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第三十六話 死合

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【8日目:夕方 北第三校舎三階 図書室】

 立花繚は、小さい頃は背も高くない、むしろ小柄な部類の子供だった。
 幼稚園でも体の大きな子にいじめられては、泣いていたのを記憶の片隅に覚えている。
 そんなとき、いつも助けてくれたのが姉の百花だった。
 姉は小さい頃からお転婆で、ケンカで男子を泣かせることも多々あったので、悪ガキたちの間でも有名で、繚は姉に感謝すると共に、その強さに憧れた。
 だから小学生の頃は、姉と一緒に空手を習っていた時期もある。
 しかし、黒帯を取る前に辞めてしまった。
 空手の稽古にやりがいを感じなかったわけじゃない。
 少しずつ強くなっていく感覚は、心地よかった。
 ただ――同じ道を選んでいると、どうしても姉と比べられてしまう。
 百花は小学生の頃から、地元の道場では中学生相手の組手でも負けることがないほどに頭角を現しており、その弟である繚にも、注目と期待が集まるのは当然のことで。
 何も言われなくても、周囲が『ああ、こんなものか』という感想を抱いたことくらい、幼い繚にも分かった。
『ま、アンタには向いてないんじゃない?』
 百花は、空手を辞めたいと打ち明けた繚に対し、驚くでも怒るでも引き留めるでもなく、サバサバとそう言った。
『そうだよな、俺、姉ちゃんみたいに強くないし……』
『そういうコトじゃないの。アンタ、組手のとき本気出してないでしょ。ま、出そうと思っても出せないんだろうけど。アンタは優しすぎんのよ。背も伸びてきたし、スポーツでも始めたら? きっとそっちのほうが向いてるわよ』
 ――百花のその言葉があったから、繚はバスケットボールに出会うことができた。
 しかし心のどこかに、空手から逃げてしまったという負い目が残っているのも確かだ。
 だから、今、百花と対峙している剣道部員・滝藤唯人を見て、繚は歯がゆさを感じている。
 もし自分が、ずっと空手を続けていたなら、百花に隠れるよう言われなかったかもしれない。
 百花にとって自分は今でも、守るべき対象であり、弱者なのだ。
 繚はその事実を悔しく思いながらも、本棚の陰から百花を応援する。
 幼い頃からずっと、そうし続けてきたように。
「アタシも剣道と戦(や)るのは初めてだわ。しかし、女相手に得物向けて恥ずかしくないワケ?」
「貴女ほどの手練れを女だからと見くびることこそ失礼だろう。俺は貴女を尊敬している。だからこそ、全身全霊を以って貴女を倒すつもりだ」
「いちいち古風なのよね、アンタ。ま――そういうつもりなら、アタシも手加減はしないわよ。長物持ってる剣道部員相手に手加減できるほど、アタシも強くないから――ね!」
 百花が、机の上に無造作に積まれていた分厚い本を、半ば振り払うように唯人めがけて飛ばしていた。
 唯人はそれを竹刀で受け止めようとし――そうはせず、足を引いてかわす。
 しかし百花はすでに、返す手でもう一冊、本を投げていた。
 唯人がかわすのを予想していたように。
「!」
 唯人の目が一瞬見開かれたが、彼はすぐに冷静に対応した。
 竹刀の先のほうを横に最小限動かし、本を打ち払ったのだ。
 ――それだけで、本は真っ二つに切断されていた。
「!?」
 繚は思わず声を上げてしまいそうになり、慌てて口を押さえる。
 唯人が持っているのは、何の変哲もない竹刀のはず。
 にも関わらず、まるで真剣のように、本を斬ってしまった……!
