2017年12月27日更新作品から
「怪人ハンターズ」http://villainhunters.web.fc2.com/
明けましておめでとうございます。
さて、新年一発目の感想は、阿比留上級大将先生の「怪人ハンターズ」である。
最近、別の方の感想企画も始まってそちらでも語られていたので、私のはいらないかなとも思うが、本作は紛れもなく新都社を代表する看板漫画だし、色んな感想があってもいいだろう。
最新更新分、またしても血生臭い描写が続いている。
まず気になったのが、前章で敵であるイェーガーは成敗されたものの、まったく爽快感がないまま新章で更に読者へフラストレーションというかストレスを与える展開になっていること。
これまでの章を見る限り、ネクロフィリア編の死姦レイパーから老人編の楽屋まで。暴虐を振るった彼らも徐々に追い詰められ、読者の留飲を下げる形で報いを受けている。死姦レイパーは裸にされて一般人から罵られながら投石を受けたり、楽屋も部下たちのミスに足を散々引っ張られまくられたりと。彼らのしてきたことの十分の一にも満たないけれど、ちゃんと報いらしきものは受けている。
ところが、グルメ編のイェーガーときたらそれが殆どなかった。死ぬ寸前までハンターズたちを苦しめようやく成敗されただけ。みっともなく土下座もしたが、それぐらいか。ひよこという大きな犠牲にまったく見合っていない。そして読者としては喪失感を味わったまま、またしても弱者が虐殺されていく展開を見せられている。
ハードモードにも程があるというか、これはまさしくハードを超えるデストロイモードである。
これまでのパターン通りなら、これから数章に渡って怪人無双は続くと思われる。遅れに遅れるハンターズによる成敗は最後の最後だけ。なので、ひたすら虐殺展開が好きな人は絶賛するだろうが、ストーリー面を期待している人には辛いかもしれない。これまでギリギリ勧善懲悪ドラマのスタンスを崩していなかったのが、ちょっと怪しいものとなってきた。つまり、単にエログロホラーを楽しむだけの「妖精で遊ぼう」のようになってしまっている。
これは、結構ライトな読者層は切り捨てていく展開なんじゃないかと危ぶんでしまう。まぁ、第三十九話まで本作を読んでいる読者なら耐性はついているだろうし今更心配はないだろうが、さすがに「きっついなー」と改めて感じた読者もいるだろう。主人公無双やチートが好きで、主人公が苦戦するところを見るのは何より嫌うライトな読者にはまず耐えられそうもないし、嫌われるところだ。まぁ、私は好きだけど……はっ、もしや、「妖精で遊ぼう」にコメしまくってる小学生を呼び込もうという深謀遠慮では……いやまさか……うーむ、大将ならありえる(笑)
思えば、「熱河の竜」とか「落陽の狼」とか、かっこいい二つ名がついているような上級怪人は、成敗はされてもそれまでにドラマなりあったし、犯罪行為にもポリシーが見られる怪人はそう不快感はなかった。ちらっと登場していたが、最上級怪人の「ルイーズ・テレジア大デューク」とか「アクセル・スチュワート元帥」とか、吸血鬼とブギーマンの戦争についてなんかめちゃくちゃかっこいいのでどうなったのか非常に気になっている。
ところが最新話の亜怪人たちときたら徒党を組んで弱者をいたぶるばかりで、亜怪人は人間に近いというが、実に人間らしく、ポリシーも無く、蛮性に身を委ねただけの犯罪者たちである。画力が凄いだけに今まで以上に不快感が凄く、思わず目を背けたくなる。イェーガーなんかは虐殺死体で常軌を逸したグルメを作成するギャグ要素もあったが、今回はそういうのは無い。が、不快感と生々しさで言えばこれまででトップクラスだ。
FEV軍やマジ感謝ホテルのように、徒党を組んで組織的な犯罪をしていた連中はどちらも内部崩壊を起こしたりみっともなく壊滅しているので、今回のお風呂キングと愉快な仲間たちも是非読者がスカッとするような壊滅を期待したい。
ストーリーの流れとしても、新たな「ドレイクキラー」が出現して、怪人たちの暴走に歯止めがかかることが期待されるところだろう。でもそれは、恐らく三~四話は先になるのは分かっている…。地獄はまだまだ続くに違いない。
とりあえず、表紙にも出ていたち〇ぽおったててる漆黒の犬の活躍が気になる。
以上です。
2018年1月7日「怪人ハンターズ」
■怪人ハンターズ感想追記
少し追記しておきたいことがあったので。
