邪神と邪心
20××年。
突如として、世界に『邪神』が現れた。
ある都市の上空に現れた邪神を前に、人々は動揺と混乱に襲われる。
しかし。
邪神は無害だった。
邪神は物を壊さない。邪神は人を殺さない。邪神は何も奪わない。
ただ、人間に与えるだけ。
人にその悪意を欲望を────────邪心を叶える術を与えるだけ。
人間にとって有害なのは、いつだって同じ人間。
邪心の出現より十と数年後。
邪神によって心の奥底に秘めていた邪気を呼び起こされた者達。
『悪意ある力』に開眼した者達を、人々は邪気眼使いと呼んだ。