 数百ページ分の紙が、桜吹雪のように舞い落ちる中、百花は「やっぱりね」と呟いた。
 繚とは違い、まったく動揺していない様子だ。
「アンタ、最初本を切っ先で払おうとしてやめたわよね。それで確信したわ。アンタの『能力』が、竹刀を真剣の切れ味にできる、みたいなヤツだって。いわよくば、アタシにそれを悟らせないまま初撃をアタシに当てようとしてたんだろうけど、残念だったわね。ていうか正々堂々みたいな雰囲気出しといてコスいのよ」
「心外だな。剣道は元は剣術、剣術とは武術であり殺人術だ。生き残るためにありとあらゆる手段を尽くすのは至極当然のこと。敗者にはその手段の是非を語る資格すら無い」
「……まあ、一理あるわよ。アタシもみんな仲良く楽しいなー、なんてヌルいノリで空手やってないし。でも、アンタやっぱり間違ってるわ」
 百花が、そう言い終わるか言い終わらないかの内に、バンバンバンバン――と、断続的に四つの乾いた音が響き、それに連動するように、唯人の体が大きく揺れた。
 大きくのけぞった首を唯人はすぐさま起こしたが、その鼻からは真っ赤な血が流れている。
 足元もおぼつかず、小刻みに震えている――それでも竹刀を取り落とさず、目線を百花に向け続けているのは大したものだったが、その顔には明らかな動揺があった。
「な――何をした」
「何って、四発殴ったのよ。人中と鳩尾を二発ずつ。効くでしょ? 急所だもの。普段防具付けてる剣道じゃ、あまり経験無いでしょ、こういう痛みは」
「この距離で、届くはずが――ないだろう。それが――貴女の『能力』か」
 そう呟いたことで、自分の中での整理も付いたのだろう。
 唯人は、肩で息をしながらも、崩れた構えを元に戻していた。
 ――唯人の言う通り、百花は視認している相手に対し繰り出した突きや蹴りの衝撃のみを絶対に命中させる能力『絶対必中(クリティカル)』を持っている。
 素手と竹刀とでは、本来間合いの面で素手が圧倒的に不利――しかし、『絶対必中』を持つ百花に対しては、竹刀の長さはアドバンテージにならない。
「アタリよ。――悪く思わないでよね、アタシもアンタがやろうとしたように、『能力』隠して不意を突かせてもらっただけだもの。で――さっきの続きだけど。アタシがアンタは間違ってるって言ったのは、アンタの持論のことよ。敗者には何も言う資格は無い的なコト言ってたけど、その理屈に当てはめるなら、アンタがベラベラ喋ってるのがおかしいもの」
 百花がそう言ったのと、唯人が先手必勝とばかりに摺り足で間合いを詰めたのとはほぼ同時。
 剣道は防具を身に付けて打ち合う競技、その防具から解放されている今の唯人の踏み込みの早さは、百花に対しても勝るとも劣らない。
 しかし、百花は唯人が竹刀を振り下ろすよりも早く、廻し蹴りを放っていた。
 それは唯人を狙ったものではなかったことを、繚は、突如砕けて破片を散らばらせた竹刀を見て理解する。
 唯人が、蹴り砕かれた竹刀を見て一瞬動きを止めた――その一瞬に、返す足で放たれた二発目、今度は確かに唯人を狙った廻し蹴りが炸裂する。
 唯人が間合いを詰めたことにより、それは『絶対必中』による間接的なダメージではなく、百花自身の足による直撃となった。
「かはぁっ……!」
「!」
 腰をエビのように曲げ、唾液を吐き散らし、それでも唯人は、百花の足を抱え込むようにして受け止めた。
 一度間合いが離れてしまったら、そのまま一方的に『絶対必中』による攻撃を浴びることになるため、多少無理をしてでも耐え切ったということだろう。
 しかし、百花は片足立ちの姿勢にも関わらず、まるでバランスを崩さない。
 鍛え上げられた体幹の強さと、優れた平衡感覚によるものだろう。
 唯人はならばと言わんばかりに力ずくで百花を床に引き倒そうとし――しかし、そのときにはもう、百花は自ら床を蹴っていた。
 続いて、近くにあった机を空中で蹴ることで、さらに高く跳ぶ。
 片足は唯人に抱え込まれたまま、もう片方の足だけで器用に宙に舞い、そこで体を縦に一回転させる。
 その遠心力によって、唯人の拘束が僅かに緩む――そして唯人の頭頂部には、百花の踵落としが炸裂した。
「~~!」
 脳天を突き抜ける衝撃に目と口を見開いた唯人の拘束は、完全に緩んだ。
 百花は捕まえられていた足を引き抜き、そのまま器用に着地する。
 着地と同時に後ろに跳び、唯人との間合いを開くことも怠らなかった。
 ――強い!
