カーリマーターは行く先を告げる神である、
人々にここへ来たれとヴィジョンを与える、
そのために作られた神である。
あらゆる人にそのヴィジョンは送られる、
たとえ罪人であったとしても、
全ての人に贈られる。
ツォンタヲールは夢を見た、
その夢は人間に幸福を示す夢、
「オロカナ」
ツォンタヲールは黒い霧を纏うと、
その乳を垂らしながら、
人間に悪夢を見せんと、
彷徨い始めた。
「あの場所は住み心地は良さそうだったが、
やっぱり違う、人間の住まえる場所じゃない」
シノノメ ウタイは、直感的に、
夢のお告げを否定した、
アルフヘイムに所属していた。
シノノメ ウタイは旅烏のような三度笠を、
くいっとやって風を感じると、
頭の角に反応するのを感じていた。
「やっぱりそう、あそこは戦いが起きる、
争いの場所だ、はやく止めないと」
止めることが果たして出来るだろうか?
「またしても人間が自然を支配しようと
いうのか!!」
ルビート・スタッグは夢のフロンティアへ、
向わんとする人々を苛立って眺めていた。
「あの中には我が故郷を滅ぼした、
甲皇国人も混ざっているだろう!
エルカイダとしても大義名分が立つ!」
だが個人的な感情で行動は出来ない、
彼にも心情があった、
甲虫戦士である彼は故郷を皇国に滅ぼされ、
禁術で自らの憩いの場を奪われたのだから。
「エルカイダは動かぬか、
黒騎士に掛け合ってみるか」
タラ・コッド=ヘリング・ド=レイクは、
SHWの水中海賊、魚人である。
潜水私掠船アンモナイトの船長でもある。
「ミシュガルドの特産品を積んだ船はどこだー!?」
「船長叫んでも見つかりませんよ」
あの夢のフロンティア騒ぎ以降、
移民船団と、カカシを満載した船は、
多く見かけるようになったが、
ミシュガルドから本国へ帰る船には、
材木などが多く積み込まれ、
今は貴重品や遺跡の探索をしてる、
冒険船自体が希少なのだ。
「お宝どこだー!!」
「船長、もうちょっと努力して、
酒場で聞きこむなりしましょうよ」
「ふぎーーーーー!!」
陸に上がるのを嫌がる魚人族らしく、
今は潜望鏡で周りを眺めるばかりである。
「あの夢、まだ噂してるのか」
アレンくんは、エルカイダに所属している、
凄惨な過去からエルカイダ入りを決めた青年だ、
「人間とはわかりあえそうにないよね」
そう口にするとナイフを取り出して、
ペンペンと叩いて見せる。
「でもエルカイダは手をこまねいてる」
何故だ?
「一人二人殺してみせてあげようか」
「その石ください」
農家とカカシに頼み込むと、
「やった、鉱石ゲット!」
「良かったなリーフ」
リーフとドリュアスはそれぞれ、
エルフの少年と木の精霊のコンビ、
「やっと根を下ろして休めそうだね、
ドリュアス」
「そうじゃなリーフ、よいしょっと」
「ここらへんの開拓も終わったみたいだし、
秋には実りがみられるだろうね」
「どうじゃろうかな?わからんぞ、
作物ばかりは天気が左右するしの」
「そっかドリュアス」
「ほれワシのキノコをやろう」
「あ、ありがとう、ドリュアス」
若干、欲しくない。
「ろくじい、あの夢はなんだ?」
「ん六録緑めずらしいのう」
六録緑は妖の里でのことそれ以前のこと、
自分が妖なのかさえ良く分からない、
「あの夢はのう、ミシュガルド全体が、
見る夢のようなものじゃ、
つまり、わしと六録緑が、
ミシュガルドに取り込まれて
いる証拠なのじゃよ」
「なんだよそれ、ちょっと気持ち悪いな」
「ほっほっつほっ心配いらんよ、
夢を見ているものが明らかになれば、
次第に範囲は狭まって、
見る必要のないものは見なくなるんじゃ」
「変だよな、夢って」
六録緑も気がついたら、このろくじい、
という雲のような小型精霊と話すように、
なっていたし、何でも不思議なものである。
「次は、何をしようか?」
「おかえりなさいませ、あら?
