平和な世界のヒーロー(完結)
~プロローグ・ヒーロー誕生~
HERO.ヒーローとは直訳で「英雄」を意味する。
英雄とは才知・気力・武力に秀で、偉大な事業をなしとげる人の事だ。
俺は子供の頃、そんなヒーローに憧れていた。
しかし、俺の住む世界には本当はヒーローが居ない。
「ならば、俺がなってやる。」と決めた。
俺が考えるヒーローに最も近い職業「警察官」になろうと決めた。
俺は努力した。
悪と戦うには強くなければイケナイ!
そこで俺は様々な格闘技を習い、身体を鍛え、強くなった。
決めゼリフもバッチリ考えた。
しかし、俺は致命的に頭が良くなかった。
バカでは無い!頭が良くないのだ!
一度、大きな大学病院で診て貰った事もある。
診断の結果は「もう一生直らない」医師は残念そうに首を横に振った。
そんな訳で、俺は警察官に成れなかった。
そして、運命の雨の日。
俺は何回も試験に落ち、絶望と自暴自棄になっていた。
飲めない酒を飲み、最近建った高層マンションの屋上に行った。
絶望と自暴自棄、そして酒の勢いで俺は真っ直ぐフェンスに向かって歩いた。
この世界で聞こえる最後の音が聞こえる。
「ザー・・ズズッ・・・ザー・・ンンー!・・・」
強く降る雨音、俺が鼻をすする音、女性の呻く声・・・
俺は立ち止まった。
振り返ると、屋上の入り口に数人の男に抑えられている女性が見える。
「もう、俺には関係無い。俺に正義を行う資格は無い・・・」
一瞬、本気でそう思った。思ってしまった。
しかし、次の瞬間には思い直していた。
「最後くらい、ワガママにしても良いよな・・・」
そう思った時、既に俺は走っていた。
数人の男の内の一人が振り返る。
「どっせい!」
かけ声と共に、ヒーローの必殺技代表「跳び蹴り」炸裂。
男のアゴに命中。
少し吹っ飛んで、ダウン。
「んだ!?テメェ」男達は怒声をあげる。
俺はすぐに起きあがり、相手の人数を数える。
今、倒したのを抜かして・・・「7人」
格闘技を頑張っちゃった俺としても7人は少々無理がある。
しかし、命を捨てた俺には大した事は無かった。
「数人がかりで女性に暴行する悪党め!成敗してくれる。」
今迄の人生では使い処が無かった「キメゼリフ」言った後で軽い武者震いが俺に走る。
一人、また一人と男達を倒していく俺。
何発か貰ったが、本当にヒーローになった気分だ!
あと、一人。
殴り掛かろうとした時、最後の男が大きなナイフを取り出した。
一瞬、怯んでしまった。
ナイフと言えば、危険物。刺されればタダでは済まない。
「ふーーーーっ」
長い息を吐き出し、自分に言い聞かせる。
「ヒーローは恐れない、ヒーローは逃げ出さない、ヒーローは・・・死なない!」
ナイフを持った相手に飛びかかる。
視界の端に真っ直ぐ俺に向かってくるナイフが見える。
先に拳が届く様に歯を食いしばる。
俺の拳が相手に届いた時、胸に鋭い痛みが走る。
でも俺は相手に届いた拳を振り抜く事だけを考えていた。
カランッ、カラララ・・・ナイフが転がる音。
そして、俺の胸からは、心臓の鼓動に合わせて大量の血液が流れていた。
力が抜け、俺は倒れる。
首を動かすと、俺が助けた女性がこちらに向かってくるのが見えた。
俺は満足していた。
正義を行えずに捨てるつもりだった、この命最後に正義の為に使えたのだから・・・
近づいてきて、女性は言った。
「あなた、ヒーローになりませんか?」
俺はボヤッとする頭で意味が解らず黙っていた。
「この世界は危機に瀕しています。だからヒーロー募集中なんですよ。」
俺は、最後の力を振り絞り、無言で頷いた。
~次回予告~
ヒーローにも休日は有る。
給料も有るし、飯も食えば、トイレにも行く。
次回・ヒーローの休日 へ続く。
HERO.ヒーローとは直訳で「英雄」を意味する。
英雄とは才知・気力・武力に秀で、偉大な事業をなしとげる人の事だ。
俺は子供の頃、そんなヒーローに憧れていた。
しかし、俺の住む世界には本当はヒーローが居ない。
「ならば、俺がなってやる。」と決めた。
俺が考えるヒーローに最も近い職業「警察官」になろうと決めた。
俺は努力した。
悪と戦うには強くなければイケナイ!
そこで俺は様々な格闘技を習い、身体を鍛え、強くなった。
決めゼリフもバッチリ考えた。
しかし、俺は致命的に頭が良くなかった。
バカでは無い!頭が良くないのだ!
一度、大きな大学病院で診て貰った事もある。
診断の結果は「もう一生直らない」医師は残念そうに首を横に振った。
そんな訳で、俺は警察官に成れなかった。
そして、運命の雨の日。
俺は何回も試験に落ち、絶望と自暴自棄になっていた。
飲めない酒を飲み、最近建った高層マンションの屋上に行った。
絶望と自暴自棄、そして酒の勢いで俺は真っ直ぐフェンスに向かって歩いた。
この世界で聞こえる最後の音が聞こえる。
「ザー・・ズズッ・・・ザー・・ンンー!・・・」
強く降る雨音、俺が鼻をすする音、女性の呻く声・・・
俺は立ち止まった。
振り返ると、屋上の入り口に数人の男に抑えられている女性が見える。
「もう、俺には関係無い。俺に正義を行う資格は無い・・・」
一瞬、本気でそう思った。思ってしまった。
しかし、次の瞬間には思い直していた。
「最後くらい、ワガママにしても良いよな・・・」
そう思った時、既に俺は走っていた。
数人の男の内の一人が振り返る。
「どっせい!」
かけ声と共に、ヒーローの必殺技代表「跳び蹴り」炸裂。
男のアゴに命中。
少し吹っ飛んで、ダウン。
「んだ!?テメェ」男達は怒声をあげる。
俺はすぐに起きあがり、相手の人数を数える。
今、倒したのを抜かして・・・「7人」
格闘技を頑張っちゃった俺としても7人は少々無理がある。
しかし、命を捨てた俺には大した事は無かった。
「数人がかりで女性に暴行する悪党め!成敗してくれる。」
今迄の人生では使い処が無かった「キメゼリフ」言った後で軽い武者震いが俺に走る。
一人、また一人と男達を倒していく俺。
何発か貰ったが、本当にヒーローになった気分だ!
あと、一人。
殴り掛かろうとした時、最後の男が大きなナイフを取り出した。
一瞬、怯んでしまった。
ナイフと言えば、危険物。刺されればタダでは済まない。
「ふーーーーっ」
長い息を吐き出し、自分に言い聞かせる。
「ヒーローは恐れない、ヒーローは逃げ出さない、ヒーローは・・・死なない!」
ナイフを持った相手に飛びかかる。
視界の端に真っ直ぐ俺に向かってくるナイフが見える。
先に拳が届く様に歯を食いしばる。
俺の拳が相手に届いた時、胸に鋭い痛みが走る。
でも俺は相手に届いた拳を振り抜く事だけを考えていた。
カランッ、カラララ・・・ナイフが転がる音。
そして、俺の胸からは、心臓の鼓動に合わせて大量の血液が流れていた。
力が抜け、俺は倒れる。
首を動かすと、俺が助けた女性がこちらに向かってくるのが見えた。
俺は満足していた。
正義を行えずに捨てるつもりだった、この命最後に正義の為に使えたのだから・・・
近づいてきて、女性は言った。
「あなた、ヒーローになりませんか?」
俺はボヤッとする頭で意味が解らず黙っていた。
「この世界は危機に瀕しています。だからヒーロー募集中なんですよ。」
俺は、最後の力を振り絞り、無言で頷いた。
~次回予告~
ヒーローにも休日は有る。
給料も有るし、飯も食えば、トイレにも行く。
次回・ヒーローの休日 へ続く。
~ヒーローの休日~6月1日 場所:自宅 時刻13:15
正義の為に俺は死んだ。
死んだハズだった。
でも俺は生きている。
ヒーローをしている間だけは。(辞めたら死ぬらしいけど・・・)
昨日、ヒーローについての説明を受けた。
正確には、「㈲ヒーロー派遣会社」についてだ。
この会社は地球外の会社らしい。(信じられないが)
俺は机の上の書類を見た、それにはこう書いてある。
------------------------------------------------------------------------------------------
~待遇~
月給20万+歩合給(必要経費込み)
サポート人員付き(給料で養って下さい)
保険、年金、その他についてはご自身で掛けて下さい。
~ヒーロー変身システムについて~
基本的な能力は運動能力の向上、身体の耐久性の向上のみです。
実費にて他能力を付加します。
例・飛行機能、空気清浄機機能、浄水機能など。
※情報の受信、現場までのワープなどはサポート人員が行いますので、極力行動を共にして下さい。
------------------------------------------------------------------------------------------
なんか・・・日雇いの土方バイトみたいな待遇だな・・・。
昨日も説明を受けたが、改めてそう思った。
しかも、実費で能力付加って、金払った上で改造されんのかよ!
20万で2人暮らしって無理があるぞ・・・
その上、そのサポート人員が大飯食らいだし・・・
一食で俺の3倍近く食べる。
でも、いいんだ。
子供の頃から憧れのヒーローになれたのだから。
「う、ううん・・・」
お、宇宙人女が起きた、名前を聞いても日本語では発音出来なかったので、そう呼んでる。
コイツの地球での名前決めなきゃな・・・それより!
「おい、ヒーローに変身する方法を教えてくれ、俺の晴れ姿を見たいんだ!」
俺は興奮気味に宇宙人女に言った。
「あーねむっ!んー・・・ほれっ!」
宇宙人女は「グワ○」の形に指を折り曲げた。
「へー、それって本当にできるんだー」
俺が感心した瞬間、光が俺を包む。
漆黒のボディ、赤いマントが目に入る。
「おおっ!」俺は感嘆の声を上げた。
俺は興奮したまま、滅多に使わない全身鏡を引っ張り出す。
鏡に映った俺を見た瞬間、興奮は冷めた。
「か、カッコわりー・・・」
黄色くて大きな目、胸に光るみっつの金ボタン、赤いマントとピンクのスカーフの趣味が悪い。
なんか、ブリーフみたいなパンツだし・・・下級戦闘員のザコみたい・・・
「あの・・・すごく地味でカッコ悪いんですが・・・」
俺は宇宙人女に苦言を呈した。
「うん、ごめん・・・うちの会社も厳しくて・・・経費削減で来年こそは㈱にしようって・・・」
宇宙人女も下を向いたままで答える。
俺に悪いと思っているのかも・・・
「気にするな!俺はヒーローになれただけで満足だよ。」
そう言って、宇宙人女の肩に手を掛けた。
宇宙人女も俺の方を見て・・・言った。
「か、カッコ悪っ!」そう言って吹き出した。爆笑だ!
宇宙人女の爆笑で、俺の中の「なにか」が爆発した。
「あ、そうだ!お前の地球での名前決めたぞ・・・」
必死に笑いを堪え、目に涙を一杯に溜めた宇宙人女がこちらを見た。
「うん子でどうだ?いい名前だろ。お前にぴったしだ。」
俺はワザと変な名前の候補を上げてみた。
「うん子?うん!いい感じの語感・・・それに決めた!」
うん子は喜んでそう言った。
「えっ・・・それでいいの?」
俺は少し罪悪感を感じた。
「うん子・・・うん子かぁ・・・」
さっき迄の爆笑は消え、喜びの笑みが顔に溢れている。
「うん子、ゴメン・・・」
俺は心の中でつぶやいた。
~次回予告~
「ロリコンは脳の病気です」何処かで聞いた言葉。
犯罪チックな事でも考えているだけなら、まだ良い。
問題なのは「行動的なロリコン」だ!