 繚は、目の前で行われているのは殺し合いだというのに、まるでテレビで格闘技の試合を見ているときのような興奮と感動を覚えずにはいられなかった。
 『絶対必中』によるアドバンテージがあるとはいえ、純粋な体術のレベルも、百花のほうが明らかに上手だ。
 その事実に、繚は胸を熱くする。
 そうだ――俺はずっと、姉ちゃんのこの強さに憧れてきたんだ――
「竹刀が真剣並になるのは切れ味だけ。硬さは竹刀のまんまでしょ。アンタ、あの分厚い本を斬ったときに、一瞬刀身を確認したものね――ま、真剣も横からの力には弱いから、割と簡単に折れるんだけどね」
 姉の言う『割と簡単』は一般基準なのか姉基準なのか分かりかねるが、事実として唯人の竹刀は真っ二つに蹴り砕かれた。
 唯人は竹刀だったモノを捨て、頭を押さえながら百花を凝視する。
 少し遅れて、その手の指と指の間からこぼれるように、真新しい血が額へ、そして頬へと伝い落ちてきた。
 踵落としによって頭部に外傷を負ったのだろう。
 その前に鼻血も出ているので、唯人の顔は半分以上真っ赤に汚れていた。
「身のこなしの速さと正確さ、そして何よりその観察眼。やはり貴女と戦えてよかった――こうでなければ意味が無い。ただ逃げ惑うだけの小物を何人斬ったところで、俺の求めるものは手に入らない」
「血塗れで何興奮してんのよ、アンタマゾなの? それより――案の定、アンタ随分と殺してきてるのね」
「異議があるのか? 俺に同意せずとも、生還のためには殺しはほぼ必須だろう」
 唯人は、目に垂れてきた血を手の甲で拭いながら言う。
 百花は、「別に」と素っ気なく返していた。
「ただ、分かってるんでしょうね、アンタ。誰かを殺すってコトは、逆に殺されても文句言えないってコト」
「当然だ――貴女にその力があるなら、殺されることはやぶさかではない。そこが俺の限界だと受け入れて死ぬだけだ」
「あらそう。じゃあ教えてあげる――ここがアンタの限界よ」
 百花がそう言って、拳に力を込めたのが見えた――月瀬愛巫子と戦ったときのように、怒涛の連打で畳み掛けるつもりだろう。
 繚は、百花の勝利を半ば確信していた。
 ――しかし。
 結論から言うと、それは早計に過ぎた。
 そしてその原因は、百花ではなく――
「いいや――俺の限界はここではない」
 唯人は。
 そう言うなり、踵を返して駆け出した。
 百花に向かっていくのではなく。
 かといって、出口へと逃げ出すのでもなく。
 ――繚のほうに、駆けてきていた。
「なっ、あぁッ!?」
 すぐさま立ち上がりながらも、繚は動転していた。
 百花と唯人の戦いを見ながら、どこか観戦者気分になってしまっていた自分がいたことを猛省する――今は生徒葬会の真っ只中で、自分もその参加者の一人だというのに。
「隠れていたつもりだろうが、気配が漏れていたぞ――」
「待ちなさいッ!」
 百花が、唯人を追いかける。
 『絶対必中』を持つ彼女に、その必要は無いというのに。
