トップに戻る

<< 前 次 >>

2017年12月4日「サヌルカヌイ」

単ページ   最大化   

2017年12月3日更新作品から



「サヌルカヌイ --ループする世界-- 」http://sanurukanui.web.fc2.com/



 ノゴハン先生作品。
 以前にも「電脳帝国編」が終わるあたりで感想を書いたことはある。(http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=18928&story=27)

 まぁ、以前感想を書いたことのある作品に共通して言えるのだが、前に書いたので大体それで言い尽くしている。作品に新しい変化なり面白いことが無ければ、余り大したことは書けないかと思う。
 で、その時の感想で書いていたことで。

>「領主の国」「湖の街」と、最初の二話は、今迄見たことがない作風で新鮮で面白かったけど、もしそういう短編がずーっと続いていたら途中で飽きていただろう。

 と書いていた。
 これは最初の二話は、背景も凄く頑張っているし独特ではあるのだけど、話の連続性が無く、単調に感じたのだ。
 その後、「電脳帝国編」で長期シリーズに入って様々な魅力的なキャラが次々と登場し、めくるめく驚きの展開をずっと見せてくれたので、興味深く読むことができた。話の連続性があったおかげだ。「駄文」で色々と明かされているが、一瞬で消える使い捨てのようなキャラにまで細かい設定が付与されており、そういうのも含めてそれぞれのキャラの因果を読み解くのが面白い。一度読んだ後、裏設定をすべて理解した上でもう一度読んでみると更に面白いのだ。
 喜ばしいことに、これはその後の長期シリーズでも継承されていた。
 「タイムトラベル編」でカレンが登場し、「パラレルワールド編」では最初の読切で出ていた兄妹の話を別視点で見せてくれ、「キノコの世界」でその後も登場する有能副官クレメンスが登場し、「ヒーローたちの世界」では新主人公化したサイ・アークが登場する。途中からサヌルカヌイは狂言回し的なポジションに落ち着き、表向きの影は薄くなっているが、展開が煮詰まってきた時にすべてをぶち壊す水戸黄門的存在として君臨している。特にサイ・アークとクレメンスは特筆すべきポジションで、動向から目が離せない。サイ・アークは表の主人公で、クレメンスは裏の主人公という形で。「天空編」でも有能ぶりをいかんなく発揮しているが、いずれ本当にサヌルカヌイにクレメンスの胞子が届くのではないかとワクワクさせられる。
 絵柄もやはりフルカラーで見やすいし、背景は少なくなったもののところどころ力は入れられており、WEB漫画の描き方にノゴハン先生が非常に熟練されてきたなという印象。つまり、それは初期のモノクロ時代の独特の味は少し薄れたものの、それは「えぐみ」とか「くどい」と感じるところもあった。それが薄れ、軽妙さが増してすっきり味に仕上がっている。多くの人に読まれやすく、受ける内容になったと思う。
 また、一気読みに向いている作品だと思った。時間がある方は一日中どっぷりこのサヌルカヌイワールドに浸ってみるのも悪くないと思う。
 ノゴハン先生は親切にも「駄文」を読まなくても良い仕様にしているけど、手を出したらどんどん読んでしまうだろう。
 それは、発狂しちゃうかもしれない面白さだ。





以上です。
34

後藤健二 先生に励ましのお便りを送ろう!!

〒みんなの感想を読む

<< 前 次 >>

トップに戻る