ガイバル・ギルデリックご主人さま!」
アリシア・スノウはメイド喫茶「もえ☆VIP」
にガイバル・ギルデリックが通うことを、
快く思っていた、金の払いが良かったのだ。
「うむ」
ガイバル・キルデリックも悪い気はしなかった、
御主人と呼ばれることに。
「当店自慢のすぺしぁるこーすは
いかがですか?」(ギュィィィィィィン)
「頼む」
「はいどうぞ♪」
出されたのはミックスジュースであった。
「悪くない味じゃ」
「それはもちろんですわ、うふふ」
「ところで夢の話じゃが、
わしとそちで同じ夢を見ておらんかの?」
「夢の話ですか?
ロマンチックですわね、
ご主人様」
「あの草原の夢は神託に近しいものじゃった、
もしそれがかなうのなら、
すべての人が等しく報われるじゃろうな」
「草原の夢」
アリシアにとっては芝刈りの夢であったが、
ガイバルはひと時の安堵を味わっていた。
「甲皇国は出遅れてるようだなあ」
アルマ・フラッシュポイントは、
そういうと傭兵王が突き進むのを知り、
「これはSHWとしてもほってはおけねえ」
ドワーフ式格闘術の使い手である、
アルマは腕に覚えがあるし、
何よりSHWの警備担当副秘書をやってる、
ところから、
「社長連中が動くのも近い、現場が、
開拓され始めたら、いよいよ、
時代がやってくるってもんだよ」
穀物が黄金となる大開拓時代が。
「またあの夢か」
クワァンタム・オブ・ソラス~
アナザー・ウェイ・トゥ・ダイ~&
闇に堕ちたダニィ
「草原の夢、ああモニーク」
まだ世界はダニィ・ファルコーネを、
絶望させてはくれない、
「何故僕の夢にだけモニークがいたんだ?」
それは幻覚なのか?
あるいは本当にモニークがあの場所にいるのか?
「行けってことか、クワァンタム・オブ・ソラス」
より強い力を得たダニィは、
コウモリ翼を広げると闇夜を掻っ切った、
「誰よりも早く、たどりついて見せる!」
熊勝春樹はエルフ、
夢の草原を執筆し、
作品を発表した。
初期は細々としたヒットだったが、
やがて夢のフロンティアブームに乗っかって、
大ベストセラー作品となった。
「イココ―!!」
「あ、お姉ちゃん!」
トワイライトはイココをやっとみつけた、
「どこ行ってたのかと思ったら、
こんな簡単なとこにいたのね」
「えへえ、ばれちゃったか」
「しんぱい、したのよ」
「でもお空飛べてずるいなあ」
「イココも練習すればそのうち、
とべるようになるわよ」
「ほんとかなあ?」
「ほんとほんと、そしたら、
あの夢の草原に一緒に、
行きましょうね」
「いいね!」
「やくそくよ!」
「また夢の話か、何度目だ?」
アイザックス・クノッヘンはうんざりしていた、
ミシュガルドから甲皇国本土へ報告される、
話題が夢のフロンティアで持ちきりだったからだ。
「カカシの時のほうがまだマシだったぞ、
いい加減にしろ」
部下はいたたまれない気持ちになって、
引き下がった。
甲皇国皇帝クノッヘンの四男である、
このアイザックスという男はかなりの、
趣味者であり、凡庸で退屈な夢の話など、
興味が無かったのである。
その後、飼っている文鳥の世話などを、
して、時間を潰していた。
「悪くナイ―――ニュースダ」
タンホイザー、クノッヘンの次男。
ユリウスの兄であり、ミゲルの父親。
複雑な家の事情はあるものの、
次期皇帝には息子ミゲルを推している。
そんなタンホイザーにとっては、
夢のフロンティアの話は、
聞いていて悪くない話だった、
何より甲皇国民に伝えるのもまた悪くない。
「コレハ、時期ガ来タノカモシレヌナ」
「あ、姫! ??」
エドワード(エリュシオン『エリス』)は、
イココとトワイライトがいたので、
少々戸惑ったが、
「姫、このエドワードになんなりと!」
といつもの調子を取り戻した、
「ふっふっふエドワード、背中に乗せて!」
「ひっ姫、あぶのうございますが、よろしいので?」
トワイライトは、
「よくってよエドワード王子、
イココも出陣の時が来たのよ!」
(・・・・・・出陣って)
「イココ、しゅつじーん!」
「わっ姫様、しっかり捕まって、
前が見えない」
こうして空をちょっぴり早く飛んでみることにした、
イココは、
「わーーー」
風に髪をたなびかせながら、
爽快感を味わっていたのだった。
(夢か)
マギニアは鬼と竜人のハーフに思われるが、
今はカカシたちに崇められていた。
(――――――夢か?)