 しかし、繚は気付いてしまった。
 百花は、自分を――弟を狙われたことで、我を忘れてしまったのだと。
 ……なんてことだ。
この期に及んで自分は、幼い頃と何も変わっていない。
 姉に守られるだけではなく、姉の足を引っ張っている――
「――残念だ。貴女ほどの強者も、情が絡めばこうも隙を作るとは」
 唯人は。
 最初から、百花が追ってくることを予想していたように。
 振り返り、迫りくる百花に対し、腕を振っていた。
「ッ!」
 いつの間にかその手には、シャープペンが握られている。
 机の上に置かれていたものか、それとも唯人の私物か。
 いずれにせよ、ただの文房具だ。
 にも関わらず――そのシャープペンが掠ったと思われる百花の右手首から、血が噴き出していた。
「姉ちゃん!」
「俺の能力は『均刀(オールソード)』、棒状のものは俺が手にする以上すべて真剣と同じだ。何も竹刀のように刀の形をしたものを用意する必要は無い」
「勝ち誇ってんじゃ……ないわよッ!」
 百花は、左手で右手首を押さえて出血を抑えながら、後ろに跳んでいた。
 一瞬遅れて、唯人が再び振るった腕、正確にはその手に握られたシャープペンが、先ほどまで百花の首筋があった位置を薙ぐ。
 ――着地の瞬間、百花の顔が苦悶に歪んだのが見えた。
 真剣の切れ味で手首を切られたのだ、傷は浅くはないのだろう。
 そしてそうなると、唯人ほどの手練れを相手取るには不利だ。
 このままじゃ、姉ちゃんが――!
「やめろぉぉぉぉ!!」
 繚は叫びながら、ポケットの中に入れていた『それ』を掴み、唯人めがけて投げ付けていた。
 振り返った唯人が、『それ』をシャープペンで薙ぎ払おうとして、意外そうに眉を上げる。
 当然だ――唯人に対し投げられたのは、本でもなければもちろんナイフのような殺傷力のあるものでもない、ただのペンダントなのだから。
 ――ただし、『完全空間(プライベートルーム)』によって顕現したペンダントだ。
 そしてその中には――化学室に運ぶはずだったモノを収納してある。
「食らえ!」
 繚は叫ぶと共に、ペンダントが唯人の眼前に来たところで『完全空間』を解除した。
 その結果、ペンダントは一瞬にして消失し、その代わりにペンダントに格納されていたモノが――本がぎっしり詰まった本棚一個が、空中に出現する。
「!? うぐあっ」
 これにはさすがの唯人も大口を開けて唖然とするが、避ける時間的余裕などあるはずもなく、大量の本をまき散らしながら倒れてくる本棚の下敷きとなった。
 所詮は学校にあるような廉価な本棚だ、見た目の派手さほどの重さはないだろうが、それでもすぐに押しのけることは不可能だろう。
 その間に繚は、百花に駆け寄っていた。
「繚――!」
「姉ちゃん、早く!」
 百花の手を取ろうとして、ピタリと止まる。
 右手首は傷ついていて、左手は傷口を押さえている。
 だから百花の手を取って走るわけにはいかない。
 と、なると――どうすればいい……!
