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3 ふたりのうたごえ

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あるひのこと
しろくんとなみくんのもとに ひちわのなみぶんちょさんがきました。そのなみぶんちょさんは
なみくんとにていますが よくよくみると
くちばしはまるくなっていて からだも おおきくありません。
そのこは ももちゃんといいます。
ももちゃんはしろくんとなみくんのうたをきくのがだいすきで だいすきで しかたが ありません。

ぶんちょうさんは おとこのこだけしか
うたをうたいません。

「みゅー みゅー ぴじょぴじょびじょー・・きゃるるー・・・みゅー ぴじょー ぴじょー ぴぴぴじょっ・・・ ぴじょ ぴじょー・・・ぴぴぴぴじょっ」
なみくんは じまんののどをふるわせて
さえずります。
なみくんは ぴのおとをつづけてだすのが
とくいです。
「うわぁー きれいな こえだねー」
ももちゃんは なみくんのうたごえに うっとりです。
(ぼくも まけてられないぞー)
しろくんは おおはりきりです。
むねいっぱいに いきをすいこむと
うたいはじめました。
「みゅみゅみゅー・・・
ぴじょーぴじょ ぴじょー ぴじょー きゃるるー・・・ みゅみゅみゅー ぴじょー・・・みゅみゅみゅーみゅみゅみゅー」
まけじと しろくんはのどをふるわせてうたいます。しろくんは みゅーというおとをだすのがとくいです。

「うわぁー かわいいこえだねー すてきー」
ももちゃんは
しろくんのうたごえにうっとりです。

しろくんのうたごえに きらきらと
おめめを ひからせた ももちゃんのかおをみて
くろくんは やきもちを やいてしまいました。
「ぼくのほうが じょうずだもん!」
くろくんは ごきげんななめのようです。
しろくんもまけてはいられません。
「ぼくだって じょくずだもん!!」
しろくんは いいかえします。

「ぼくのほうがじょうずなのにー!!」
くろくんは まっかなくちばしを おおきく あけて
おこっています。
「うるさいなー!! ぼくだってじょうず って
いってるだろー!!」
しろくんも まけじと まっかなくちばしを おおきくあけて おこりました。

「へたくそしろくんのくせになまいきだぞー
このー!!」
くろくんは しろくんを つついてしまいました。
「いったいなー なにするんだよー この一!!」
しろくんも くろくんをつつきかえします。

とうとう ふたりは つつきあいになってしまいました。
「ぎゃるるーるるー!!」
「ぎゃぎゃぎゃー!!」
ふたりは こわいこえを だしながら つつきあっています。

「もう いやー!! けんか いやー!!」
ももちゃんは つつきあう ふたりを とめようと
ふたりのあいだに はいりました。

「いたあっ!」
ふたりのくちばしが
ももちゃんの おでこと ほっぺたに あたってしまいました。

「いたい・・・ いたいよお」
ももちゃんは なきだしてしまいました。

ふたりは なきだした ももちゃんのかおをみて
かおが まっさおになりました。

「ももちゃん!!」
「ももちゃん!!」
しろくんもなみくんも いたがる
ももちゃんのかおを しんぱいそうに じーっと
みました。 さいわいなことに ももちゃんは
けがをしていませんでした。
でももし、あとすこし ずれていたら
めにあたっていたかもしれません。
ももちゃんは しょんぼりとしています。
「ごめんね ももちゃん」
ふたりはももちゃんにあやまります。
でも、ももちゃんはあたまをよこにふっていいます。
「もう ふたり・・・けんか いや・・・なかよくして」
ふたりは かおをみあわせました。
なかなか あやまることができません。
ももちゃんは つづけていいます。
「・・・ふたりのうた すき・・・なかよくして」
ふたりは はっと われにかえりました。
ふたりのせいで いたいおもいをしたのに
それでも ももちゃんは
ふたりのうたがすきといってくれたのです。

「・・・ごめんね しろくん」
くろくんがあやまります。
「・・・こっちも おこってごめんね くろくん」
しろくんもあやまります。

「もういっかい ききたいねー
ふたりのうた すきー」

ももちゃんはいいます。
しろくんと くろくんは みつめあいます。
きをとりなおすと ふたりは またうたいます。
しろくんがたずねます。
「くろくんのぴのおと かっこいいー
どうやって だしてるのー?」
くろくんはてれくさそうにたずねます。
「・・・しろくんも みゅーのおと かわいいね・・・
・・・どうやって だしてるか おしえて?」

ふたりのすがたに ももちゃんも にこにこです。

ふたりはまなびました。
おたがいのよさに やきもちをやくのではなく
しっかり ほめてあげることが たいせつなのだと。
そして おたがいのよさを べんきょうしたいと
いうことが たいせつなのだと。

はわいとうは きょうも げんきです。
きょうも また げんきな はわいとうのかぜが
ふたりのうたごえを はこぶのです。
3

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