【雑誌名】週刊少年VIP
【作品名】勇者と伝説の「ギ」
【作者名】竹トンボ
【作品URL】http://densetsunogi.web.fc2.com/
【地味に凄い・基本がしっかりできた王道少年漫画】
クオリティの高い王道少年漫画。
最初は一発ネタと思っていた「ギ」だけど、そこから安定して更新を続けてくれている。
こういう一発ネタを膨らましてくれる漫画というのは結構新都社でヒットする要素の一つかもしれない。
本作の凄いところは、やっぱりコマ割りが物凄く見やすいこと。
絵もしっかりペン入れされていて状況が分かりやすく、心地よいテンポだ。流し読みしていても容易に話の筋は理解できる。
新都社にはそういう基本がしっかりできていない漫画が多いので、地味に凄い。
ベタで分かりやすい内容でもあり、少年漫画のお手本のようだ。
絵柄のためか、ボンボンとかコロコロに載っていてもおかしくないと思う。
小学生男児に初めて見せる漫画としては新都社でも最も適切かもしれない。
80-90年代に見た感じというか、私にはちょっと懐かしい。
また他の作品を例に出しちゃうが、「魔法陣グルグル」あたりを思い出す。
初期から大きく絵柄が変わることは無いが、それはつまり一話から完成されているということか。
商業漫画のような完成度というか、実に安心して見ていられる。
【魔王とギーワ】
安定感はあるが、どうも猿にしても鳥にしても「かませ臭」がして全然怖さはなかった。
猿「セイキマツゴリラ」、鳥「トリーダ」と来たから次の敵は犬か? 魔王軍は桃太郎モチーフか?
そう思わせるストーリー展開だったが、魔王とギーワはシルエットのままなので正体は分からず。
ギーワという名前からも犬かどうかは判別がつかない。犬っぽいといえば犬っぽい名前かもしれないが、ギーワ→キワ→つまり側近という意味? もしくは「ギ」と関係がある?
デスクワークを得意とする魔導師というところからしてちょっとキャラがつかめない。
桃太郎モチーフと決めつけるのは早いかな?
良い意味で予想を覆す展開を期待したい。
【今後の展開について】
「ギ」については未だ謎が多い。濁音飛ぶのかよ!というのが最近では一番笑った。
余り深く考える話でもないと思うが、何を考えてこんなものが伝説の武器として残されたのだろうか。
誰が作ったのかとか、そもそもなんでカタカナの「ギ」の形をしているのかとか。
そのあたり後々説明されるのだろうか?
と、私はついつい世界観から難しく考えてしまうところなのだが、余り深く考えずに頭空っぽにしてその場のノリを楽しめば良い漫画である。
気楽に構えて勢いを楽しみたい。
一発ネタじゃなかったのか!?という時点で驚いた本作だが、やはり話のスケール的に長くやる話でもないだろう。
余程壮大な仕掛けや次なるインパクトがない限り、長編にするにはキツそう。
最初の敵から3大幹部だったことだし、このままテンポよく4章でギーワ、5章で魔王と戦って、中短編規模で小さくまとめた方が勢いは失速しないで済むかと思われる。
4章では魔法使いの女の子・モモクが出てきたが、ようやくヒロイン登場だろうか?
ただやっぱり主人公同様に地味なので、話を長期化させるほどの魅力は無さそう。
キャラで勝負している漫画ではないだけに、テンポよく話を進めた方が飽きずに済むだろう。
中だるみだけが心配である。