「は、マギニア様はご機嫌うるわしゅう、
わたくしめはカカシ一〇三号でございます」
「わたくしめはカカシ二〇五号雌型であります」
(夢だなこれは)
数えるだけで百ものカカシが自立して、
マギニアの方を向いて立っており、
かける声は、
「マギニア様万歳! マギニア様万歳!」
(・・・・・・もう一眠りしよっと)
「おーいお前ら、
本当にこっちに人がいるのか?」
ドラコ・ブレットはカカシの一団が、
何とか谷を越えたあと、
いそいそと宿営地を準備しだすのを見て、
「なんだか辺鄙な所まで来ちまったな、
本当に」
ドラコ・ブレットは周りの森が暗く、
なってきたのが少し心細く思えた、が、
「火か?」
カカシの一体が薪をくべて火起こしを、
したので、辺りは明るくなり、
少し気が楽になった。
「お前たち、話せないけど、
きちんとしてるところはしてるんだな」
やがて、一晩の宿が出来てしまう頃には、
ドラコ・ブレットは翼を休めて、
寝入っていた。
「また何も収穫無しですか、
タラ船長」
「ぶーっいうなよなあレビ」
ウミトカゲ・レビは、
SHW所属の船上料理人である。
今はタラ船長に食事を用意している。
「アンモナイトで食事を取ったら、
いいじゃないですか」
「えーだってこっちのほうが、
新鮮なんだもん」
といって皿を引き受けてペロリと、
平らげてしまうタラ船長、
「まあ、いいんですけどね、
キティホークさんが聞いたら」
「大丈夫だって!その辺は!」
潜水艦と普通艦の行き来は不便ではないが、
そう頻繁にやるものなのだろうか?
「あの夢の件もありますし、ね」
「あの夢、そんなに関係あるのかなあ?」
無いのかもしれない。
「ああ、またカカシか、これで千体目だぜ」
アイギュリー・ディロゴールは苛立っていた、
自分を取り囲むようにカカシが結界を張っているのだ。
「一体倒せばまた一体、無限組手ってか?」
名も無いカカシには答える事すら出来ない、
「いい加減、姿あらわせや!」
アイギュリーは千年竜の力を解き放つと、
カカシというカカシが燃え尽きて散った。
「これで二千体目か、いや?」
今度は巨大なカカシが眼前に迫りつつあった。
ミシュガルド 暗黒海岸に棲まうモンスターたち
エッグキーパーは夢を見ていた、
草原の夢を、それはエッグキーパーにとって、
悪夢だったので、顏という顔がうなされ、
脳がブクリと音を立てて呻った、
「があぁぁぁがぁあああきいぃいぃきぃい」
悲鳴にも似たそれを訊いたものはいない。
スライムは人間を沢山含んでいるような見た目をして、
性器のような鼻を垂らして、いびきをかいていた、
その夢は草原の夢、
スライムにとってもそれは悪夢だったので、
「ぎぃぃいぃいいいぃぃああああああああ」
と声を上げて夢から覚めた、
全身汗まみれのぐしょぐしょだった。
フェラァアル・フロッグは玉袋のような、
ほおを膨らませて、舌舐めずりしていたが、
夢を見た、草原の夢、
その夢はフェラァアル・フロッグにとっても悪夢、
であった。「ぐぇっこぐぇっこぐぇっこ」
体から体液を噴き出しながら、泡立っていた。
マンドラゴラキノコは女のような上半身をした、
キノコであったが、何かに生えている。
かのキノコもみたのだ夢をおお!
「ギギイギギイギギギイギギギッギギギイ」
虫のような下半身が音を立てて呻った、
つられて身をかきむしるようにして、
「gjjjjjjjjjjjjj」
と音を立てて呻る女の影がそこにはあった。
ワァカァも夢を見たとても不快だったので、
「キィキャアアアアアアアアアアアア」
飼っている人間に弓矢を引いて、
殺しまくった。
刹那だった。
「おいしいね」
クエールは亜人族の憩いの味だった。
「おっとあんまり食べ過ぎるなよ、
残りが無くなっちまうし、
精がつきすぎるぞ」
「はーい」
快く返事すると、
クエールを元の場所にもどして、
ふたたび栄養を溜めてくれるように、
お祈りをした。
「よろしくね」
「あの夢、なんだったんだろう、
とても懐かしい感じがした」
ルキウス・サンティはアルフヘイム出身、
クラウスとミーシャの遺児であるといえば、
聞き覚えのある人もいるだろうか?