成敗してくれる!でも男の痛みは男が一番解るのよ・・・
次回・男の痛みは生命の痛み へ続く。
正義の為に俺は死んだ。
死んだハズだった。
でも俺は生きている。
ヒーローをしている間だけは。(辞めたら死ぬらしいけど・・・)
昨日、ヒーローについての説明を受けた。
正確には、「㈲ヒーロー派遣会社」についてだ。
この会社は地球外の会社らしい。(信じられないが)
俺は机の上の書類を見た、それにはこう書いてある。
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~待遇~
月給20万+歩合給(必要経費込み)
サポート人員付き(給料で養って下さい)
保険、年金、その他についてはご自身で掛けて下さい。
~ヒーロー変身システムについて~
基本的な能力は運動能力の向上、身体の耐久性の向上のみです。
実費にて他能力を付加します。
例・飛行機能、空気清浄機機能、浄水機能など。
※情報の受信、現場までのワープなどはサポート人員が行いますので、極力行動を共にして下さい。
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なんか・・・日雇いの土方バイトみたいな待遇だな・・・。
昨日も説明を受けたが、改めてそう思った。
しかも、実費で能力付加って、金払った上で改造されんのかよ!
20万で2人暮らしって無理があるぞ・・・
その上、そのサポート人員が大飯食らいだし・・・
一食で俺の3倍近く食べる。
でも、いいんだ。
子供の頃から憧れのヒーローになれたのだから。
「う、ううん・・・」
お、宇宙人女が起きた、名前を聞いても日本語では発音出来なかったので、そう呼んでる。
コイツの地球での名前決めなきゃな・・・それより!
「おい、ヒーローに変身する方法を教えてくれ、俺の晴れ姿を見たいんだ!」
俺は興奮気味に宇宙人女に言った。
「あーねむっ!んー・・・ほれっ!」
宇宙人女は「グワ○」の形に指を折り曲げた。
「へー、それって本当にできるんだー」
俺が感心した瞬間、光が俺を包む。
漆黒のボディ、赤いマントが目に入る。
「おおっ!」俺は感嘆の声を上げた。
俺は興奮したまま、滅多に使わない全身鏡を引っ張り出す。
鏡に映った俺を見た瞬間、興奮は冷めた。
「か、カッコわりー・・・」
黄色くて大きな目、胸に光るみっつの金ボタン、赤いマントとピンクのスカーフの趣味が悪い。
なんか、ブリーフみたいなパンツだし・・・下級戦闘員のザコみたい・・・
「あの・・・すごく地味でカッコ悪いんですが・・・」
俺は宇宙人女に苦言を呈した。
「うん、ごめん・・・うちの会社も厳しくて・・・経費削減で来年こそは㈱にしようって・・・」
宇宙人女も下を向いたままで答える。
俺に悪いと思っているのかも・・・
「気にするな!俺はヒーローになれただけで満足だよ。」
そう言って、宇宙人女の肩に手を掛けた。
宇宙人女も俺の方を見て・・・言った。
「か、カッコ悪っ!」そう言って吹き出した。爆笑だ!
宇宙人女の爆笑で、俺の中の「なにか」が爆発した。
「あ、そうだ!お前の地球での名前決めたぞ・・・」
必死に笑いを堪え、目に涙を一杯に溜めた宇宙人女がこちらを見た。
「うん子でどうだ?いい名前だろ。お前にぴったしだ。」
俺はワザと変な名前の候補を上げてみた。
「うん子?うん!いい感じの語感・・・それに決めた!」
うん子は喜んでそう言った。
「えっ・・・それでいいの?」
俺は少し罪悪感を感じた。
「うん子・・・うん子かぁ・・・」
さっき迄の爆笑は消え、喜びの笑みが顔に溢れている。
「うん子、ゴメン・・・」
俺は心の中でつぶやいた。
~次回予告~
「ロリコンは脳の病気です」何処かで聞いた言葉。
犯罪チックな事でも考えているだけなら、まだ良い。
問題なのは「行動的なロリコン」だ!
成敗してくれる!でも男の痛みは男が一番解るのよ・・・
次回・男の痛みは生命の痛み へ続く。
~男の痛みは生命の痛み~ 8月12日 場所:自然公園、遭遇時刻16:20
自然公園、それは広い敷地に豊かな自然が溢れる地域住民の憩いの場。
しかし、隅々まで管理出来ない敷地の広さと、隠れるのに好都合な自然のせいで、
下劣で悪質な犯罪が後を絶たなかった。
「ねえねえ、ここは何が取れるの?」
木が生い茂った林の中で、2人組の少女に声を掛ける男。
そう、彼こそ犯罪人・ロリコン男なのだ。
「ねえ、何が取れるの?」
ロリコン男は質問を繰り返す。
「わ、解らないです・・・」
2人の少女は不審なロリコン男に戸惑っている。
「アメちゃん食べる?」
ロリコン男はポケットから半分溶けているアメを取り出した。
2人の少女は振り返って逃げ出した。
しかし、片方の少女はロリコン男に捕まってしまった。
「ねえ、何が取れるのか教えてくれるだけで良いんだよぅ」
「もっと、奥の方が良いの居そうだよ?」
ロリコン男はそう言って少女を林の奥で連れて行く。
そして、公園の遊歩道から見えない位、遠く迄来た時。
ロリコン男は鞄からデジカメとガムテープを取り出した。
それを見て、少女は逃げ出すが、腕を掴まれ、地面に倒された。
「ちょっと、我慢しててねー」
そう言って少女の口と手首にガムテープを貼る。
そして、ロリコン男は自分のズボンを脱いで下半身全裸になった。
「ふひひ・・・サーセン」
その状態で少女に一歩近づいた時!
「そこまでだ!」
林の中に声が響く。
ロリコン男は突然の声に驚き、辺りを見回す・・・が、誰も居ない。
「無垢は少女を追いかけ回し、自分の欲望を押し付ける変態め!」
「誰も許しはしないだろうが、この俺は特別許さん!」
セリフと共に何か上から落ちてきたが、砂埃で判別出来ない。
「黒いボディを輝かせ、白いパンツがトレードマーク、ピンクのスカーフなびかせて、
赤いマントを翻し、ローカルヒーロー。ただ今、見参!」
砂埃を払いながらキメ! 完璧だ・・・!
「な、何者だ!」
ロリコン男はデジカメを構えながら叫ぶ。
「ふふ、王道なセリフをありがとう。だが、俺は貴様の質問などには答えん!」
「くらえ!必殺! 棒ヤスリソード!」
~豆知識・棒ヤスリソード~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
その名の通り、棒ヤスリ。かなりの粗目なので、こすられると血が出る程痛い。
むしろ確実に血が出る。※普段は常備してません
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
棒ヤスリを構えて、ヒーローと名乗る男は飛び上がる。
「な、なにぃ・・・いきなり必殺かよ・・・」
ロリコン男は腕でガードをしながら言った。
「問答無用!奥義、ぽこ○んおろしぃー!」
キメのセリフと共にギザギザのヤスリを、
ロリコン男が無防備に露出し天を仰ぐ、「チ○コの先端」をかすめる。
「ギャオオォォォーーー!!!」
ロリコン男は頭に手を当てて叫ぶ。勿論、「チ○コの先端」からは血が流れている。
痛みの為かロリコン男のチ○コは萎縮し、防壁を上げる。
「今更防壁を上げても遅い!少女の味わった恐怖を思い知れ!」
棒ヤスリを股から上へと振り上げる。
「ビッ!」という音と共に、ロリコン男は倒れた。
「付き合うなら、同年代の女にしな・・・正攻法でなぁ!」
少女をグルグル巻きにしているガムテープを棒ヤスリソードで切り、逃がす。
「気を付けてな・・・」
少女の背中を見守りながら、小さな声で言う。
あと俺に出来る事は、この事件がトラウマにならない事を祈るだけだ・・・
「あー、もう。どーすんの?コレ?」
木陰から女が出てきた。
ヒーローのサポートをしてくれる専属サポート人員だ。
「幾ら最低な犯罪者だって、人間は殺しちゃダメって言ったでしょ?」
倒れている男を汚物を見る目で見ながら言う。
「いやいや、まだ死んでないから・・・」
棒ヤスリに付いている毛とか肉片やらと地面に擦り付けつつ弁解する。
「とりあえず救急車だな・・・」
今では少なくなった公衆電話で鼻をつまんで救急車を要請する。
それが、ヒーローのルール。
悪でも失われつつある命を無視できない。
そうして、一人の少女を助け、一つの悪がこの世から消えた。
~次回予告~
ついに、本来の敵。怪人出現。
その名は、怪人・マグロ男。水中を猛スピードで泳ぐ巨体を前に、
100Mクロールが精一杯のローカルヒーローはどうやって戦うのか?
次回、怪人・マグロ男 へ続く。
自然公園、それは広い敷地に豊かな自然が溢れる地域住民の憩いの場。
しかし、隅々まで管理出来ない敷地の広さと、隠れるのに好都合な自然のせいで、
下劣で悪質な犯罪が後を絶たなかった。
「ねえねえ、ここは何が取れるの?」
木が生い茂った林の中で、2人組の少女に声を掛ける男。
そう、彼こそ犯罪人・ロリコン男なのだ。
「ねえ、何が取れるの?」
ロリコン男は質問を繰り返す。
「わ、解らないです・・・」
2人の少女は不審なロリコン男に戸惑っている。
「アメちゃん食べる?」
ロリコン男はポケットから半分溶けているアメを取り出した。
2人の少女は振り返って逃げ出した。
しかし、片方の少女はロリコン男に捕まってしまった。
「ねえ、何が取れるのか教えてくれるだけで良いんだよぅ」
「もっと、奥の方が良いの居そうだよ?」
ロリコン男はそう言って少女を林の奥で連れて行く。
そして、公園の遊歩道から見えない位、遠く迄来た時。
ロリコン男は鞄からデジカメとガムテープを取り出した。
それを見て、少女は逃げ出すが、腕を掴まれ、地面に倒された。
「ちょっと、我慢しててねー」
そう言って少女の口と手首にガムテープを貼る。
そして、ロリコン男は自分のズボンを脱いで下半身全裸になった。
「ふひひ・・・サーセン」
その状態で少女に一歩近づいた時!
「そこまでだ!」
林の中に声が響く。
ロリコン男は突然の声に驚き、辺りを見回す・・・が、誰も居ない。
「無垢は少女を追いかけ回し、自分の欲望を押し付ける変態め!」
「誰も許しはしないだろうが、この俺は特別許さん!」
セリフと共に何か上から落ちてきたが、砂埃で判別出来ない。
「黒いボディを輝かせ、白いパンツがトレードマーク、ピンクのスカーフなびかせて、
赤いマントを翻し、ローカルヒーロー。ただ今、見参!」
砂埃を払いながらキメ! 完璧だ・・・!
「な、何者だ!」
ロリコン男はデジカメを構えながら叫ぶ。
「ふふ、王道なセリフをありがとう。だが、俺は貴様の質問などには答えん!」
「くらえ!必殺! 棒ヤスリソード!」
~豆知識・棒ヤスリソード~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
その名の通り、棒ヤスリ。かなりの粗目なので、こすられると血が出る程痛い。
むしろ確実に血が出る。※普段は常備してません
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
棒ヤスリを構えて、ヒーローと名乗る男は飛び上がる。
「な、なにぃ・・・いきなり必殺かよ・・・」
ロリコン男は腕でガードをしながら言った。
「問答無用!奥義、ぽこ○んおろしぃー!」
キメのセリフと共にギザギザのヤスリを、
ロリコン男が無防備に露出し天を仰ぐ、「チ○コの先端」をかすめる。
「ギャオオォォォーーー!!!」
ロリコン男は頭に手を当てて叫ぶ。勿論、「チ○コの先端」からは血が流れている。
痛みの為かロリコン男のチ○コは萎縮し、防壁を上げる。
「今更防壁を上げても遅い!少女の味わった恐怖を思い知れ!」
棒ヤスリを股から上へと振り上げる。
「ビッ!」という音と共に、ロリコン男は倒れた。
「付き合うなら、同年代の女にしな・・・正攻法でなぁ!」
少女をグルグル巻きにしているガムテープを棒ヤスリソードで切り、逃がす。
「気を付けてな・・・」
少女の背中を見守りながら、小さな声で言う。
あと俺に出来る事は、この事件がトラウマにならない事を祈るだけだ・・・
「あー、もう。どーすんの?コレ?」
木陰から女が出てきた。
ヒーローのサポートをしてくれる専属サポート人員だ。
「幾ら最低な犯罪者だって、人間は殺しちゃダメって言ったでしょ?」
倒れている男を汚物を見る目で見ながら言う。
「いやいや、まだ死んでないから・・・」
棒ヤスリに付いている毛とか肉片やらと地面に擦り付けつつ弁解する。
「とりあえず救急車だな・・・」
今では少なくなった公衆電話で鼻をつまんで救急車を要請する。
それが、ヒーローのルール。
悪でも失われつつある命を無視できない。
そうして、一人の少女を助け、一つの悪がこの世から消えた。
~次回予告~
ついに、本来の敵。怪人出現。
その名は、怪人・マグロ男。水中を猛スピードで泳ぐ巨体を前に、
100Mクロールが精一杯のローカルヒーローはどうやって戦うのか?