 繚の思考が焦燥により乱れかけていたそのとき、百花の叫ぶような声が、繚の意識を引き戻した。
「アタシをペンダントの中に入れて! アンタのほうが足速いし、今のアタシはそんなに速く走れないから!」
「あ――ああ、分かった!」
 深手を負いながらも、百花の判断は的確だった。
 その言葉によって落ち着きを取り戻した繚は、百花を『完全空間』に収納した上で、脱兎のごとく図書室から飛び出す。
 陸上部の短距離選手にも引けを取らない俊足だ、ちょっとやそっとでは追い付かれないだろう。
それよりも、一刻も早く百花の手当をしなければならない。
 首から提げたペンダントをチラリと見ると、百花はハンカチとネクタイを使って止血を試みていた。武道家としての嗜みなのか、手慣れている。
 しかし、この生徒葬会においては、もし傷口が悪化した場合、治す術がない。
 そのため、早くちゃんとした包帯やガーゼを手に入れて、傷の消毒もしなければ、万が一ということもある。
 繚は廊下の突き当たりの階段を跳ぶように下りながら、「姉ちゃん、ゴメン」と呟いていた。
「アンタ、アタシに謝らなきゃいけないようなコトした?」
「! だって、その傷は俺のせいで――」
「ハァ? 何言ってんのよ、アイツのせいに決まってるでしょ。百歩譲ってアンタのせいだとしても、アンタが助けてくれなきゃ正直ヤバかったわ。謝らなきゃならないのはアタシのほう。迂闊にこんな傷もらっちゃって、黒帯が泣いてるわ」
 ……百花のその言葉は、繚にとって嬉しさ半分、心苦しさ半分だった。
 姉にそう言ってもらえたことは嬉しい。
 だけどやはり、姉が何と言おうと、この状況は自分のせいだ。
 さっきも、深手を負った姉に対し、うろたえるばかりだった。
 ――自分は姉のようにはなれない。
 その事実に、胸の痛みを感じながらも、繚はあっという間に一階に辿り着き、そのまま北第三校舎を飛び出した。
「保健室は、確か――」
「保健室なら、すぐ近くよ」
 百花は言う。
 その声は相変わらず落ち着いていたが、傷の痛みのせいか、ほんの少し苦しげにも聞こえる。それとも、自分の罪悪感がそう感じさせているだけなのか。それならどれだけいいか。
「二つ隣の棟――北第一校舎の一階が、一番近い」
「第一校舎一階――分かった、そこに行く。姉ちゃん、傷、大丈夫か?」
「大丈夫よ、止血はしてる。それより、焦って誰かの不意打ち食らったらマヌケよ。ちゃんと周囲には警戒しながら向かいなさい」
「……っ。敵わないな……姉ちゃんには」
 もし自分が逆の立場なら、そんな風に配慮する余裕は無かっただろう。
 早く傷の手当がしたいという焦りで、頭がいっぱいになるはずだ。
 ことごとく、自分と姉との差を思い知らされる。
 バスケットボール部のエースとしてチヤホヤされようが、自分の中にはあの頃の泣き虫で弱い自分がずっといて、強くて頼もしい姉への憧れに焦がれているのだ。
「何をウジウジ悩んでるのか知らないけど――前々から思ってたから、この際言っとくわね。アンタがアタシに敵わないのなんて当たり前じゃない」
 百花は。
 繚がずっと思っていたことを、ハッキリと断言した。
 ……そうだよな、と内心自嘲の笑みを浮かべた繚のその頭を、続く百花の言葉が、ガツンと殴る。
「だってアタシは姉で、アンタは弟なんだから。それを何悩んでるのよ。バッカじゃないの。後から生まれてきた分際で生意気よ」
「……!」
 それは、百花らしい、単純明快な暴論で。
 気の利いた言葉でもなければ、優しくもなんともなかったが。
 それでもその言葉は、繚の胸に驚くほどスッと、溶け込んでいった。
「姉、ちゃん――」
「はい、この話これで終わり。気ぃ抜いてるんじゃないわよ、あの剣道バカだけが敵じゃないんだから」
「……ああ、ありがとう」
「礼を言われるようなこともしてないわよ。思ってたこと言っただけだし」
 百花のその言葉、照れ隠しでも何でもなく、そのままの意味なのだろう。
 立花百花というのはそういう人間だ。
 勝気で、強気で、まっすぐで、シンプルで――だからこそ、ずっと憧れてきた、自慢の姉だ。
 繚は目頭が熱くなるのを感じながら、北第一校舎に向かって走り続けた。
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