「きみも夢をみたのかい?」
「ええルキウス様、わたしも見ました」
カカシはそう言うとくるりと廻ってみせて、
「見渡す限りの草の海でしたね、
ルキウス様」
「様づけはいいよ、カカシくん」
「ではルキウスさん、次はどこに
行きましょうか?」
「うん、そうだなあ」
二人の歩みはゆっくりとしていた。
「ええ、帰れるんですか!帰ってもいいんですね!?」
テイジー・キタックはようやく、
カンパニーア銀行大交易所支店の残業を、
終えて、ようやく帰宅かというところで、
「あのー」
「まだ何かあるんですか!?」
「もう朝なのですが、どうします?」
徹夜してしまった。
「やってしまえ! 戦争だ戦争!」
リーザーベル・ヒノエ・シャーデンフロイデは、
うっとうしいカカシとマルクスの様子を訊いて、
もはや逆鱗に触れて切れていた。
「戦って甲皇国に示すのだ!
奴等の鎌とハンマーで、
奴等の首を狩り叩き潰してやれ!」
「まあ、そこは堪えたまえよ」
「ヘルグ上級士官!」
ヘルグ・リュッツェンは取りまとめる役に、
回っていた、
「今のところ相手方の攻撃も無い、
武器を持ち立ち上がったという報告も、
あがっていないんだから」
「連中は亜人とも手を結ぶやもしれません」
ホルガー・ヒノエ・イッソスは、
他種族絶滅計画を推していた故に、
「手段を選ばない連中です、
軍を動かすには今が最適かと」
「ホルガ―君も、あまり考えすぎないでくれ」
「ではっ!ヘルグ上級士官はどうお考えなので!」
「私はだな、うーん」
「様子見だな、偵察をやろう、
連中も下手な真似はせんはずさ」
事態はその状態で済まされるのだろうか?
「みよ、神託の地は近い、我らに、
与えられた時も、あと僅かだ」
アンドロギュノス
(アレハンドロ=フォン・
ゴールドバーグ・パラ・クノッヘン)
は、クノッヘン皇帝が乙家の傍流である、
乙家出身の、
ダイアナ・フォン・ゴールドバーグに
産ませた子供。
名前はアレハンドロと男性名であるが、
右半身が男性、左半身が女性の両性具有、
環境破壊の進む甲皇国において、
流行していたモリー・シンドロームが、
原因とされている。
「おお、我らが主よ、導きたまえ」
「約束の地は与えられた、伴と旅立て、
そこにアンドロギュノスの像を立てよ、
さすれば、道は開かれん」
「おお、我らが主、アンドロギュノス」
信者たちの祈りの声がこだました。
「はああ、今度は夢だと!?
まだ夢の中にいる気なのか?!」
ルドヴィコ・アクティウムは、
ミシュガルドに来てからというもの、
カカシやらなんやらと呆れっぱなしであった。
「我らは青の部隊!
甲皇国は精鋭騎兵集団!
夢を畏れてなんとするか!」
部隊長である彼は下がった士気を何とか、
巻き返そうと躍起であった。
「俺に続け!
演習だ!
演習を行うぞ!」
かけ声とともに整列する騎兵集団は、
士気のたるみがようやく取れてきたのか、
「前へー!!前進!!