次回、怪人・マグロ男 へ続く。
~怪人・マグロ男~ 8月17日 場所:某海岸 遭遇時刻14:30
俺の名前は、深井 正義〈ふかい まさよし〉と言う。
怪しい女を助けたばっかりに、殺されてしまった。
その上、無理矢理に甦らせて戦わされている。
拒否は出来ない。
何故なら、俺は元々死んでいる為、ヒーローを辞めた瞬間。
死んでしまう訳だ。
拒否をする気はまったく無いが。
そして、俺をヒーローにした張本人が俺の部屋に勝手に住んでる女。
宇宙人・深井 うん子〈偽名、俺が命名した〉だ。
正義に燃える俺の心を利用して生ける屍にした会社の犬だ、極悪非道で残忍、大飯食らいの女。
どれ位、残忍かというと・・・
寝ている人の腹の上に自分の歳を考えずに飛び乗る位の残忍性だ。
経験者ならば解ると思う。小さな子供でも「あれ」は結構キツイ事を・・・
だが、ヒーローになった事を後悔はしていない。
何故なら、俺には正義の心が燃えているからだ。
そんな俺の闘いの日々を少しお見せしよう。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「すー・・・起っきろー!!」
ズン!腹に衝撃が走る。
何か重量物が胴体に落ちてきた様だ。
「ボキッ・・・ゴ、ゴリッ!」骨や関節が軋む音・・・
なんだ!?怪人の襲来か!
クソッ、アバラ骨2~3本ヤられた。
「誰だ!」俺は飛び起きて変身する。
すると、骨折程度の傷なら2~3秒で回復する。〈エネルギーを結構使うが〉
すると、目の前には、同居人の「うん子」が立っていた。
「おなかすいたー」
呆然とする俺。
これが、いつもの朝だ。
今朝は駅前の牛丼屋へ行く。
お前、牛丼と豚丼どっちが好き?うん子に聞く、答えは解っているが・・・
「両方!」うん子は即答した。
食券を買い、店員に渡す。
「えー、牛丼並一つ、大盛り一つ、豚丼大盛り一つでーす。」
店員が威勢の良い声を出して、調理場へ伝える。
俺達2人は注文を待ちながら、今日は何をするかを話し合った。
出動命令がなければ、仕事は無い事になる。
---------------------------------------------------------------------------------------
場所は変わり、某海岸。
夏休み中なので、海は大勢の人で賑わっている。
そんな平和な海岸に忍びよる、一つの不気味な影。
「へっへっへってぇ!・・・いてぇ!コラッ踏むな・・・ちょ・・・」
---------------------------------------------------------------------------------------
また場所は変わり、牛丼屋の前にて、
「今日は暑いし、とりあえず海でも行くか?」
俺は今日の過ごし方を提案する。
「あーっ!水着ギャルが見たいんでしょ?エロいんだからぁ~」
冷やかしてるつもりだろうが、「水着ギャル」って・・・
そのとき、「ピピピ、ピピピ、ピピピ・・・」携帯が3回鳴った。
出動の合図だ。
電話に出る必要は無い、鳴れば出動場所と被害状況が解る。らしい・・・。
場所は・・・海。
相手は怪人だ!?初めての怪人戦だ。
「行くよ!」うん子が俺の腕を掴み、物陰に行く。
相手の場所が正確に解れば、うん子は一瞬でワープできるらしい。
俺が目を開けると、海岸は大混乱だった。
悲鳴、泣き声、走ってる人、倒れてる人・・・
その中で、笑い声が響く・・・
怪人は、あいつかっ・・・へんっしん!
「そこまでだ!平和に遊ぶ人々に危害と混乱を与える怪人めっ」
「水着のギャルは海の華、○○(にゃんにゃん)××(ちょめちょめ)邪魔するヤツぁ俺が許さん!」
うん子のセンスの古さが移ってしまった様だ・・・それはさておき。
「海の平和も守る為、真夏にゃ辛い漆黒ボディ、黄色い目玉が悪を逃さんローカルヒーロー。」
「ただ今、見参!」
キメポーズもバッチリだ。
「ふん、やっと現れたか、邪魔者め・・・俺様は、怪人マグロ男様だーはっはっはっ」
マグロ男は反り返って笑う。
「自分の事を「怪人」とか「様」付けするマグロ男め、自分から動けっつーの!」
セリフと一緒に攻撃しようとしたが、人が多すぎて近づけない!
「そっちのマグロ男じゃねーっ!!ってマズい・・・呼吸が」
マグロ男は海に向かって走る。
「っふ~、はははローカルヒーロー、追って来いよ。」
「クソッ、俺はちょっとしか泳げないのに・・・えーい南無三!」
と言って海に飛び込む。
「ははははー、遅い遅い!」
マグロ男は自由自在に海中を泳ぎ、素早い攻撃を繰り出してくる。
息継ぎと防御で精一杯のローカルヒーロー。
ギリギリのところで、陸に上がる事が出来た。
「クソッ!マントが水を吸って重いっ」
マグロ男も陸に上がってくる。
「ふはははー早く決着を着けないと、俺の身が白ヤケするぞー」
「俺サイズだと時価300万はするぞー」と、元気だ。
「くそう、どうする・・・」
突然、頭の上に電球が光った。
「ひらめいた!」
魚は陸の上では遅い、疲れさせてやれば・・・勝機は有る!
「やーいマグロだとモテネーだろー」
「生臭いんだよ魚類が!」
挑発を繰り返しながら、海とは反対の方向に向かって走る。
「そっちのマグロじゃねーって言ってるだろー」
昔イジメられたのか、マグロ男は目に涙を溜めて追いかける。
炎天下の下、2分が経った時。
「ぐっ!」マグロ男は苦しみだした。
「く、海が遠い・・・罠に掛かったのか・・・」
マグロ男は倒れ、消えた。
どうやらエラ呼吸だったらしい。
「・・・俺の作戦通り、成敗!」
いつもの通り、闘いが終わったら、うん子が出てきた。
「今日は何だか古いイメージだったねー」
「ああ、だが恐ろしい相手だった。」
そうして、この世界から一つ危機が去った、頑張れローカルヒーロー、負けるな!ローカルヒーロー。
~次回予告~
悪事を働く赤い影。
その姿は、ローカルヒーローそっくり?
自分と同じ力を持った強敵出現。
次回・赤いスカーフは本物の証? へ続く。
俺の名前は、深井 正義〈ふかい まさよし〉と言う。
怪しい女を助けたばっかりに、殺されてしまった。
その上、無理矢理に甦らせて戦わされている。
拒否は出来ない。
何故なら、俺は元々死んでいる為、ヒーローを辞めた瞬間。
死んでしまう訳だ。
拒否をする気はまったく無いが。
そして、俺をヒーローにした張本人が俺の部屋に勝手に住んでる女。
宇宙人・深井 うん子〈偽名、俺が命名した〉だ。
正義に燃える俺の心を利用して生ける屍にした会社の犬だ、極悪非道で残忍、大飯食らいの女。
どれ位、残忍かというと・・・
寝ている人の腹の上に自分の歳を考えずに飛び乗る位の残忍性だ。
経験者ならば解ると思う。小さな子供でも「あれ」は結構キツイ事を・・・
だが、ヒーローになった事を後悔はしていない。
何故なら、俺には正義の心が燃えているからだ。
そんな俺の闘いの日々を少しお見せしよう。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「すー・・・起っきろー!!」
ズン!腹に衝撃が走る。
何か重量物が胴体に落ちてきた様だ。
「ボキッ・・・ゴ、ゴリッ!」骨や関節が軋む音・・・
なんだ!?怪人の襲来か!
クソッ、アバラ骨2~3本ヤられた。
「誰だ!」俺は飛び起きて変身する。
すると、骨折程度の傷なら2~3秒で回復する。〈エネルギーを結構使うが〉
すると、目の前には、同居人の「うん子」が立っていた。
「おなかすいたー」
呆然とする俺。
これが、いつもの朝だ。
今朝は駅前の牛丼屋へ行く。
お前、牛丼と豚丼どっちが好き?うん子に聞く、答えは解っているが・・・
「両方!」うん子は即答した。
食券を買い、店員に渡す。
「えー、牛丼並一つ、大盛り一つ、豚丼大盛り一つでーす。」
店員が威勢の良い声を出して、調理場へ伝える。
俺達2人は注文を待ちながら、今日は何をするかを話し合った。
出動命令がなければ、仕事は無い事になる。
---------------------------------------------------------------------------------------
場所は変わり、某海岸。
夏休み中なので、海は大勢の人で賑わっている。
そんな平和な海岸に忍びよる、一つの不気味な影。
「へっへっへってぇ!・・・いてぇ!コラッ踏むな・・・ちょ・・・」
---------------------------------------------------------------------------------------
また場所は変わり、牛丼屋の前にて、
「今日は暑いし、とりあえず海でも行くか?」
俺は今日の過ごし方を提案する。
「あーっ!水着ギャルが見たいんでしょ?エロいんだからぁ~」
冷やかしてるつもりだろうが、「水着ギャル」って・・・
そのとき、「ピピピ、ピピピ、ピピピ・・・」携帯が3回鳴った。
出動の合図だ。
電話に出る必要は無い、鳴れば出動場所と被害状況が解る。らしい・・・。
場所は・・・海。
相手は怪人だ!?初めての怪人戦だ。
「行くよ!」うん子が俺の腕を掴み、物陰に行く。
相手の場所が正確に解れば、うん子は一瞬でワープできるらしい。
俺が目を開けると、海岸は大混乱だった。
悲鳴、泣き声、走ってる人、倒れてる人・・・
その中で、笑い声が響く・・・
怪人は、あいつかっ・・・へんっしん!
「そこまでだ!平和に遊ぶ人々に危害と混乱を与える怪人めっ」
「水着のギャルは海の華、○○(にゃんにゃん)××(ちょめちょめ)邪魔するヤツぁ俺が許さん!」
うん子のセンスの古さが移ってしまった様だ・・・それはさておき。
「海の平和も守る為、真夏にゃ辛い漆黒ボディ、黄色い目玉が悪を逃さんローカルヒーロー。」
「ただ今、見参!」
キメポーズもバッチリだ。
「ふん、やっと現れたか、邪魔者め・・・俺様は、怪人マグロ男様だーはっはっはっ」
マグロ男は反り返って笑う。
「自分の事を「怪人」とか「様」付けするマグロ男め、自分から動けっつーの!」
セリフと一緒に攻撃しようとしたが、人が多すぎて近づけない!
「そっちのマグロ男じゃねーっ!!ってマズい・・・呼吸が」
マグロ男は海に向かって走る。
「っふ~、はははローカルヒーロー、追って来いよ。」
「クソッ、俺はちょっとしか泳げないのに・・・えーい南無三!」
と言って海に飛び込む。
「ははははー、遅い遅い!」
マグロ男は自由自在に海中を泳ぎ、素早い攻撃を繰り出してくる。
息継ぎと防御で精一杯のローカルヒーロー。
ギリギリのところで、陸に上がる事が出来た。
「クソッ!マントが水を吸って重いっ」
マグロ男も陸に上がってくる。
「ふはははー早く決着を着けないと、俺の身が白ヤケするぞー」
「俺サイズだと時価300万はするぞー」と、元気だ。
「くそう、どうする・・・」
突然、頭の上に電球が光った。
「ひらめいた!」
魚は陸の上では遅い、疲れさせてやれば・・・勝機は有る!