残虐な描写ばかりが目に付く本作だが、前提としてウェットな描写を多く入れ、虐殺される人物へ存分に感情移入させてから殺してくる。その緩急が凄いからこそ怪人の非道が引き立っている。
前に「妖精で遊ぼう」みたいになってしまっていると書いたが、あちらには妖精への感情移入は殆どない。そういう点で、本作は「妖精で遊ぼう」がライトにエンターテイメントとして虐殺をしているのに対し、ハードなドラマとして虐殺をしているという明確な違いがある。ということで、訂正をしておきたい。申し訳ありませんでした。
最新更新分でも幼い兄妹が出てきて、妹の方が母を想っている描写など入れている。(死亡フラグにしか見えないが…)
ジハード編のサトルとレッドウルフ。老人編の良助、石工の老人、犬のスノウを絡めたドラマには見応えがあった。最新更新分でもひよこの死を嘆く家族たちの描写も真に迫っている。
大将の凄いところは、このウェットな表現が実に感情に訴えかけてくるところ。そっちが余りにシリアスなので、虐殺がちょっとギャグに見えてしまうことがあるぐらいだ。恐らく虐殺展開が好きだからこそ本作のような漫画を描いていると思われるが、普通にハートウォーミングでシリアスなストーリー漫画も描けてしまいそうである。
ということで、大将の他の漫画ってのも読んでみたい。
今は本作にかかりきりだと思うが、もし手がすいたら虐殺もホラーもないハートウォーミングな漫画を描いてみても…と思ったが、好みではないかな(笑)
そしてもう一つ、キャラへの感情移入を十分にさせてから殺してくるから読者は感情を揺さぶられるけれども、描いている作者はどういう心境なのかというのが気になってしまう。
私は小説書きだからそうでもないが、漫画は視覚効果がある分、よりいっそう自分のキャラは子供のように見えるというか、感情移入しちゃったりしないだろうか? 読者でもあれだけ感情移入してしまうということは、作者もそれ以上に感情移入していておかしくない。そのキャラを容赦なく虐殺できるというのはかなり凄いことでは? 失礼ながらどういう精神構造をしていらっしゃるのか非常に気になるところだ。それとも、漫画は漫画だからという冷めた目で描いているのだろうか…。
気になったのはそんなところ。
以上です。
少し追記しておきたいことがあったので。
残虐な描写ばかりが目に付く本作だが、前提としてウェットな描写を多く入れ、虐殺される人物へ存分に感情移入させてから殺してくる。その緩急が凄いからこそ怪人の非道が引き立っている。
前に「妖精で遊ぼう」みたいになってしまっていると書いたが、あちらには妖精への感情移入は殆どない。そういう点で、本作は「妖精で遊ぼう」がライトにエンターテイメントとして虐殺をしているのに対し、ハードなドラマとして虐殺をしているという明確な違いがある。ということで、訂正をしておきたい。申し訳ありませんでした。
最新更新分でも幼い兄妹が出てきて、妹の方が母を想っている描写など入れている。(死亡フラグにしか見えないが…)
ジハード編のサトルとレッドウルフ。老人編の良助、石工の老人、犬のスノウを絡めたドラマには見応えがあった。最新更新分でもひよこの死を嘆く家族たちの描写も真に迫っている。
大将の凄いところは、このウェットな表現が実に感情に訴えかけてくるところ。そっちが余りにシリアスなので、虐殺がちょっとギャグに見えてしまうことがあるぐらいだ。恐らく虐殺展開が好きだからこそ本作のような漫画を描いていると思われるが、普通にハートウォーミングでシリアスなストーリー漫画も描けてしまいそうである。
ということで、大将の他の漫画ってのも読んでみたい。
今は本作にかかりきりだと思うが、もし手がすいたら虐殺もホラーもないハートウォーミングな漫画を描いてみても…と思ったが、好みではないかな(笑)
そしてもう一つ、キャラへの感情移入を十分にさせてから殺してくるから読者は感情を揺さぶられるけれども、描いている作者はどういう心境なのかというのが気になってしまう。
私は小説書きだからそうでもないが、漫画は視覚効果がある分、よりいっそう自分のキャラは子供のように見えるというか、感情移入しちゃったりしないだろうか? 読者でもあれだけ感情移入してしまうということは、作者もそれ以上に感情移入していておかしくない。そのキャラを容赦なく虐殺できるというのはかなり凄いことでは? 失礼ながらどういう精神構造をしていらっしゃるのか非常に気になるところだ。それとも、漫画は漫画だからという冷めた目で描いているのだろうか…。
気になったのはそんなところ。
以上です。