイファの姿が見えないようですが…」
「……」
「そうですか…‥やはり…いえ、そうではないかと思っていました」
ミーシャからサイファの最期を聞いた。
半ば覚悟はしていたが、やはり彼女らしい死に方だと思う。
(サイファ……お前が導いてくれたおかげで、クラウスはミーシャさんと再会することができたぞ…)
私は空を見上げる。
サイファが今わの際に放った爆炎は、ゲーリング要塞へのアルフヘイム軍の総攻撃のきっかけにもなっていたが、その膨大な魔力の残滓は、サイファの身近にいた私なら即座に彼女のものと感じ取ることができた。広大な要塞内をあてもなく探していたら、ミーシャを見つけることなどできなかっただろう。
アリューザ後の命がけの撤退任務の際に、サイファは死んだものと思われていた。それが生きていただけではなく、再びこの場でクラウスとミーシャを助けることになったとは。再会することができなかったのは残念だが、大きな大きな爪痕を残してくれたものだ…。
私は密かにサイファへ感謝の涙を流す。
だがそれも一時だけである。
ここは戦場であり、涙はすぐに拭わなければならない。
「さて…無事に再会できたのは喜ばしいですが」
私は再会を喜び合っているクラウスとミーシャに向き合う。
「一刻も早く下山しましょう。要塞にアルフヘイム軍の攻撃が始まっています。ここも安全とはいいがたい。下山して、アルフヘイム本陣へとあなたが姿を見せれば、皆も安心するし、士気も上がるでしょう」
「ああ…しかし、軍の総司令の座を捨てて飛び出してしまった俺などが戻っても戦況はそう変わらないと思うが」
「そんなことはありません。あなたはみんなの希望なんですよ」
「アメティスタ」
「!……はい」
クラウスの表情が険しくなる。
幾たびも危機を乗り越えてきた彼のこの表情が意味するところ。
それは、敵だ。
死んでいったサイファのためにも…私がクラウスとミーシャを守らなければならない…!
「感動の再会のところをすまないな」
がちゃりと鎧がこすれる音を響かせ、黒塗りの全身鎧をまとった男が森の陰から現れる。黄金に光る不気味な大剣を手に持っており、ただならぬ殺気というか、怨念のようなものを放っている。直接対面するのはこれが初めてだが、この姿は、噂のあの男か。
「黒騎士。エルカイダとやらの首領か…?」
「そうだ。英雄クラウスに、竜人の女戦士アメティスタだな。高名な二人にお目にかかり光栄なことだ。お初にお目にかかる。我が名はヴァニッシュド・ムゥシカ…であるが、人は黒龍騎士、月影の騎士、あるいは黒のフュルストなどと呼ぶな…」
「エルカイダは甲皇軍に対して独自に多くの攻撃を繰り返していると聞く。アルフヘイム軍としては助かっている面も多い。だが、そのやり口は…」
クラウスは顔を曇らせながら首を振る。
黒騎士は挑発するように高笑いをした。
「ふっ……ははははは! 手段を選ばないやり方だと、聞いているのだろう? 実際その通りだ。汚い、卑劣と言われるような戦い方もしてきたよ。しかし私は忘れない…! 同胞の血で赤く染まった大地を! 血を分けた家族を食われた者もいる。やつらは我らの安寧を踏みにじり、嬉々として暴虐の限りを尽くした。戦士として死なせてくれず、女子供は蹂躙された! 我らの流した血はやつらの血で癒されるのだ!」
「…自分たちの憎しみを晴らすために、手段を選ばずに憎しみの連鎖となってしまうような戦いをすれば、戦いはいつまでも終わらない。俺たち義勇軍は、戦うことのできない民のために戦い、戦争を終わらせ、このような悲しい戦争を二度と起こさないために戦っている。そこが君たちとは違う…」