「やーいマグロだとモテネーだろー」
「生臭いんだよ魚類が!」
挑発を繰り返しながら、海とは反対の方向に向かって走る。
「そっちのマグロじゃねーって言ってるだろー」
昔イジメられたのか、マグロ男は目に涙を溜めて追いかける。
炎天下の下、2分が経った時。
「ぐっ!」マグロ男は苦しみだした。
「く、海が遠い・・・罠に掛かったのか・・・」
マグロ男は倒れ、消えた。
どうやらエラ呼吸だったらしい。
「・・・俺の作戦通り、成敗!」
いつもの通り、闘いが終わったら、うん子が出てきた。
「今日は何だか古いイメージだったねー」
「ああ、だが恐ろしい相手だった。」
そうして、この世界から一つ危機が去った、頑張れローカルヒーロー、負けるな!ローカルヒーロー。
~次回予告~
悪事を働く赤い影。
その姿は、ローカルヒーローそっくり?
自分と同じ力を持った強敵出現。
次回・赤いスカーフは本物の証? へ続く。
~赤いスカーフは本物の証?~8月20日 場所:自宅周辺 遭遇時刻11:00
平和に遊ぶ子供達が集う公園に奴は突然現れた。
「黒光りする、卑猥なボディ!真っ赤なスカーフ、マントと被る。この俺がヒーロー様だーっ!」
そう言ってヒーローはパンツからライターとロケット花火、爆竹を取り出した。
「ふふふ、さあ踊れぃ!」そう言って火を着ける。
「ピュ~・・ピュ~・ピュ~ゥ」花火は子供達を目掛けて発射された。
叫びながら、逃げ惑う子供達。
「はーははは!ヒーローは華麗に去るのさっ!」そう言い残し、ダッシュで逃げた。
・
・
・
「おばあさん、荷物重そうですねぇ。手伝いますよ。」
「安心して下さい。真っ赤なスカーフは本物のヒーローの証ですから」
真っ黒な身体に赤いマントとスカーフの男が老婆の荷物を持ち上げる。
「あら、すいませんねぇ」
老婆がそう言った瞬間。
「って誰がこんなモン持つか、嘘だボケェ!」
そう言ってハンマー投げ風に放り投げた。
老婆はその光景をポカンとした表情で見てた。
「はーはははは!簡単に人を信じるなよ!婆さん!」またダッシュで逃げる。
そんな事件が朝から多発していた。
勿論、うん子の耳にも、その報告が来る。
「・・・・うっ!」
うん子が頭を抑える。
「どうした?キーンときたのか?カキ氷は一気に食っちゃダメだぞ」
本物のヒーロー、正義〈まさよし〉は赤い色のカキ氷を食べながら言った。
「・・・くあ~、こんな罠があったとは。それより出動よ!」
涙目で、うん子は立ち上がった。
「えーと、場所は・・・家の前だ!」
うん子は玄関に向かって走る。
正義もうん子に続く。
勢い良くドアを開けると、そこには・・・。
子供の食べているお菓子を叩き落として、大笑いするローカルヒーローらしき姿があった。
「え!?」
正義とうん子はそれを見た瞬間思わず声が出た。
「他にも同じ形のヒーローっているのか?」
正義はうん子に聞いてみる。
「同じ形は居ないハズだけど・・・とりあえず、アイツ迷惑だし、やっつけましょう」
うん子は独断で決断した。
「よし!へ~んしんっ! シャキーン!」
効果音も自分の口で言う。
理由は無音だと寂しいから。
泣く子供を見て、大笑いしている謎のヒーローらしき人物の前に降り立つ。
「真っ赤なマントを翻し、ピンクのスカーフ目立たない。ローカルヒーローただ今、見参!」
キメゼリフを響かせる。
「お前、その格好で悪事するなよ、俺の評判が悪くなるだろ!」
偽ヒーローを指さし、注意する。
うん子が遅れて走ってきた。
「ホント、そっくりね・・・ん~、あっ!敵はスカーフしてないよっ!」
間違いを見つけ、うん子は喜んだ。
(いやいや、間違い探しじゃねーし・・・)
思わずツッコミを入れそうになった。
「ふふふ、スカーフはしている。よく見ろ!」
偽ヒーローは自慢げに言った。
「俺のスカーフは赤だ。 お前は何色だ?」
偽ヒーローに言われ、確かめる・・・
「ピンクだね・・・」うん子が言った。
「ああ、ピンクだな・・・」つられてローカルヒーローも言う。
「常識で考えろ、赤が本物!ピンクは偽物だ!(某ライダー参照)」
偽ヒーローは断言した。
「なあ、なんで俺のスカーフピンクなの?」
ローカルヒーローは不満気にうん子に聞いてみた。
「えっと、漂白してたら色が落ちちゃったの」
うん子はサラッと答えた。
「色物は漂白しちゃダメ!・・・ちくしょー!テメェのスカーフ俺が貰うぜ」
待遇の悪さにローカルヒーローはキレた。
「必殺!突然不意打ちデンジャラス延髄キーック!」
あっさり偽ヒーローの延髄に命中。
「ぐほっ!ほ、本物は俺だ・・・」
最後にそう言い残し、偽ヒーローは倒れ、消えた。
「コイツ怪人だったのか!?まあいい、俺は赤いスカーフが手に入れば・・・俺が本物だ。」
ローカルヒーローは上機嫌でスカーフを拾う。
(じゃあ、今まで偽物だったの・・・?)
うん子は唇を噛んだ。言いたい事を我慢して言わなかった。
何故なら王道過ぎるから・・・。
・
・
・
家に帰り、全身鏡で赤いスカーフを身につけた自分を見る。
「なんか、マントと色が被って見えにくいな・・・やっぱいらねぇ」
赤いスカーフをゴミ箱に入れる。
「ダメじゃない!そんな風に扱っちゃ。」
うん子が怒った様な声で言った。
(あ、そうか・・・怪人とはいえ俺が殺した命?だもんな・・・)
そう考え、謝ろうと思った。
「俺、間違ってたよ、うん子ごめって・・・なにしてんの?」
「ん?ジュースこぼしたから雑巾で拭いてるの」
手に持っているのは、怪人の赤いスカーフだ。
「え、でもそれって・・・」
正義はスカーフを指さして言った。
「だって、イラナイんでしょ?不要な布も雑巾にすれば有意義に使えるの!」
「無駄はダメだよっ!」
トマトジュースを拭いた後の赤いスカーフは血の涙を流している様だった。
「そっちで怒ってたのかよ・・・まあいいや、イラナイし・・・」
正義はうん子が無駄を嫌う性格だと知った。
そうして、危機はまた一つ去った。ローカルヒーローは近所の評判を取り戻す事が出来るのか?
~次回予告~
中小企業のヒーローの時代は終わった。
これからは大企業が一括してヒーロー業務を行う時代だ!
ヒーロー産業に効率化の波が押し寄せる
どうするローカルヒーロー!
次回・さらば、ローカルヒーロー! へ続く。
平和に遊ぶ子供達が集う公園に奴は突然現れた。
「黒光りする、卑猥なボディ!真っ赤なスカーフ、マントと被る。この俺がヒーロー様だーっ!」
そう言ってヒーローはパンツからライターとロケット花火、爆竹を取り出した。
「ふふふ、さあ踊れぃ!」そう言って火を着ける。
「ピュ~・・ピュ~・ピュ~ゥ」花火は子供達を目掛けて発射された。
叫びながら、逃げ惑う子供達。
「はーははは!ヒーローは華麗に去るのさっ!」そう言い残し、ダッシュで逃げた。
・
・
・
「おばあさん、荷物重そうですねぇ。手伝いますよ。」
「安心して下さい。真っ赤なスカーフは本物のヒーローの証ですから」
真っ黒な身体に赤いマントとスカーフの男が老婆の荷物を持ち上げる。
「あら、すいませんねぇ」
老婆がそう言った瞬間。
「って誰がこんなモン持つか、嘘だボケェ!」
そう言ってハンマー投げ風に放り投げた。
老婆はその光景をポカンとした表情で見てた。
「はーはははは!簡単に人を信じるなよ!婆さん!」またダッシュで逃げる。
そんな事件が朝から多発していた。
勿論、うん子の耳にも、その報告が来る。
「・・・・うっ!」
うん子が頭を抑える。
「どうした?キーンときたのか?カキ氷は一気に食っちゃダメだぞ」
本物のヒーロー、正義〈まさよし〉は赤い色のカキ氷を食べながら言った。
「・・・くあ~、こんな罠があったとは。それより出動よ!」
涙目で、うん子は立ち上がった。
「えーと、場所は・・・家の前だ!」
うん子は玄関に向かって走る。
正義もうん子に続く。
勢い良くドアを開けると、そこには・・・。
子供の食べているお菓子を叩き落として、大笑いするローカルヒーローらしき姿があった。
「え!?」
正義とうん子はそれを見た瞬間思わず声が出た。
「他にも同じ形のヒーローっているのか?」
正義はうん子に聞いてみる。
「同じ形は居ないハズだけど・・・とりあえず、アイツ迷惑だし、やっつけましょう」
うん子は独断で決断した。
「よし!へ~んしんっ! シャキーン!」
効果音も自分の口で言う。
理由は無音だと寂しいから。
泣く子供を見て、大笑いしている謎のヒーローらしき人物の前に降り立つ。
「真っ赤なマントを翻し、ピンクのスカーフ目立たない。ローカルヒーローただ今、見参!」
キメゼリフを響かせる。
「お前、その格好で悪事するなよ、俺の評判が悪くなるだろ!」
偽ヒーローを指さし、注意する。
うん子が遅れて走ってきた。
「ホント、そっくりね・・・ん~、あっ!敵はスカーフしてないよっ!」
間違いを見つけ、うん子は喜んだ。
(いやいや、間違い探しじゃねーし・・・)
思わずツッコミを入れそうになった。
「ふふふ、スカーフはしている。よく見ろ!」
偽ヒーローは自慢げに言った。
「俺のスカーフは赤だ。 お前は何色だ?」
偽ヒーローに言われ、確かめる・・・
「ピンクだね・・・」うん子が言った。
「ああ、ピンクだな・・・」つられてローカルヒーローも言う。
「常識で考えろ、赤が本物!ピンクは偽物だ!(某ライダー参照)」
偽ヒーローは断言した。
「なあ、なんで俺のスカーフピンクなの?」
ローカルヒーローは不満気にうん子に聞いてみた。
「えっと、漂白してたら色が落ちちゃったの」
うん子はサラッと答えた。
「色物は漂白しちゃダメ!・・・ちくしょー!テメェのスカーフ俺が貰うぜ」
待遇の悪さにローカルヒーローはキレた。
「必殺!突然不意打ちデンジャラス延髄キーック!」
あっさり偽ヒーローの延髄に命中。
「ぐほっ!ほ、本物は俺だ・・・」
最後にそう言い残し、偽ヒーローは倒れ、消えた。
「コイツ怪人だったのか!?まあいい、俺は赤いスカーフが手に入れば・・・俺が本物だ。」
ローカルヒーローは上機嫌でスカーフを拾う。
(じゃあ、今まで偽物だったの・・・?)
うん子は唇を噛んだ。言いたい事を我慢して言わなかった。
何故なら王道過ぎるから・・・。
・
・
・
家に帰り、全身鏡で赤いスカーフを身につけた自分を見る。
「なんか、マントと色が被って見えにくいな・・・やっぱいらねぇ」
赤いスカーフをゴミ箱に入れる。
「ダメじゃない!そんな風に扱っちゃ。」
うん子が怒った様な声で言った。
(あ、そうか・・・怪人とはいえ俺が殺した命?だもんな・・・)
そう考え、謝ろうと思った。
「俺、間違ってたよ、うん子ごめって・・・なにしてんの?」
「ん?ジュースこぼしたから雑巾で拭いてるの」
手に持っているのは、怪人の赤いスカーフだ。
「え、でもそれって・・・」
正義はスカーフを指さして言った。
「だって、イラナイんでしょ?不要な布も雑巾にすれば有意義に使えるの!」
「無駄はダメだよっ!」
トマトジュースを拭いた後の赤いスカーフは血の涙を流している様だった。
「そっちで怒ってたのかよ・・・まあいいや、イラナイし・・・」
正義はうん子が無駄を嫌う性格だと知った。
そうして、危機はまた一つ去った。ローカルヒーローは近所の評判を取り戻す事が出来るのか?
