教室(カオス)
ついに教室に入ろうとした時。
クーが腹ばいに倒れたまま、こちらとじぃっと見ている光景が目に入った。
さっきの奴らも一緒に視界に入ったが、絡み合ってるから無視する。
周りの奴らは、幼女が廊下に寝そべっているというのに、奇異の目一つ向けない。
邪気眼使いなんて、やはりそう多いもんじゃないということだろうか。
そんな事実に、自分の特別性が証明された気がして、テンションが上がる。
連れてきてはしまったが、この調子なら平然としてられそうだ。
「クー、こっちこい」
少しは周りを気にしながら、小声で呼びかける。
「あなた様の命令なら、行きます」
気づいたクーは、なぜかほふく前進をしながら近づいてきた。
歩いてくりゃーいいのに、なんて思うものの、意外に早くやってきたので気にしない。
気を取り直し、教室の扉を開けようと思った矢先。
「失礼つかまつる」
ひっついてきたクーが、器用に俺の体を上ると、先ほどのように頭の上に寝そべる。
どうやらそこが一番落ち着くようなので、そのままにさせておく。
流石は妄想と言えるほど重さも感じないし、人から見えない訳でもないしね。
見られたらなんて見られたで、なんて言われるか分かったものじゃないけどさ。
そんなこと、クラスの中に俺以外の邪気眼使いがいない限り、関係ない話だ。
遅刻しそうとか色々考えていたものの、案外普通に間に合った教室の扉を開け――
「なん……だと……?」
俺は絶句した。
ソコは確かに俺の教室であったが、よく知っている教室ではなくなっていた。
一言で表すなら、異質。
まず目に入ったのは、ガンダムと西洋の甲冑野郎だ。
次は、全身黒いオーラのようなモノを纏った女と、鎖で全身を縛っている男。
ああそれだけじゃ終わらない、まだまだ居る。
腕に包帯を巻いてるヤツ、ロボットになってるヤツ。
棺桶を背負ってる奴に、妙にキラキラ光る伝説っぽい剣を持ってる奴やら、翼生えてる奴。
最後の奴は一番前の席に居るから、授業の時は相当邪魔だろう。
しかし、なんて有様だ。
俺なんてまだまだ可愛い方だったんだと言う事は一発で理解できた。
「どうやら、邪気眼使いになり、この光景を見られるようになったようだな」
「ップァ!」
背後から聞こえた擦れた感じの特徴的な声に、心臓が止まりそうな程に驚く。
「あ、あんたは!?」
そうして、そこに居た人物にも驚いた。
「ミュウツーだッ!」
ポケットモンスターに登場する、図鑑ナンバー150番のポケモンだ!
「将来の夢はミュウツーって言ったんだが、まさか本当になれるとはな」
「さいですか」
改めて、邪気眼使いにも色々いるのが分かった。
「内藤」
混乱しすぎて、ワケもわからず自分に攻撃するかと思った、その瞬間。
「始めの内は、俺だって驚いた。誰だって驚く……だから今は、大人しく席につくんだ」
「どぉくおぉ!?」
どっからどう見ても普通にしか見えない毒男が、混乱する俺に指示をくれた。
「まさかお前も、邪気眼使いなのか?」
「それを話したいのも山々だが……」
と、ここで言葉を切る。
「いつまで立ってるんだ、席すわれー」
それは先生がここで入ってきたからだった。
「わかりましたーって、先生も普通なんだ」
言われた通り、渋々席に着こうとしたとする。
「ほぅ。今、普通と言ったか? 内藤」
「はい?」
ふらふら移動を始めたところで、先生に呼び止められた。
しかし、毒男と先生の背景で、この世とはかけ離れた存在がはびこりまくっている教室の光景は、
なかなかどうしてカオスの権化と言っても過言ではない賑わいを放っている。
「この教室の皆を見て、『普通』じゃないと分かったなら……ようやくお前も眼を持つ者になった。そういうわけだな?」
眼を、知っている。
先生が、知っている。
確認されたことで警戒心が刺激され、自然に半歩下がった。
「そう構えなくて良い。私は敵じゃない、ただの教師だ。そうして確認した通り、その反応なら間違いなさそうだ」
先生は、どこまで信じられるか怪しいことを言いながらも。
しっかりと、俺の反応を受けて分析を済ませていた。
俺はここで何かを言おうとするが、黙って席の方を指される。
だから状況に混乱しながらも、渋々と俺は席についた。
「さて、これでこのクラスの全員が邪気眼の覚醒を果たした」
普通の先生のように、普通では無い事柄をしゃべり始めた。
「だからまず、君達には正確にこの力のことを語る必要がありそうだ」
今、この教室はゴゴゴゴゴゴゴっという効果音が似合いそうな雰囲気を漂わせていた。
だが、張り詰めた空間をチャイムの電子音が鳴り響いて全ては元に戻る。
「HRは終わりだな、詳しくは私の授業の時に話す」
先生はそれだけを言うと、さっさと教室から出て行く。
どうにも釈然としない、一体この学校で何が起こっているというのだろうか?
