いっけなーい! 遅刻遅刻!
私、捻式ビスボルト。古代ミシュガルドのオーパーツから造られた怪人!
だけど性格がねじれているから友達がいないのー。
そんな私がクラスの人気者、ケーゴ君のことを好きになっちゃった!
一体私、これからどうなっちゃうの~!?
私が登校中に森の獣道を駆け抜けていくと、100メートル先に憧れのケーゴ君をはっけーん。
追いついたら一緒に登校できちゃうかも?
でもでもケーゴ君足速すぎー。
いくら遅刻しそうだからって、全力疾走する運動部男子に乙女が追いつけるわけないでしょ。
ピーンチ! ライバル出現! おでこの広い女の子がケーゴ君にあいさつして並走してる!!
あれは確かベルウッド、みすぼらしい靴磨きみたいなかっこうのくせに……ぐぬぬ。
今度は清楚系のエルフっ子、無口なアンネリエ登場。
ケーゴ君あーいうおとなしめの子が好みなのかな?
でもあの子、裏でめっちゃペラペラしゃべってるけどねー。
その時私の脳裏に電流走る。
そうよ! 私の胸の中の発電器官を使えば、電磁誘導によって加速することができるじゃん。
この顔にビリっときたら110番、恋の電撃作戦!
私が体内の電圧を高めると、頭のネジが一本飛んでいっちゃった。
亜音速のネジが赤く白熱して、衝撃音を鳴らしてアンネリエの左の靴をかすめていったけど、わざとじゃないし。
靴は衝撃で学校まで飛んで行って靴飛ばしの新記録を樹立したけど、私わざとじゃないし。
いっけなーい! 殺意殺意!
あれれ、アンネリエちゃん吐くほど怖がってない?
わたしのせいじゃないよね?
きっと焼肉とか胸やけしそうな朝ごはんだったとかだよね?
ベルウッドちゃん学校まで逃げて行って短距離走の新記録を樹立したけど、わたしのせいじゃないよね?
遅刻しそうだったからだよね?
ケーゴ君が私を見つめてくれくれるのは嬉しいんだけど、あきらかに敵視されてる気が……
私はただお友達から始めたいだけなのに!
もー! どーしてこーなっちゃうの?