~次回予告~
中小企業のヒーローの時代は終わった。
これからは大企業が一括してヒーロー業務を行う時代だ!
ヒーロー産業に効率化の波が押し寄せる
どうするローカルヒーロー!
次回・さらば、ローカルヒーロー! へ続く。
~さらば、ローカルヒーロー~ 8月31日 場所:某山、登山道 時刻12:30
ヒーロー業務は出動要請が来なければ、休日と変わらない。
その為、ヒマ潰しに何処かへ出掛ける事も多い。
昨日は珍しく、うん子から言いだした。
「ねぇ、山に行った事ある?一度見てみたいなぁ・・・」
うん子は数日前から元気が無かった。
だから、俺は軽く元気付ける為にうん子を近場の山に連れて行く事にした。
2人で息を切らして、登山道を登って行く。
ただ頂上を目指す為に。
途中、どっしりとした石に並んで座り休憩した。
「はーっ疲れた。うん子、お茶飲むか?」
正義は水筒をリュックから出した。
「・・・・・・」
うん子からの返事は無い。
「どうした、気分でも悪いのか?」
うん子の顔を覗き込みながら正義は聞いた。
「あ、ううん何でも無い。お茶ちょーだい。」
無理に元気に振る舞っている様に見えた。
「さあ!目指せ頂上っ!」
うん子は立ち上がり、歩き始めた。
正義も続いて歩き出す。
途中、休憩を挟みながら登り続け。
やっと、頂上にたどり着いた。
山の頂上で気温はそれ程では無いが、夏の直射日光は暑く、身体中に汗が流れる。
「あー、あぢーよー。つかれたびーん!」
正義は設置してあるベンチの上で横になった。
うん子も正義と同じベンチに座った。
涼しい風が吹き、枝と葉が揺れる音がする・・・
「来て良かった」正義は思った。きっとうん子もそうに違いない。
その時、悲鳴と笑い声が聞こえた。
「何だ!?」正義は飛び起きた。
悲鳴の聞こえた方に行くと、男性が血を流し、倒れていた。
近くに女性も居る。
そして、怪人らしき大男も立っていた。
手には血の付いた棒が握られている。
「グガガ・・・どいつもこいつも最初から、こうすれば良いのだ!」
今までの怪人とは格が違いそうだ。
怪人は棒を振り上げた。
次は女性を殴るつもりか・・・?
「クソッ!間に合わない。」
正義は走ったが到底間に合いそうに無かった。
「そこまでだ!」
急に空から声が聞こえた。
正義は空を見上げる。
そこにはヒーローらしき3人組が浮いていた。
次の瞬間、3人組の内の一人が瞬時に怪人から棒を取り上げた。
さらに、もう一人が倒れている男性と怯える女性を助け出した。
最後の一人は正面から怪人と戦っていた。
結局、怪人の攻撃は一発も当たらず、2~3発のパンチで倒してしまった。
「強い・・・」
思わず正義の口からその言葉が漏れた。
「彼ら4000人が、今度からこの星と・・・全宇宙を守るヒーローよ」
正義が振り返ると、うん子が後ろに居た。
「じゃあ、仲間なんだな?」
正義の質問にうん子は首を横に振る。
「あなたは既に用済みの旧世代のヒーローなの・・・ここ3日程、出動命令も来てないでしょ?」
うん子は真面目な顔で言った。冗談では無い様だ。
「じゃあ、俺らはどうなるんだ?俺はヒーロー辞めたら死ぬんだろ!?」
正義は訳が解らず、混乱した。
「大丈夫。あなたは死なない・・・ちょっと眠って貰うだけだから・・・」
うん子はそう言って、小さな箱を取り出し、正義に向かって投げつけた。
箱が当たった瞬間に正義は消えた。
「ゴメンね・・・勝手で・・・」
小さな箱を見つめているうん子の横顔には汗に紛れて涙が流れた。
~次回予告~
ローカルヒーローは消えた。
代わりに出てきたのは新世代のヒーロー達。
圧倒的な力と数で平和を守る、正義のヒーロー達。
吸収統合されるヒーロー業界の中小企業達・・・
次回・本当の平和 へ続く。
ヒーロー業務は出動要請が来なければ、休日と変わらない。
その為、ヒマ潰しに何処かへ出掛ける事も多い。
昨日は珍しく、うん子から言いだした。
「ねぇ、山に行った事ある?一度見てみたいなぁ・・・」
うん子は数日前から元気が無かった。
だから、俺は軽く元気付ける為にうん子を近場の山に連れて行く事にした。
2人で息を切らして、登山道を登って行く。
ただ頂上を目指す為に。
途中、どっしりとした石に並んで座り休憩した。
「はーっ疲れた。うん子、お茶飲むか?」
正義は水筒をリュックから出した。
「・・・・・・」
うん子からの返事は無い。
「どうした、気分でも悪いのか?」
うん子の顔を覗き込みながら正義は聞いた。
「あ、ううん何でも無い。お茶ちょーだい。」
無理に元気に振る舞っている様に見えた。
「さあ!目指せ頂上っ!」
うん子は立ち上がり、歩き始めた。
正義も続いて歩き出す。
途中、休憩を挟みながら登り続け。
やっと、頂上にたどり着いた。
山の頂上で気温はそれ程では無いが、夏の直射日光は暑く、身体中に汗が流れる。
「あー、あぢーよー。つかれたびーん!」
正義は設置してあるベンチの上で横になった。
うん子も正義と同じベンチに座った。
涼しい風が吹き、枝と葉が揺れる音がする・・・
「来て良かった」正義は思った。きっとうん子もそうに違いない。
その時、悲鳴と笑い声が聞こえた。
「何だ!?」正義は飛び起きた。
悲鳴の聞こえた方に行くと、男性が血を流し、倒れていた。
近くに女性も居る。
そして、怪人らしき大男も立っていた。
手には血の付いた棒が握られている。
「グガガ・・・どいつもこいつも最初から、こうすれば良いのだ!」
今までの怪人とは格が違いそうだ。
怪人は棒を振り上げた。
次は女性を殴るつもりか・・・?
「クソッ!間に合わない。」
正義は走ったが到底間に合いそうに無かった。
「そこまでだ!」
急に空から声が聞こえた。
正義は空を見上げる。
そこにはヒーローらしき3人組が浮いていた。
次の瞬間、3人組の内の一人が瞬時に怪人から棒を取り上げた。
さらに、もう一人が倒れている男性と怯える女性を助け出した。
最後の一人は正面から怪人と戦っていた。
結局、怪人の攻撃は一発も当たらず、2~3発のパンチで倒してしまった。
「強い・・・」
思わず正義の口からその言葉が漏れた。
「彼ら4000人が、今度からこの星と・・・全宇宙を守るヒーローよ」
正義が振り返ると、うん子が後ろに居た。
「じゃあ、仲間なんだな?」
正義の質問にうん子は首を横に振る。
「あなたは既に用済みの旧世代のヒーローなの・・・ここ3日程、出動命令も来てないでしょ?」
うん子は真面目な顔で言った。冗談では無い様だ。
「じゃあ、俺らはどうなるんだ?俺はヒーロー辞めたら死ぬんだろ!?」
正義は訳が解らず、混乱した。
「大丈夫。あなたは死なない・・・ちょっと眠って貰うだけだから・・・」
うん子はそう言って、小さな箱を取り出し、正義に向かって投げつけた。
箱が当たった瞬間に正義は消えた。
「ゴメンね・・・勝手で・・・」
小さな箱を見つめているうん子の横顔には汗に紛れて涙が流れた。
~次回予告~
ローカルヒーローは消えた。
代わりに出てきたのは新世代のヒーロー達。
圧倒的な力と数で平和を守る、正義のヒーロー達。
吸収統合されるヒーロー業界の中小企業達・・・
次回・本当の平和 へ続く。
~本当の平和~ 10月1日 場所:元㈲ヒーロー派遣会社 時刻8:30
凶悪化する怪人達に対抗する為に新しいヒーロー部隊が結成され、もう一月以上が経った。
私達の会社も「㈱新ヒーロー会社」に吸収合併され、倒産の危機も去った。
旧世代のヒーロー達は永遠の眠りにつき、何処かで永久に保管される。
私達のローカルヒーローも一緒に。
一週間ほど前、怪人達が結集し、大型戦艦で攻撃を仕掛けて来た。
全宇宙の誰もが恐怖し、絶望した。
でも、新しいヒーロー部隊は違った。
勇敢に戦いを挑み、十数名の死者が出たが3日程で勝利した。
民間人の被害はゼロ。これは驚くべき事だ。
でも、私は素直に喜べなかった。
敵があれだけの大型戦艦を誰にも知られずに製造できた事が、
規模の組織である事を予想させるからだ。
「おい、お前。地球での任務の時、相方にウンコって呼ばれてたんだって?」
上司の男が話し掛けてきた。地球のニワトリっぽい形をしている。
「ええ、まあ」
仕事をしながら、素っ気なく答える。
「ウンコってのは、排泄物の事だぞ、担当のヒーローと仲が悪かったのか?」
私の肩に手を置き、馬鹿にした様な口調で囁く。
「休憩時間ですから、失礼します!」
私は席を立ち、部屋を出ていく。
私は勝手だ。
危ない所を助けて貰って、お礼も言ってない。
永遠に眠って貰う理由も説明して無い。
本当に勝手だ・・・謝りたい、お礼を言いたい。
でもそれは、恐らく叶う願いでは無い。
私は彼が今、何処に居るのかさえ知らないのだから。
だから、私は自分に出来る事をして、彼が願った平和を維持する。
それだけが、私にできる自己満足の恩返し。
考え事をしていたら、エレベーターのボタンを押し間違えた様だ。
扉が開いた場所は見た事の無い通路だった。
暗くて、赤いボヤッとした光が廊下を照らしている。
「こんな場所あったっけ?」
よく見ると、エレベーターの「行き先ボタン」の所に鍵が刺さっている。
「これのせいか・・・此処は管理用の場所なのかな?」
鍵をどうしようか迷った。
刺しっぱなしだと、不用心だし・・・
(奥に人が居れば、その人に渡しておこう)
そう考え、鍵を持って廊下を奥へ進む。
「・・・ギィィン・・・ヵァン・・・」何かの音が聞こえる。
誰か居るのかな?
廊下の突き当たりにドアがある。
数回ノックをしたが、返事は無かった。
仕方なく、ドアを開く。
ドアの先は明るかった。
私は目を疑った。
怪人達の戦艦だ、この前ニュースで見たばかりの戦艦。
間違い無い。
それも、1~2隻では無い。ざっと10隻近くは在る。
「まさか・・・此処が敵の本拠地!?」
私は逃げようとして、ドアに手を伸ばす・・・
しかし、勝手にドアはゆっくりと開き始めた。
振り返って走った。ドアが完全に開く前に。
しかし、後ろからは怒鳴り声と走ってくる足音が聞こえる。
「もう、終わりだ。ヒーロー達は全員何処かで眠っている。」
「新ヒーロー会社は実は怪人達の組織だった。」
つまり、この宇宙は怪人に支配されている。という事になる。
逃げながら、開いているドアを探す。
何処も鍵が掛かっている。
もう、そこまで追っ手が来ている。
最後の望みをかけ、ドアノブを回す。
開いた!
