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自殺後見人
   P.N.  龍 斗

 憲法第三章「国民の権利」第四十一条『生命活動自己決定権』(草案)

 自殺人口が病死人口を大幅に上回ったため、自殺人口を削減するべく、新世紀に可決した新しい人権。
自殺をすることに制約や条件を付加し、自殺を法的に認める事によって、自殺人口を減らそうとした。

一、 自殺志願者は日時、方法、場所、氏名、動機を、形式を問わない形で政府に通達をすること。ただし、電話は認められない。
二、 政府は集まった通達で選考を行い、自殺するに値する者を選抜する。
三、 全国に存在する『自殺後見人』を政府は派遣し、自殺後見人はその自殺行為の全てを記録する。
四、 自殺後見人はあくまでその人の自殺の場面を見届ける立場にあり、自殺行為を幇助(ほうじょ)した場合は罰せられる。
五、 政府は自殺後見人が記録したものを確認し、協議の結果その行為が自殺と認められた場合、親権を持つ者か配偶者、血縁関係が最も近い者に『自殺証明書』と『慰霊金』を送付すること。また、自殺現場の処理をし、葬儀の代金も支払うこと。
六、 自殺が認められた後に遺言が発見された場合、内容は即座に行使される。但し、他の人命に関わる内容は行使できない。
七、 自殺として認められない場合(政府に通達せずに死亡した場合、自殺証明書に転記漏れがあった場合等)は、自殺現場の処理は死亡者に身元が確認され次第、その家族が行なう義務を負う。また遺言が発見された場合は、その効力を失う。
八、 これは人権として認められたものであり、全ての国民はこの権利を有する。



PRO.『ノートの空きスペース』

世の中は、腐った。
人も、国も、世界も、法律も、思想も、常識も、何もかもが、
・・・・・・・・・・・・腐った。
人間、堕ちるところまで堕ちて、もう堕ちようがない。
誰もが、取り繕った偽善な笑顔で。
いつでもどこでも、疑心暗鬼。
だから、少しずつ、知らないうちに、
・・・・・・・・・・・・心の底から涙することを、忘れた。
街の人、親しくしていた友人、親戚、果ては家族までが、
「死」に涙を出さなくなった。
その「死」の原因が、老衰であれ、病気であれ、殺人であれ、自殺であれ、
死んだことを振り返ってみても、じんとこなくなった。

『イノチはおもちゃ』『イノチは物』『イノチは数』
それがヒトの深層心理。

「うるさいなぁ。お前、死ねばいいのに」
そう言われてホントに死んでしまうのが、今の人間。

「なんだ。また死んだのか」
それが、沸き起こる第一の感情。

人間は腐った。

かく言う私も、相当腐っている。

自殺に失敗した挙句、今は自殺を見届けているのだから。
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