敵の首を上げろぉ!!」
おおおおおと掛け声も聞こえる。
何の演習なのかはもはや、
想像に任せる。
「動いたか、ティモシー」
「は、アイザックス様」
ティモシー・ハルダー曹長は、
アイザックス・クノッヘンの私設兵団の、
団長として勤務している。
「アンドロギュノスめ、
どれだけ甲皇国に手向かうつもりだ」
アンドロギュノスの動きは、
急なものであった、
夢の啓示に基づいて、
フロンティアを理想郷のように謳ったのである。
「あやつが動いたとなると、
鎮圧にあたる必要があるな、
充分な兵力は温存されてるんだろうな?」
「ええ、軍は動くでしょうですが」
「なんだ?」
「マルクスも同様に蜂起しております、
これを捨て置くことも出来ぬ状況で」
「まったく、問題だらけではないか
今日はギンボの命日だというに」
ギンボは家の関係を無く、
英雄として祀られていた。
「カカシに続いてはあの夢か」
フィオーラはアルフヘイム調査団の一員、
「どうなってるのかしらね、
ここミシュガルドは本当に」
「フィオーラ考え事かい?」
「オルガ」
オルガ・グゥヅゥは
調査団の一員として、
第三魔術鬼兵隊所属であるが、
時々こうして、フィオーラの様子を見に来る。
昔よしみだから仕方は無いが、
「夢は私も見た、変な夢だったね」
「ええ、人の居ない静かな草原だった」
「あれのせいで人が大きく動いてさ、
何かと、厄介してるんだよ」
「オルガの方もそうなのね」
全員が集団で夢を見るということは、
それだけ思想に染まりやすい危険がある、
ということである。
一体この行方はどうなるのだろうか?
「よし、なおったなおった」
レンネル・ジャーヴイッツは、
撃ったカカシがそのままになっていたので、
少しいたたまれなくなって、
軽く修繕した。
「今度はもう撃たないからな、
いきなり襲ってきたりしないでくれよ」
カカシさんから襲ったりは
しなかったのであるが、
「もっともだ君の言うとおりだ」
と話さないカカシの気を汲んだ気持ちになってみたり、
「ハハハハ」
カカシが開拓した土地に四肢をなげうつと、
寝転んでみたりした。
「これだけ開拓できる腕があるんだ、
だったら、しないでいられるわけ、
ないよな」
レンネル・ジャーヴィッツは独り言を、
続けながら、カカシはただ聞き役に徹しながら。
働くカカシさんは夢を見たのだろうか?
見たものはいた、だがそうは多くは無かった、
なぜなら、カカシさんにとって日常茶飯事の、
風景であったからだろう、
そこまでの印象は残らなかったのだ。きっと。
「カカシ達がよく働いてくれるわ」
イワニカ・カーツベルトは満足していた。
「順調に開拓が進めば、秋までには、
どれだけの実りが期待出来ることでしょう」
その祈りが届くといいのだが、
「カカシさん達結構、怪我してますね」
「そう? ポルカ?」
ポルカは相変わらず不思議でならなかった、
「どうして何も食べずに働けるんでしょうか?」
「どうでしょうね、そういう仕組みだとしか」
オークの少女、ポルカはカカシの修繕をしながら、
その仕掛けまで知りたくなってきたのだ。
「そうね、近いうちにSHW本社に訊いてみるわ、
良い答えが返ってくるかもしれないし」
「ありがとうございます!」
果たしてカカシのメカニズムとは?
「カカシに武器は持たせてみた?」
「はいプルーム嬢」
従者ベルベットはカカシに構えさせると、
「撃てぇっ!!!」
カカシは機関銃をぶっ放してみせた。
「どう!どう!ベルベット!?
イケてるでしょう!?」
「少々、カカシが焼焦げた匂いがしますが、
目標に的中していますね」
「そうじゃないのよベルベット!!
こいつら戦えるのよ!
武器になるのよ?分かる?この意味が!」
「・・・・・・盲点でした」
「売れる! 武器として扱えるなら、
より高く売りだせるじゃない!
なんで武装させないのかしら!!
ミシュガルドは危険地帯だってのに」
SHWに所属するプルーム嬢と、
従者ベルベットは、
この後、武装したカカシをリリースする、
ことになる、武装したカカシが、
強いのかどうかは定かではないが、
モンスターを不安視する入植者に、
一定の売り上げが期待できるのは確かだ。
「なんだか色々あったみたいだけど、
カデンツァ様にどう報告しようかな?」
パシフィカ・ミア・セントローラは、
甲皇国、甲家遠縁筋、
ミシュガルドへはカデンツァの護衛及び、
情報収集にやってきた訳だが、
「並行してやるとすぐわちゃわちゃに、
なるんだよなー何でも」
起きた現象、事象の多さに戸惑っていた。
「とりあえずカカシと内紛のことは、
もう知っていることだろうし」
さてどこから手を付けたものか?
「悩むなあ」
カーリマーターはただ見守るのみである、
夢が届いた民の無事を祈るのみである。
それ以上のことが出来ない、
弱き神である。
おお。
出典
ミシュガルド聖典キャラクター第十三登録所
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=19903