そして何よりも釈然としないのは、俺以外の全員がすでに邪気眼使いだったことだ。
全くこれから先どうなるのか、頭の痛い思い半分、楽しみだ。
一言で表すなら、異質。
まず目に入ったのは、ガンダムと西洋の甲冑野郎だ。
次は、全身黒いオーラのようなモノを纏った女と、鎖で全身を縛っている男。
ああそれだけじゃ終わらない、まだまだ居る。
腕に包帯を巻いてるヤツ、ロボットになってるヤツ。
棺桶を背負ってる奴に、妙にキラキラ光る伝説っぽい剣を持ってる奴やら、翼生えてる奴。
最後の奴は一番前の席に居るから、授業の時は相当邪魔だろう。
しかし、なんて有様だ。
俺なんてまだまだ可愛い方だったんだと言う事は一発で理解できた。
「どうやら、邪気眼使いになり、この光景を見られるようになったようだな」
「ップァ!」
背後から聞こえた擦れた感じの特徴的な声に、心臓が止まりそうな程に驚く。
「あ、あんたは!?」
そうして、そこに居た人物にも驚いた。
「ミュウツーだッ!」
ポケットモンスターに登場する、図鑑ナンバー150番のポケモンだ!
「将来の夢はミュウツーって言ったんだが、まさか本当になれるとはな」
「さいですか」
改めて、邪気眼使いにも色々いるのが分かった。
「内藤」
混乱しすぎて、ワケもわからず自分に攻撃するかと思った、その瞬間。
「始めの内は、俺だって驚いた。誰だって驚く……だから今は、大人しく席につくんだ」
「どぉくおぉ!?」
どっからどう見ても普通にしか見えない毒男が、混乱する俺に指示をくれた。
「まさかお前も、邪気眼使いなのか?」
「それを話したいのも山々だが……」
と、ここで言葉を切る。
「いつまで立ってるんだ、席すわれー」
それは先生がここで入ってきたからだった。
「わかりましたーって、先生も普通なんだ」
言われた通り、渋々席に着こうとしたとする。
「ほぅ。今、普通と言ったか? 内藤」
「はい?」
ふらふら移動を始めたところで、先生に呼び止められた。
しかし、毒男と先生の背景で、この世とはかけ離れた存在がはびこりまくっている教室の光景は、
なかなかどうしてカオスの権化と言っても過言ではない賑わいを放っている。
「この教室の皆を見て、『普通』じゃないと分かったなら……ようやくお前も眼を持つ者になった。そういうわけだな?」
眼を、知っている。
先生が、知っている。
確認されたことで警戒心が刺激され、自然に半歩下がった。
「そう構えなくて良い。私は敵じゃない、ただの教師だ。そうして確認した通り、その反応なら間違いなさそうだ」
先生は、どこまで信じられるか怪しいことを言いながらも。
しっかりと、俺の反応を受けて分析を済ませていた。
俺はここで何かを言おうとするが、黙って席の方を指される。
だから状況に混乱しながらも、渋々と俺は席についた。
「さて、これでこのクラスの全員が邪気眼の覚醒を果たした」
普通の先生のように、普通では無い事柄をしゃべり始めた。
「だからまず、君達には正確にこの力のことを語る必要がありそうだ」
今、この教室はゴゴゴゴゴゴゴっという効果音が似合いそうな雰囲気を漂わせていた。
だが、張り詰めた空間をチャイムの電子音が鳴り響いて全ては元に戻る。
「HRは終わりだな、詳しくは私の授業の時に話す」
先生はそれだけを言うと、さっさと教室から出て行く。
どうにも釈然としない、一体この学校で何が起こっているというのだろうか?
そして何よりも釈然としないのは、俺以外の全員がすでに邪気眼使いだったことだ。
全くこれから先どうなるのか、頭の痛い思い半分、楽しみだ。