男は手の平から飴玉の様なものを優一に見せた。
「俺の…夢…?」
「あぁ…そうだよ…、君は子供の頃から特撮ヒーロー仮面ライダーが大好きだ
だが好きな反面、中学生になっても未だに特撮ヒーローが好きな自分に恥じらいと嫌悪感も同時に抱いている
非常に複雑な心理状態だ…君みたいな年頃の少年にはよくある事だが…」
「なっ…何でそんな事…誰にも言ってないのに!!…あっ…」
優一は顔を真っ赤にし口を手で押さえた。
「ふふっ安心しな…これは君と私だけの秘密にしといてあげるから…」
そして男が続けざまに
「中学二年生…それは人生の中で一番多感で内なる無限の可能性を秘めた時期だ…特に君みたいに現実に満足出来ていない人間にはね…」
「一体…何の話をしてるんですか?」
「今君の中ではどこにぶつけて良いのか分からない莫大なエネルギーがマグマのように沸々と煮えたぎっているんじゃないか」
男が優一の胸にツンと人差し指を当てる。
「この飴玉を飲み込めば刺激的な日々が送れる、もう退屈な毎日とはおさらばだ、君が待ち望んでいた世界が待っているよ…」
男は飴玉を優一の手に握らせ窓から飛び降り去っていった。
優一は男の話の内容が整理できずただただ呆然と男から貰った飴玉を見つめていた…。