中に入り、内側から鍵を閉める。
深呼吸して息を整える。
ドアの内側は真っ暗だった。
携帯用万能ツールのライトで辺りを照らす。
物置の様だ。大量の段ボール箱がある。
近くに在る箱が開いていた。中に入っていたのは大量の小さな箱。
そう、ヒーロー達が眠っている小さな箱だ。
後ろで強くドアを叩く音がする。
状況は変わっていない。
此処には確かにヒーロー達がいる。
しかし、起こす方法が解らない。
ドアが無理矢理に開かれ、追っ手が入って来る。
逃げようとして、箱につまずいてしまった。ヒーロー達の箱が散らばる。
立ち上がって、逃げようとした。
「バキッ!」
足下から音がした。
音の先を見ると、小さな箱が壊れている。
踏みつぶしてしまった。
突然、箱から冷気が急に吹き出してきた。
「いてぇじゃねぇか・・・うん子・・・その起こし方は止めろよ」
冷気の煙の中に一人の影・・・
「俺とお前はパートナーだろ?今度からは隠し事は無しだ」
真っ黒な下級戦闘員の様な姿・・・
「うん・・・わかった」
たった一つの希望を見つけ、安堵の涙が止まらなかった。
うん子の返事にローカルヒーローは頷く。
追っ手達はローカルヒーローが起きた事で、逃げ出した。
「何があった?説明してくれ」
追っ手の後ろ姿を見ながら、ローカルヒーローは聞く。
うん子は、新しいヒーロー達が実は怪人の手先だった事、
本当のヒーロー達は全員封印されている事、最近の怪人の動向について話した。
「そうか・・・この箱の中にヒーロー達が・・・」
ローカルヒーローは箱を壊そうとしたが、ヒビすら入らない。
「あれ?私踏んだら壊れたのに・・・?」
うん子も不思議そうに言った。
「まあいい、本当のヒーローは一人で戦うものだ。」
ローカルヒーローは手を腰に当てて言った。
「なによ・・・それ・・・」
うん子はあきれた顔をした。
「さて、それじゃ「本当の平和」を取り戻しにいきますか!」
ローカルヒーローは歩き出した。
うん子もそれに続く。
「あ、そうだ!ゴメンな、ウンコって排泄物って意味なんだ」
ローカルヒーローは歩きながら言った。
「そんなの知ってたよ、私こそゴメン、助けてくれてありがとう。」
うん子は心からの「お礼」が言えた。
もう、2人の間に壁は無い。
全宇宙の命運はたった一人のヒーローに託された。
~次回予告~
目覚めたローカルヒーロー。
敵は新ヒーロー4000人+何体居るか解らない怪人達。
たった一人で勝機はあるのか!?
次回・ヒーローの危機 へ続く。
凶悪化する怪人達に対抗する為に新しいヒーロー部隊が結成され、もう一月以上が経った。
私達の会社も「㈱新ヒーロー会社」に吸収合併され、倒産の危機も去った。
旧世代のヒーロー達は永遠の眠りにつき、何処かで永久に保管される。
私達のローカルヒーローも一緒に。
一週間ほど前、怪人達が結集し、大型戦艦で攻撃を仕掛けて来た。
全宇宙の誰もが恐怖し、絶望した。
でも、新しいヒーロー部隊は違った。
勇敢に戦いを挑み、十数名の死者が出たが3日程で勝利した。
民間人の被害はゼロ。これは驚くべき事だ。
でも、私は素直に喜べなかった。
敵があれだけの大型戦艦を誰にも知られずに製造できた事が、
規模の組織である事を予想させるからだ。
「おい、お前。地球での任務の時、相方にウンコって呼ばれてたんだって?」
上司の男が話し掛けてきた。地球のニワトリっぽい形をしている。
「ええ、まあ」
仕事をしながら、素っ気なく答える。
「ウンコってのは、排泄物の事だぞ、担当のヒーローと仲が悪かったのか?」
私の肩に手を置き、馬鹿にした様な口調で囁く。
「休憩時間ですから、失礼します!」
私は席を立ち、部屋を出ていく。
私は勝手だ。
危ない所を助けて貰って、お礼も言ってない。
永遠に眠って貰う理由も説明して無い。
本当に勝手だ・・・謝りたい、お礼を言いたい。
でもそれは、恐らく叶う願いでは無い。
私は彼が今、何処に居るのかさえ知らないのだから。
だから、私は自分に出来る事をして、彼が願った平和を維持する。
それだけが、私にできる自己満足の恩返し。
考え事をしていたら、エレベーターのボタンを押し間違えた様だ。
扉が開いた場所は見た事の無い通路だった。
暗くて、赤いボヤッとした光が廊下を照らしている。
「こんな場所あったっけ?」
よく見ると、エレベーターの「行き先ボタン」の所に鍵が刺さっている。
「これのせいか・・・此処は管理用の場所なのかな?」
鍵をどうしようか迷った。
刺しっぱなしだと、不用心だし・・・
(奥に人が居れば、その人に渡しておこう)
そう考え、鍵を持って廊下を奥へ進む。
「・・・ギィィン・・・ヵァン・・・」何かの音が聞こえる。
誰か居るのかな?
廊下の突き当たりにドアがある。
数回ノックをしたが、返事は無かった。
仕方なく、ドアを開く。
ドアの先は明るかった。
私は目を疑った。
怪人達の戦艦だ、この前ニュースで見たばかりの戦艦。
間違い無い。
それも、1~2隻では無い。ざっと10隻近くは在る。
「まさか・・・此処が敵の本拠地!?」
私は逃げようとして、ドアに手を伸ばす・・・
しかし、勝手にドアはゆっくりと開き始めた。
振り返って走った。ドアが完全に開く前に。
しかし、後ろからは怒鳴り声と走ってくる足音が聞こえる。
「もう、終わりだ。ヒーロー達は全員何処かで眠っている。」
「新ヒーロー会社は実は怪人達の組織だった。」
つまり、この宇宙は怪人に支配されている。という事になる。
逃げながら、開いているドアを探す。
何処も鍵が掛かっている。
もう、そこまで追っ手が来ている。
最後の望みをかけ、ドアノブを回す。
開いた!
中に入り、内側から鍵を閉める。
深呼吸して息を整える。
ドアの内側は真っ暗だった。
携帯用万能ツールのライトで辺りを照らす。
物置の様だ。大量の段ボール箱がある。
近くに在る箱が開いていた。中に入っていたのは大量の小さな箱。
そう、ヒーロー達が眠っている小さな箱だ。
後ろで強くドアを叩く音がする。
状況は変わっていない。
此処には確かにヒーロー達がいる。
しかし、起こす方法が解らない。
ドアが無理矢理に開かれ、追っ手が入って来る。
逃げようとして、箱につまずいてしまった。ヒーロー達の箱が散らばる。
立ち上がって、逃げようとした。
「バキッ!」
足下から音がした。
音の先を見ると、小さな箱が壊れている。
踏みつぶしてしまった。
突然、箱から冷気が急に吹き出してきた。
「いてぇじゃねぇか・・・うん子・・・その起こし方は止めろよ」
冷気の煙の中に一人の影・・・
「俺とお前はパートナーだろ?今度からは隠し事は無しだ」
真っ黒な下級戦闘員の様な姿・・・
「うん・・・わかった」
たった一つの希望を見つけ、安堵の涙が止まらなかった。
うん子の返事にローカルヒーローは頷く。
追っ手達はローカルヒーローが起きた事で、逃げ出した。
「何があった?説明してくれ」
追っ手の後ろ姿を見ながら、ローカルヒーローは聞く。
うん子は、新しいヒーロー達が実は怪人の手先だった事、
本当のヒーロー達は全員封印されている事、最近の怪人の動向について話した。
「そうか・・・この箱の中にヒーロー達が・・・」
ローカルヒーローは箱を壊そうとしたが、ヒビすら入らない。
「あれ?私踏んだら壊れたのに・・・?」
うん子も不思議そうに言った。
「まあいい、本当のヒーローは一人で戦うものだ。」
ローカルヒーローは手を腰に当てて言った。
「なによ・・・それ・・・」
うん子はあきれた顔をした。
「さて、それじゃ「本当の平和」を取り戻しにいきますか!」
ローカルヒーローは歩き出した。
うん子もそれに続く。
「あ、そうだ!ゴメンな、ウンコって排泄物って意味なんだ」
ローカルヒーローは歩きながら言った。
「そんなの知ってたよ、私こそゴメン、助けてくれてありがとう。」
うん子は心からの「お礼」が言えた。
もう、2人の間に壁は無い。
全宇宙の命運はたった一人のヒーローに託された。
~次回予告~
目覚めたローカルヒーロー。
敵は新ヒーロー4000人+何体居るか解らない怪人達。
たった一人で勝機はあるのか!?
次回・ヒーローの危機 へ続く。
~ヒーローの危機~ 10月1日 場所:㈱新ヒーロー会社 時刻12:35
緊急警報! 緊急警報! 緊急警報!・・・
建物の中を警報が鳴り響く。
「俺の事かなぁ・・・?」
ローカルヒーローは辺りを見回して言った。
「どうする? 正面から戦ったら、たぶん負けるよ」
うん子はローカルヒーローに聞いた。
「ヒーローは負けないさ!」
拳を握り締め、自信に満ち溢れている。
「そう・・・」
根拠は無いだろう。
でも、不思議な安心感があった。
怪人の戦艦を作っている造船所まで戻ってきた。
「止まれ!抵抗するならば、強制排除する」
そこで、ついに新ヒーロー部隊に見つかった。
相手は5人。
「うん子・・・逃げろ」ローカルヒーローはうん子に囁く。
自分は正直、足手まといだと解っている。
「わかった・・・」素直に従う。
「1、2の・・・3っ!」
ローカルヒーローの合図に合わせて、うん子は走り出した。
エレベーターに駆け込み、一安心。
ローカルヒーローに素直に従ったのは「足手まとい」と言う理由だけでは無い。
ほぼ確実に、現状のローカルヒーローでは負けてしまう。
㈲ヒーロー派遣会社の残物に、まだ「機能拡張パーツ」が残っているはずだ。
エレベーターが1階ロビーに着いた時、警報は鳴って居なかった。
此処は表向きはヒーロー会社なんだ。
地下で怪人の組織が活動していると知ったら、協力してくれるだろうか・・・。
一瞬、協力を頼もうかと思ったが、やめた。
もし、協力して貰ってもヒーローが居ない私達は無力でしか無いからだ。
協力してもらうのは他のヒーローを解放した後でも遅くは無い。
その前に「ローカルヒーローが倒されてしまわなければ」の話しだが。
とりあえず、人気の無い場所に行かなければ、安全だろう。
ワザと人の後をついて行き、倉庫へ向かう。
部屋の中に入り、拡張パーツを探すが、ロクなパーツが無い。
見つけたのは、空気清浄機能、電話対応機能・・・。
「戦闘用の能力向上パーツは何処にあるの?」
口から出てくる言葉も「焦り」を含んでくる・・・
豪快に大きな箱をひっくり返した。
その中に、厳重にガムテープで巻かれている小さな箱を見つけた。
カッターナイフでテープを切って無理矢理に開ける。
中には戦闘用の機能拡張パーツが詰まっていた。
「コレを届ければ、少しは戦況がマシになるかも・・・」
うん子は機能拡張パーツを届ける為、造船所へと向かった。
-----------------------------------------------------------------------------
「旧世代のヒーローは、その程度か?」
ヒーロー隊員の一人が言った。
「クソッ!強い・・・せめて、飛んでなければ攻撃が当たるのに・・・」
ローカルヒーローは息を切らせながら身構える。
既にボロボロだ。
「あの星には弱い怪人しか送られなかったのも納得だ!」
明らかに遊んでいる。
性能差は歴然だった。
その時、声が聞こえた。
「ローカルヒーロー!」
うん子の声だ。
「なんで戻って来た!逃げろっ」
手で戻る様に合図する。
「ゴミが戻ってきたか、追う手間が省けたぜ・・・」
新ヒーローは、うん子に向けて怪人捕獲用のワイヤーアンカーを発射した、
アンカーはうん子の腹部に刺さり、新ヒーローに捕まってしまった。
うん子の腹からは赤い血が滲み出てきた。
「これを・・・」苦しそうにしながらも、ローカルヒーローに向かって何かを投げた。
うん子の投げた物を受け取る。
「これは、学生服の金ボタン?」
自分の胸元には3つの同じ様なボタンが有った。
一つを外し、付け替える。
外見は変わって無い。だが、雰囲気は違う。
ローカルヒーローは、静かに重傷のうん子を見据える。
「どうした?オンボロ」
ヒーロー隊員の一人が近寄った。