私も彼らエルカイダの話は聞いている。クラウスの言うことは正しい。黒騎士の言うように憎しみで戦っていては戦争は終わらない。だが、南方戦線からずっと戦ってきた私から言わせてもらえば…同胞を多く殺され、憎しみを糧にすることで戦ってきた彼らは、今更そのやり方を変えることは難しいだろう。
あるいは、あの黒騎士は、ありえた私の姿かもしれない…。
南方では多くの同胞が死んでいった。それこそ、甲皇軍との戦いに疲れ、やつらへの憎しみがなければ一歩も歩けないほどだった…。
だが、私はクラウスと出会うことができた。
黒騎士は、ああなる前に、クラウスと出会うことができなかった。
そこが明暗を分けたと言えよう…。
「…うむ。理解してもらおうとは思わんよ。ただ、我らの目的のためには、もはや英雄クラウス。貴公はすでに邪魔な存在となっている」
黒騎士は黄金に光る大剣を構え、殺気を増幅させる。
すぐさま私もクラウスの前に出て腰の長剣を抜いて、黒騎士に対峙する。
「何の真似だ、テロリスト」
「ふふふ…分からぬか? 良いか、この戦争はじきに終わろうとしている。一時期、アルフヘイム政府上層部は、貴公の命を甲皇軍に差し出すことで和平を為そうと考えていたようだ。しかし、私に言わせればそれは英雄の“使い道”としては下策。むしろ英雄の死によって、怒りにかられた民衆によって戦争は激化するであろう。つまり」
黒騎士は剣を振るった。
刃が交差し、私はやつの剣を受け止める。
中々の手練れだ…これは私の手にも余るかもしれない…。
「英雄どの。悪いがここで死んでもらおう。我々エルカイダは甲皇軍を絶滅させるまで戦いをやめるつもりはない。私はずっと貴公の動きを見ていたが、ただ一人の平凡な女のためにだけ動いていたな。そんな者はもはや戦いにおいては役立たずだ。だが今死ねば…英雄としてはこの上なく士気を高めるのには役立つであろう。これぞ上策というもの」
「ふざけるな!」
私は剣を払い上げ、黒騎士を退ける。
だが黒騎士は距離を取ったのを幸いに、大剣を持つ右手を下げ、今度は左手を突き出して雷撃の魔法の詠唱を始めた。
「スレイヤード・スレイヤード・バルモル・暗き闇の雷よ……」
「くっ…あれは!」
いかん。私も竜人族のはしくれだ。魔法耐性なら多少あるが、クラウスやミーシャを守り切れるほどではない。何よりあれはかなり高位の雷撃呪文。広範囲に轟く雷撃は、私が盾になったとしても防ぎきれない。
「死ね、英雄よ! |黒いイナズマ《ブラックサンダー》!」
「……!」
雷撃が飛んでくる。
かわしきれない。
無駄かもしれないが、せめて衝撃を和らげることができれば。
私はクラウスとミーシャの前で両手を広げて盾となった。
ヴァゴゾン!
と、大きな破砕音が響く。
あの高位雷撃魔法なら、私を跡形もなく黒焦げにしていてもおかしくないのだが……おかしい。生きている?
「穏やかじゃねぇな」
生意気そうな口を聞く、夕焼けのようなオレンジ色の髪の少年が、私達の前に立っていた。黒騎士よりも大きな剣を構え、あの雷撃をくらったらしいがぴんぴんとしている。
この姿は…まさか…ビビから聞いたことがあるが、なぜこいつが私達を守ったというのだろうか。
「どうしてお前がそこにいる? 小僧」
「へっ…戦争はじきに終わる。だが、俺にはやり残したことがあってな。きさまとの決着がついていなかった。探したぜ、黒騎士」
「噂では死んだものと聞いていたが、生きていたとはな。私の前で震えていた小僧の分際で、“黄昏”などと異名を取るようになったらしいな。少しは使えるようになったか…?」
「試してみるかい?」
甲皇軍の強化兵メゼツ。
体表面に施された魔術紋章によって絶大な魔法防御と物理防御を誇るうえ、亜人を白兵戦で凌駕する格闘能力を持つという。そいつは噂に聞く生意気そうな憎たらしい表情を浮かべ、だがなぜか私達を守るように黒騎士と対峙していた。
つづく