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B-四話「菊水作戦」

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 本当に変な奴だ、
 引きずられるまま街に連れてこられたが、
 この様な行動はまるで理解できない。

「んじゃ、暇だしゲーセンでも行くか」
「そんな悠長なことしてられるかっ! 早く戻るぞっ!」

 そうだ、一刻も早く学校に戻らなければならない、
 時は金なり、こんな無駄な事をしている暇は無いのだ。

「んーそうだよなぁ……」
「わかったなら早く行くぞ、まだ二現目には間に合う」
「やっぱりラーメン食わないとな」

 前のめりに倒れそうになった、
 こいつ、私をコケにしているのか?
 しかもこんな中途半端な時間帯に食べたら太るではないかっ!

「俺トンコツ派なんだよなぁ、佐々山は?」
「私は塩派だが……ってそうじゃない! 早く学校に」
「ふむ、塩か悪くないな。たしかそこのラーメン屋が美味かったはず」

 そう言って奴はすたすたと歩きだした。
 どうも調子が狂う。
 本来なら一喝して粛正するはずなのだが、
 まるで相手にされない、このまま自分一人戻ろうかと思ったが、
 ここで逃げたら生徒会として威厳が保てない。
 こうなったら何が何でも奴を……吉原を学校に連れて帰ってやる。
 そう意気込んで私は吉原の方に向った。


「ここがこの街一番のラーメン屋だ」
「ぼ、ボロい……」
 その店の外見はお世辞にも綺麗など言えない、、
 潰れていると言われたらそのまま信じてしまうほどのボロさ、
 不安が積もる……。
「信じてない顔だなぁ…ま、食えばわかる食わねばわからぬ何事もってな」
「……食べたら学校に戻るぞ」
 好奇心は猫も殺すとはもしやこの事だろうか?
 

 
 古びた扉をスライドさせる、が、
 店内には客どころか店員すら居なかった、
 なんたる待遇、よくこんな店がいままでやっていけたものだ。
 嘆息しつつ立ち入る、一応掃除はしている様で店内は思ってより
 綺麗だったが年季には勝てないのだろう、全体的に薄汚れて見える。

「じっちゃーん生きてっかー、ラーメン食いにきたぞー」
「うるせぇッ! 実況がよく聞こえんだろうが!」
 そう言って店の奥から出てきたのは初老の厳つい男だった、
 眼光が鋭く頭も丸めているのでヤの付く人に見えなくもない。
 それにしても客を足蹴にするなどとは、怒りを覚える。
「なんだ、また当たりもしない競馬かよ」
「ガキは黙っとれ、それで今日は何だ、ここはデート場所じゃねぇぞ」
 私の方を一瞥して店主は不機嫌そうに言い放った。
「ハ、デートならもっと洒落た店に行くさ小腹空いたから食いにきたんだよ」
「口だけはいっちょ前だな、で何を食うんだ」
「ピロシキくれ」
「あいよ」

 まて、まてまてまてまて、今のは明らかにおかしいっ!

「お前っ! ラメーン食いにきたんじゃないのかっ!」
「おう、佐々山は塩でいいんだっけ?」
「いやそうだが、そうじゃなくて……」
 思わず頭を抱えこむ、何故ラーメン屋でロシア料理が出るのだっ!?
 そしてそれを何故選ぶのだ理解できない……。
「ここは裏メニューが豊富でね、言えば大概の料理は作ってくれるんだ」
「今の所108種類あるぞ」
「じっちゃん、あんたわかってるね」

 そうして待つこと数分、私の前に湯気が立ち上るラーメンが出された、
 見た目もさながら匂いも良い、不安だったが期待できそうだ。

 麺を箸でつかみ口にそっと運ぶ。
「……おいしい」
「だろ、この味は学校サボってでも食べる価値があるっ!」
 箸を強く握り力説する吉原、
 その意見には賛同しかねるが、本当にこのラーメンは美味しい。
 
 私は学校の事を忘れひと時のラーメンを楽しんだ。
13

文-「網駄目歩」挿絵-「桐霧」 先生に励ましのお便りを送ろう!!

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