しかし、「まばたき」をした一瞬の間に、視界から消えた。
ローカルヒーローはうん子を捕まえていたヒーロー隊員を殴り飛ばしていた。
一撃でヒーロー隊員を倒してしまった。
素手でワイヤーを千切り、うん子を救出した。
殴られたヒーロー隊員は怪人と同じ様に、消えた。
「大丈夫か?うん子・・・」
ローカルヒーローは、うん子を優しく通路に寝かせた。
「私はヒーローのパートナーだよ。この位、平気よ・・・」
うん子の顔は既に青ざめている。
「直ぐに病院に連れて行くからな、少し待ってろ」
ローカルヒーローは新ヒーロー部隊へと向き直った。
残りは4人。
「時間が無いんだ、早く掛かって来い。」
ローカルヒーローは静かに言った。
~次回予告~
本来の能力を手に入れたローカルヒーロー。
目の前の敵は4人。
だが、後には4000人以上の敵が控えている。
そして、うん子の命は・・・。
次回・本当のヒーロー へ続く。
緊急警報! 緊急警報! 緊急警報!・・・
建物の中を警報が鳴り響く。
「俺の事かなぁ・・・?」
ローカルヒーローは辺りを見回して言った。
「どうする? 正面から戦ったら、たぶん負けるよ」
うん子はローカルヒーローに聞いた。
「ヒーローは負けないさ!」
拳を握り締め、自信に満ち溢れている。
「そう・・・」
根拠は無いだろう。
でも、不思議な安心感があった。
怪人の戦艦を作っている造船所まで戻ってきた。
「止まれ!抵抗するならば、強制排除する」
そこで、ついに新ヒーロー部隊に見つかった。
相手は5人。
「うん子・・・逃げろ」ローカルヒーローはうん子に囁く。
自分は正直、足手まといだと解っている。
「わかった・・・」素直に従う。
「1、2の・・・3っ!」
ローカルヒーローの合図に合わせて、うん子は走り出した。
エレベーターに駆け込み、一安心。
ローカルヒーローに素直に従ったのは「足手まとい」と言う理由だけでは無い。
ほぼ確実に、現状のローカルヒーローでは負けてしまう。
㈲ヒーロー派遣会社の残物に、まだ「機能拡張パーツ」が残っているはずだ。
エレベーターが1階ロビーに着いた時、警報は鳴って居なかった。
此処は表向きはヒーロー会社なんだ。
地下で怪人の組織が活動していると知ったら、協力してくれるだろうか・・・。
一瞬、協力を頼もうかと思ったが、やめた。
もし、協力して貰ってもヒーローが居ない私達は無力でしか無いからだ。
協力してもらうのは他のヒーローを解放した後でも遅くは無い。
その前に「ローカルヒーローが倒されてしまわなければ」の話しだが。
とりあえず、人気の無い場所に行かなければ、安全だろう。
ワザと人の後をついて行き、倉庫へ向かう。
部屋の中に入り、拡張パーツを探すが、ロクなパーツが無い。
見つけたのは、空気清浄機能、電話対応機能・・・。
「戦闘用の能力向上パーツは何処にあるの?」
口から出てくる言葉も「焦り」を含んでくる・・・
豪快に大きな箱をひっくり返した。
その中に、厳重にガムテープで巻かれている小さな箱を見つけた。
カッターナイフでテープを切って無理矢理に開ける。
中には戦闘用の機能拡張パーツが詰まっていた。
「コレを届ければ、少しは戦況がマシになるかも・・・」
うん子は機能拡張パーツを届ける為、造船所へと向かった。
-----------------------------------------------------------------------------
「旧世代のヒーローは、その程度か?」
ヒーロー隊員の一人が言った。
「クソッ!強い・・・せめて、飛んでなければ攻撃が当たるのに・・・」
ローカルヒーローは息を切らせながら身構える。
既にボロボロだ。
「あの星には弱い怪人しか送られなかったのも納得だ!」
明らかに遊んでいる。
性能差は歴然だった。
その時、声が聞こえた。
「ローカルヒーロー!」
うん子の声だ。
「なんで戻って来た!逃げろっ」
手で戻る様に合図する。
「ゴミが戻ってきたか、追う手間が省けたぜ・・・」
新ヒーローは、うん子に向けて怪人捕獲用のワイヤーアンカーを発射した、
アンカーはうん子の腹部に刺さり、新ヒーローに捕まってしまった。
うん子の腹からは赤い血が滲み出てきた。
「これを・・・」苦しそうにしながらも、ローカルヒーローに向かって何かを投げた。
うん子の投げた物を受け取る。
「これは、学生服の金ボタン?」
自分の胸元には3つの同じ様なボタンが有った。
一つを外し、付け替える。
外見は変わって無い。だが、雰囲気は違う。
ローカルヒーローは、静かに重傷のうん子を見据える。
「どうした?オンボロ」
ヒーロー隊員の一人が近寄った。
しかし、「まばたき」をした一瞬の間に、視界から消えた。
ローカルヒーローはうん子を捕まえていたヒーロー隊員を殴り飛ばしていた。
一撃でヒーロー隊員を倒してしまった。
素手でワイヤーを千切り、うん子を救出した。
殴られたヒーロー隊員は怪人と同じ様に、消えた。
「大丈夫か?うん子・・・」
ローカルヒーローは、うん子を優しく通路に寝かせた。
「私はヒーローのパートナーだよ。この位、平気よ・・・」
うん子の顔は既に青ざめている。
「直ぐに病院に連れて行くからな、少し待ってろ」
ローカルヒーローは新ヒーロー部隊へと向き直った。
残りは4人。
「時間が無いんだ、早く掛かって来い。」
ローカルヒーローは静かに言った。
~次回予告~
本来の能力を手に入れたローカルヒーロー。
目の前の敵は4人。
だが、後には4000人以上の敵が控えている。
そして、うん子の命は・・・。
次回・本当のヒーロー へ続く。
~本当のヒーロー~ 場所:㈱新ヒーロー会社医務室 時刻16:00
ピッ・・・ピッ・・・ピッ・・・。
定期的に電子音が鳴る。
この定期的な音が鳴っている間、うん子は生きている。
敵を倒し終わった時、既にうん子の意識は無かった。
急いで、ロビーまで上ったら医務室があったので、連れてきた。
「出血のショックで一時的に意識を失っているだけ」
医者はそう言ったが、此処は敵の本拠地。
うん子を一人には出来ない。
運び込んでから6時間が経った頃、うん子が目を覚ました。
「おい、大丈夫か?」
正義〈まさよし〉はうん子に声を掛けた。
「うん・・・もう・・・大丈夫」
うん子は起きあがった。
しかし正義は起きあがったうん子を無理矢理ベッドに寝かせた。
「まだ寝てろ、俺は戦って来る」正義は立ち上がった。
「待って、これが飛行機能のパーツだよ、私からのプレゼント」
うん子は潰れたリボン付きの箱を差し出した。
「コレ、高いんだよ・・・。貯金無くなっちゃった。」
うん子は弱々しく笑って言った。
「ありがとう、じゃあ俺は行って来る。」
そうして、正義は医務室を出た。
どう見ても、普通の会社のロビーだ。
うん子が言っていた。
此処で働いているのは元ヒーロー会社の社員ばかりだと・・・。
コイツらは敵の本拠地と知らずに働いているのか。
正義の心を踏みにじる敵を一層、許せなくなった。
エレベーターに乗り、上の階に向かう。
「チーン」到着した音がエレベーターの中に響く。
ゆっくりドアが開くと、一人の女が立っていた。
「お待ちしておりました。コチラへどうぞ」
無言で、女が歩く後を付いていく。
そして、大きなドアの前で立ち止まった。
「どうぞ、お入り下さい」と言って立ち止まった。
言われた通りにドアを開け、入る。
「やあ、待っていたよ。君が旧世代のヒーローかい?」
今度は一人の男が出迎えてくれた。
「お前が親玉か!?」
正義はローカルヒーローに変身する。
「ちょっと待て、話しを聞いてくれないか?」
男は椅子を勧める。
「悪党の話に興味は無い!」
ローカルヒーローは拳を握り締める。
「そうか・・・残念だ。」
男がそう言うと、天井や壁が開いた。
中には新ヒーロー部隊と怪人がぎっしりと入っていた。
「やれ」
男の一声に反応し、襲いかかって来る。
大量の敵を前に、子供の頃決めた三つのヒーローの心得を思い出した。
《一つ、ヒーローは恐れない。》
ローカルヒーローは怪人の足を掴み、振り回す。
「うおおぉぉ」ローカルヒーローは雄叫びを上げ、敵を倒し続ける。
親玉の男はタバコに火を付け、その闘いを見ていた。
地道に怪人と新ヒーロー部隊を倒していく。
そして、2時間後、立っているのは親玉の男をローカルヒーローだけだった。
「すごいな、250体はいたんだぞ」
男は拍手をしながら言った。
「うるせえ、まだまだだ!」
既にローカルヒーローはフラフラのボロボロだった。
「ははは、威勢が良いな。だが、気を抜くなよ残り6000体はいるぞ」
男は新しいタバコに火を付けて笑った。
「6000体でも10000体でも掛かってきやがれっ!」
《二つ、ヒーローは諦めない。》
「君は本当のヒーローなんだな、殺すには惜しいが、楯突くのならば容赦はしない」
男は新しい増援を呼んだ。
その時、後ろのドアの向こうで、女の声が聞こえた。
「ちょっと!今は・・・」
俺を案内してくれた秘書?の女の声だ。
そして、ドアが開いた。
立っていたのは、旧世代のヒーロー達と・・・うん子だった。
「お待たせ、ヒーローの仲間が来たよ」
うん子は手を振りながら言った。
子供の頃見た様な格好良いヒーロー達が大勢居る。
「俺達も戦わせてくれ」仲間の一人が言った。
「なんだよ・・・ずるいぞ、俺だけ下級戦闘員みたいな格好じゃねぇか・・・」
ボロボロのローカルヒーローの顔に笑みが浮かんだ。
ローカルヒーローは親玉の男に向き直り、指を差して言った。
「お前の兵隊が、あと1万体いようが10万体いようが関係ねぇ・・・」
ローカルヒーローは顔を上げて言った。
「勝つのは、俺達だ!」
そう、三つ目のヒーローの心得は《ヒーローは・・・死なない!》
~次回予告~
仲間を得たローカルヒーロー。
もう、希望は一つでは無い。
次回・最終決戦 へ続く。
ピッ・・・ピッ・・・ピッ・・・。
定期的に電子音が鳴る。
この定期的な音が鳴っている間、うん子は生きている。
敵を倒し終わった時、既にうん子の意識は無かった。
急いで、ロビーまで上ったら医務室があったので、連れてきた。
「出血のショックで一時的に意識を失っているだけ」
医者はそう言ったが、此処は敵の本拠地。
うん子を一人には出来ない。
運び込んでから6時間が経った頃、うん子が目を覚ました。
「おい、大丈夫か?」
正義〈まさよし〉はうん子に声を掛けた。
「うん・・・もう・・・大丈夫」
うん子は起きあがった。
しかし正義は起きあがったうん子を無理矢理ベッドに寝かせた。
「まだ寝てろ、俺は戦って来る」正義は立ち上がった。
「待って、これが飛行機能のパーツだよ、私からのプレゼント」
うん子は潰れたリボン付きの箱を差し出した。
「コレ、高いんだよ・・・。貯金無くなっちゃった。」
うん子は弱々しく笑って言った。
「ありがとう、じゃあ俺は行って来る。」
そうして、正義は医務室を出た。
どう見ても、普通の会社のロビーだ。
うん子が言っていた。
此処で働いているのは元ヒーロー会社の社員ばかりだと・・・。
コイツらは敵の本拠地と知らずに働いているのか。
正義の心を踏みにじる敵を一層、許せなくなった。
エレベーターに乗り、上の階に向かう。
「チーン」到着した音がエレベーターの中に響く。
ゆっくりドアが開くと、一人の女が立っていた。
「お待ちしておりました。コチラへどうぞ」
無言で、女が歩く後を付いていく。
そして、大きなドアの前で立ち止まった。
「どうぞ、お入り下さい」と言って立ち止まった。
言われた通りにドアを開け、入る。
「やあ、待っていたよ。君が旧世代のヒーローかい?」
今度は一人の男が出迎えてくれた。
「お前が親玉か!?」
正義はローカルヒーローに変身する。
「ちょっと待て、話しを聞いてくれないか?」
男は椅子を勧める。
「悪党の話に興味は無い!」
ローカルヒーローは拳を握り締める。
「そうか・・・残念だ。」
男がそう言うと、天井や壁が開いた。
