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やさしい実力者

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ビビビビビビビビビビビビビッ。

ジェリーが外にでた後すぐに、鳴り響いた。


「ほぉ~、また飛んできおった!!急に活性化を活発にはじめよった…嫌な予感がしよる。」


ハンソウジョウホウ:ネーム:ゼシカ
      ハンソウポイント・イタリア
      ノウリョク・チュウキュウ+5
      MT・銀 カッセイタイプ・デンアツ

ハンソウジョウホウ:ネーム:チョン
      ハンソウポイント・イタリア
      ノウリョク・カキュウ-1
      MT・銅 カッセイタイプ・プレス


「ん?情報が2つきとるんじゃが。おぬしだけか?」
老人は不思議そうに問いかけた。

「にしても、おとなしく飛ばされてくればやつらも手をだすことはなかろうに…どうしてそんなに傷だらけなんじゃ?」


飛ばされてきたのは、一人…大きな手の印象的なモンスター。
ひどい傷で、手を握り締めたまま動かない。

「うぅ…」

「おぉ、気がついたのか?」

すると大きな手をゆっくり開きだした。
中から、傷ひとつなくすやすや眠っているモンスターがあらわれた。


「そこにいたのかい。さぁ今日からここが君たちの家だ、争いなんてものはない。何があったかわからんが安心しなさい。」



「うっ…あ、ありがとうございます。でも私はここからイタリアへ帰ります。」

「むっ!!何をいうんじゃ、この島は海に囲まれた無人島、まぁわしみたいな老いぼれは害もないだろうと、管理人としてとばされたがな。」

「それでも、絶対に帰ります。」

「この島から脱出したものはおりゃせんよ…かわいそうだが、あきらめなされ。」
(だが、この島へ飛ばされてくる子らにしては、こやつ…能力が高いな。)




―数日前・イタリア―

「なかなかいい部下が誕生したなぁ、ヒヒヒ。」

ラツィオ州・ローマ。

ここを統一しているモンスターの下でゼシカは誕生した。

「早速ためさせてもらおうか。このローマはまだまだ人間どもがアホ面して暮らしてやがる。どんどん消していってくれ。」


ゼシカはローマ侵略に使われていた。

「っう~ん、まったく人づかいの荒い上司だわぁ。」

「おぃ、見ろよ。おカマ口調の気味悪いのが歩いてる。」

「きぃ~!!聞こえてるわよ!!あんたたち。わたしはあんたたちを消すためにここに来たの!!張り倒しちゃうわよ!!」

「うっ!!うわぁ~!!!!逃げろっ!!」


「…っ。待って、な、何もしないわよ。…行っちゃった。」
ゼシカは人間を一人たりとも殺めはしなかった。



!!!!!!

「た、助けてくれ~!!!!!!!」
悲鳴と騒音がローマの街に響き渡る。

ゼシカは悲鳴のほうへ駆けつけた。


ゼシカと同じく派遣されたモンスターが暴れまわっている。

「人間ってやつぁ~、なんて弱いんだ!!糞だな。」

モンスターは次々と人を殺めていく。




ゼシカは気がつけば、そのモンスターを大きな手で押さえつけていた…

こんな事をしてただですまない事もわかっていた。


「ぐっ、何してやがる!!離せ!!!」
「おめぇ~、こんなマネしやがってどぉなるかわかってるのか?ボスに知れたら…」


ゼシカはあまりの恐怖に手をゆるめた。

「そういうこったぁ。ギヒヒ。この辺はあとこの家のじじぃとばばぁだけだ。」

モンスターは家を破壊しだした。

すると、老夫婦が外へ出てきた。

「もうやめてください!!お願いします。」
「じぃさん、モンスターもきっと心をこめて話せばわかってくれる、お願いしましょう。」

老夫婦はそう言うと、後ろに隠していたかわいらしいモンスターを見せた。

「この子はとてもやさしいいい子なんじゃ。わしが工場で働いていた時にうまれたんじゃ。おねがいです。同じモンスターならこの子だけは助けてやってはくれないか???」

「…ギヒヒ。わかったよ、じぃさん。同じモンスターとして仲良くしていくよ。」

「おぉ~、感謝する!!本当にありがとう!!!」

「ってことで、あんたらはサヨナラだねぇ~ギヒヒ。」
そう言うとモンスターは老夫婦を切り裂いた!!

「グハハハハハハッ!!!馬鹿すぎる、馬鹿すぎたぁ~!!…さっ、この子猫ちゃんも殺っちゃ・・・・・!!!!」




ゼシカは同志のモンスターを撃砕していた。

ただではすまない恐怖心。
しかし、それを上回った怒り。

震えて、かたまっている老夫婦のモンスターをゼシカはその大きな手でやさしく包み込んだ。

それから酷い罰をうけ、ゲートに飛ばされるまで。

一言も言葉を話さず。

握った手を決して開くことはなかった。
4

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