【雑誌】ベータマガジン
【作品名】セキーネのミシュガルド開拓史
【作者名】さーばん山本
【作品URL】http://nonstopshort.web.fc2.com/sekine/
【兎人族の生みの親】
さーばん山本先生のハイクオリティミシュガルド漫画。
元々、ミシュガルドワールドに兎人族という概念を持ち出したのがさーばん先生である。
先生の作った兎人族の「セキーネ・ピーター・シルヴァニアン」というキャラクター。
明らかにラビット関根からイメージされたキャラクターだし、キャラクターシートの設定を見る限り、「お嬢さん、モフモフ(セックス)しませんか?」などと言ってる色ボケギャグキャラとして作られたようだ。
ところがである。
その後、バーボンハイム先生が黒兎人族の「ディオゴ」というキャラを生み出した。兎人族とコウモリ族のハーフで、兎人族に差別される一族という設定。
その設定を拾い、私が「ミシュガルド戦記」という小説で実際に兎人族に差別される黒兎人族を書き、それに触発されたバーボンハイム先生も「黒兎物語」でますます設定を膨らませていき…。
気が付けば、セキーネというキャラは単なるギャグキャラではなくなってしまっていた。
「ミシュガルド戦記」と「黒兎物語」で付け足された設定をすべてアリとするならこうだ。
セキーネというキャラは、「亜人には珍しい戦術家で高い指揮能力を持つ」「でも先の大戦では連戦連敗のヘボ司令官」「兎人族最強の特殊部隊・十六夜の隊長で、亜人屈指の格闘家」「ただのスケベおやじでいくつものセクハラ訴訟を抱えている」
などといった複雑なキャラクターとなっていったのだった。
雪だるま式にどんどん設定が膨れ上がっていく。これもまた、ミシュガルドというシェアワールドの醍醐味かもしれない…。
色んな作者が好き勝手やっていくうちに、どんどん新たなキャラ付け、設定が生まれてくるという…。
いや、さーばん山本先生本当にすみません。
本作は、我々小説組が勝手に付け足しちゃった設定を全部拾って頂いて、上手いこと尻ぬぐい…いや、綺麗にまとめてくださっている。
実にありがたい内容となっており、しかもハイクオリティな作画。
みなさん、これが本当の兎人族の正史なんです!
【ミシュガルド戦記と黒兎物語と関連はあるが…】
「ミシュガルド戦記」と「黒兎物語」も長くなってきているし、それぞれに出てくるセキーネやマリーの設定は独自のものだったりもする。
だからいちいち小説なんぞ読まなくても、本作だけ読めば兎人族については説明されている。
本作でセキーネやマリーに興味を持ち、別の顔を持つ彼らを見たくなったなら小説も読めばいいかな?というところだ。
ちなみに、ミシュガルド戦記では3・4・17話にちょっとだけセキーネを出しただけで、黒兎物語でも中盤にそれなりの頻度でセキーネやマリーが出てくるぐらい。
そこまで重要な役回りではない。
第一、ミシュガルド戦記と黒兎物語はどちらも「ミシュガルドワールドでかつてあった戦争時代」を書いたものである。
本作は戦後の時代を描いたものとなっている。
やはり、さほど読まなくても問題はないだろう。
【ハイクオリティな作画】
息を飲むような流麗な作画。
セキーネ編ではそこまで思わなかったが、マリー編では魅力的な女性キャラが多く出てきてエロく感じる。
ミーア、アルペジオらが特にエロく感じるのだが、ボディラインがくっきりした作画のおかげだろうか。
さーばん山本先生の絵は、余計な線やゴミが一切なく、画面構成が整っていて、何が描いているのか分かりやすい。背景もしっかり描き込まれている。
よくあることだが、凄く上手いのに、キャラクターと背景が同化してしまって見づらい絵がある。
本作は見れば一目瞭然だが、そういうのが一切なくてとても見やすい。
作画には恐ろしく時間がかかってそうだが…。
セキーネ編は割とあっさり終わったが、マリー編では戦争時代の話や甲皇軍も関わってくるみたいだし、兎人族の謎についてもっと深く知ることができそうだ。
それを拾って、私もミシュガルド戦記でまた新たな話を作り出せそうなので、そういう意味でも続きが楽しみな作品だ。