中には新ヒーロー部隊と怪人がぎっしりと入っていた。
「やれ」
男の一声に反応し、襲いかかって来る。
大量の敵を前に、子供の頃決めた三つのヒーローの心得を思い出した。
《一つ、ヒーローは恐れない。》
ローカルヒーローは怪人の足を掴み、振り回す。
「うおおぉぉ」ローカルヒーローは雄叫びを上げ、敵を倒し続ける。
親玉の男はタバコに火を付け、その闘いを見ていた。
地道に怪人と新ヒーロー部隊を倒していく。
そして、2時間後、立っているのは親玉の男をローカルヒーローだけだった。
「すごいな、250体はいたんだぞ」
男は拍手をしながら言った。
「うるせえ、まだまだだ!」
既にローカルヒーローはフラフラのボロボロだった。
「ははは、威勢が良いな。だが、気を抜くなよ残り6000体はいるぞ」
男は新しいタバコに火を付けて笑った。
「6000体でも10000体でも掛かってきやがれっ!」
《二つ、ヒーローは諦めない。》
「君は本当のヒーローなんだな、殺すには惜しいが、楯突くのならば容赦はしない」
男は新しい増援を呼んだ。
その時、後ろのドアの向こうで、女の声が聞こえた。
「ちょっと!今は・・・」
俺を案内してくれた秘書?の女の声だ。
そして、ドアが開いた。
立っていたのは、旧世代のヒーロー達と・・・うん子だった。
「お待たせ、ヒーローの仲間が来たよ」
うん子は手を振りながら言った。
子供の頃見た様な格好良いヒーロー達が大勢居る。
「俺達も戦わせてくれ」仲間の一人が言った。
「なんだよ・・・ずるいぞ、俺だけ下級戦闘員みたいな格好じゃねぇか・・・」
ボロボロのローカルヒーローの顔に笑みが浮かんだ。
ローカルヒーローは親玉の男に向き直り、指を差して言った。
「お前の兵隊が、あと1万体いようが10万体いようが関係ねぇ・・・」
ローカルヒーローは顔を上げて言った。
「勝つのは、俺達だ!」
そう、三つ目のヒーローの心得は《ヒーローは・・・死なない!》
~次回予告~
仲間を得たローカルヒーロー。
もう、希望は一つでは無い。
次回・最終決戦 へ続く。
~最終決戦~ 場所:㈱新ヒーロー会社、社長室 時刻:不明
「もう勝負は付いた。大人しく降参しろ」
ローカルヒーローは親玉の男を指差して言った。
「・・・・・・くくく・・・ふはははははは!」
親玉の男は沈黙の後、急に笑い出した。
誰も、何も言わなかった。
「お前達の数はせいぜい200人だが、コチラは残り6000体はいるんだぞ・・・」
男はタバコに火を付けて言った。
「勝負にならないだろう?」
さっきと同じだ。
壁や天井から敵が出て、一斉にヒーロー達に襲いかかった。
「うおおおおおおおおおぉぉぉぉ!!」
ヒーロー達の声が響き、最後の闘いが始まった。
勿論、ローカルヒーローも闘いに混じる。
15分程経った時、一人のヒーローが言いだした。
「あれ?ボスは何処言行った?」
何処にも居ない。
敵に紛れて逃げたようだ。
「追いかけろ、ローカルヒーロー!」
誰かが言った。
反対するヤツは居なかった。
「今回はお前が一番頑張ったんだ、オイシイとこ持ってけよ!」
背中を叩かれた。
「・・・解った!後は頼む」
ローカルヒーローは部屋を出て、エレベーターに向かって走った。
うん子が後を追いかける。
「無理するな!休んでろ」
ローカルヒーローは振り向いて言った。
「私達はパートナーでしょ、安心して。足手まといに為らない様に注意するから」
走っているが、辛そうだ。
だが、今はペースを合わせてあげられない。
宇宙の運命が掛かっているから。
エレベーターに乗り、地下へ降りる。
推測だが、敵は戦力の殆どをあの部屋に集めたハズだ。
そうなったら後の戦力は、あの戦艦しか無い。
エレベーターが、地下に到着した事を知らせるベルが鳴り、ドアが開く。
「手当たり次第にさがすぞ、うん子!」
周辺を見回しながらローカルヒーローが言う。
無言で頷くうん子。
おかしい・・・戦艦が動いた形跡は無い。
何処かに隠れているのか?
考えていると、全ての戦艦が動いた。
正確には、戦艦の下に更に巨大な戦艦が格納してあった様だ。
発進用のカタパルトが開いていく・・・。
「逃がすかっ!!」
ローカルヒーローは巨大な戦艦に向かって飛んだ。
ハッチを壊し、中に入る。
うん子を置いて来てしまった。一人で大丈夫だろうか?
そして、戦艦は外に向かって動いていく。
---------------------------------------------------------------------------------
「ふははははは・・・哀れなヒーロー諸君!」
突然、声が響いた。
戦っていたヒーロー達が外を見る。
外には、巨大な戦艦がコチラに向いている。
「何だあれ!? あんなに巨大な戦艦は見たことが無いぞ・・・」
ヒーロー達も流石に硬直した。
再び声が響く。
「闘いは私の勝ちだ!」
そう言った直後、戦艦からの砲撃が始まった。
社長室に居たヒーローや敵の兵隊、秘書に向けて。
「ふははははは」
崩れ落ちていく社長室を見て、男は笑った。
手元に残った兵士は乗り組み員の40人程。
だが、ヒーローは殆ど全滅だろう。
生きている者も瀕死、又は重傷・・・勝った。
そう男は確信した。
その時、操舵室の中に声が響いた。
「正義の心を踏みにじり、味方の命も軽視する、宇宙を騙す悪党め!」
「この、ローカルヒーローが成敗してくれるっ!」
操舵室のドアが開き、ローカルヒーローが姿を現す。
「くそっ!何処から入りやがった。お前ら、やれっ!」
操舵室に居た手下に命令する。
命令通りに動く「兵隊達」が襲ってきた。
「ザコは・・・引っ込んでろっ!!」
ローカルヒーローは静かに言い、数十秒で敵を倒してしまった。
「そんな・・・俺が・・・いや、そんな訳無い。俺が負ける訳・・・」
男は焦り始めた。本当は自分が負けた事を解っているのだろう。
あえて、すぐに倒さずに質問をした。
「一つ聞く。アンタは子供の頃、ヒーローに憧れた事は無かったのか?」
ローカルヒーローはうつむきながら、聞いた。
「あ、憧れてたよ。ヒーローに・・・ヒーローを・・・」
男は足下に転がっていたワイヤーアンカーを拾いながら、言った。
「ヒーローを殺す事になぁっ」
男はうつむいているローカルヒーローに向かってワイヤーアンカーを発射した。
アンカーは真っ直ぐにローカルヒーローに向かって飛んでいく。
「そうか・・・残念だ」
アンカーを手で受け止め、顔を上げる。
「は、ははは・・・助けてくれよ、なあヒーローなんだろ? な?」
男は命乞いを始めた。
ローカルヒーローは無言で男に近づいた。
そして・・・・・。
----------------------------------------------------------------------------
巨大な戦艦は地上に落ちて、動きを止めた。
俺達は勝ったのだ。
悪の手から宇宙の平和を取り戻したんだ。
「おーい!ローカルヒーロー!」
うん子だ。良かった、無事だった様だ。
「うん子!大丈夫か?他のヒーローは?」
ローカルヒーローも戦艦の砲撃の様子を見ていたので、答えは大体予測出来た。
「全員無事!砲撃での怪我人は無し」
うん子は笑顔で言った。
「やっぱりな! そうだと思ったよ」
2人は顔を見合わせて笑った。
そうして、大きな危機は去った。
数週間後・・・。
ヒーロー達は元の場所へ帰り、㈱新ヒーロー会社に統合されていた会社も、
元の会社に戻ってしまった。
うちの会社も、経営難のちっぽけな会社に戻りました。
社長は不満そうだったけど・・・
私の会社にはローカルヒーローはもう居ません。
今日付けで、全宇宙の平和を守る、
連合宇宙軍に表彰と特別入隊許可を貰うハズだからです。
それも、いきなり大尉からという超特別待遇です。
「世界を救ったヒーロー」が欲しいって・・・
私はテレビを点けた。
宇宙軍長官とローカルヒーローが映っている。
偉そうな人が、テレビの中で言った。
「君に、「英雄」の称号を与える。そして、特別に連合宇宙軍の入隊を許可する。」
長官が証書を読み上げ、それをローカルヒーローに渡す。
カタカタした動きで証書を受け取っている。
緊張しちゃってるのかな?
「面白い動き方・・・」私は笑いながら独り言を言った。
しかし、証書をじ~っと見ていたローカルヒーローは突然、証書を破った。
テレビの中でも、ざわめきが起こる。
「折角ですが、辞退します」
ローカルヒーローは続けて言った。
「俺達は称号の為に戦っているのではありません」
「それと、既に俺達はHEROですから」
そう言って、ローカルヒーローは式場を後にした。
私はテレビを消して立ち上がった。
「社長、仕事に行ってきます。」
荷物をまとめながら挨拶をする。
「何処に行くの?」
社長は首を傾げ言った。
「決まってるじゃないですか!担当のヒーローの所ですよ!」
私はドアを開け、2人で過ごしたアパートへと向かう。
ローカルヒーローには、サポートが必要だから。
~次回予告~
大きな悪は消えた。
正義の勝利! そして、いつもの日常は続く。
次回・正義のヒーロー へ続く。
「もう勝負は付いた。大人しく降参しろ」
ローカルヒーローは親玉の男を指差して言った。
「・・・・・・くくく・・・ふはははははは!」
親玉の男は沈黙の後、急に笑い出した。
誰も、何も言わなかった。
「お前達の数はせいぜい200人だが、コチラは残り6000体はいるんだぞ・・・」
男はタバコに火を付けて言った。
「勝負にならないだろう?」
さっきと同じだ。
壁や天井から敵が出て、一斉にヒーロー達に襲いかかった。
「うおおおおおおおおおぉぉぉぉ!!」
ヒーロー達の声が響き、最後の闘いが始まった。
勿論、ローカルヒーローも闘いに混じる。
15分程経った時、一人のヒーローが言いだした。
「あれ?ボスは何処言行った?」
何処にも居ない。
敵に紛れて逃げたようだ。
「追いかけろ、ローカルヒーロー!」
誰かが言った。
反対するヤツは居なかった。
「今回はお前が一番頑張ったんだ、オイシイとこ持ってけよ!」
背中を叩かれた。
「・・・解った!後は頼む」
ローカルヒーローは部屋を出て、エレベーターに向かって走った。
うん子が後を追いかける。
「無理するな!休んでろ」
ローカルヒーローは振り向いて言った。
「私達はパートナーでしょ、安心して。足手まといに為らない様に注意するから」
走っているが、辛そうだ。
だが、今はペースを合わせてあげられない。
宇宙の運命が掛かっているから。
エレベーターに乗り、地下へ降りる。
推測だが、敵は戦力の殆どをあの部屋に集めたハズだ。
そうなったら後の戦力は、あの戦艦しか無い。
エレベーターが、地下に到着した事を知らせるベルが鳴り、ドアが開く。
「手当たり次第にさがすぞ、うん子!」
周辺を見回しながらローカルヒーローが言う。
無言で頷くうん子。
おかしい・・・戦艦が動いた形跡は無い。
何処かに隠れているのか?
考えていると、全ての戦艦が動いた。
正確には、戦艦の下に更に巨大な戦艦が格納してあった様だ。
発進用のカタパルトが開いていく・・・。
「逃がすかっ!!」
ローカルヒーローは巨大な戦艦に向かって飛んだ。
ハッチを壊し、中に入る。
うん子を置いて来てしまった。一人で大丈夫だろうか?
そして、戦艦は外に向かって動いていく。
---------------------------------------------------------------------------------
「ふははははは・・・哀れなヒーロー諸君!」
突然、声が響いた。
戦っていたヒーロー達が外を見る。
外には、巨大な戦艦がコチラに向いている。
「何だあれ!? あんなに巨大な戦艦は見たことが無いぞ・・・」
ヒーロー達も流石に硬直した。
再び声が響く。
「闘いは私の勝ちだ!」
そう言った直後、戦艦からの砲撃が始まった。
社長室に居たヒーローや敵の兵隊、秘書に向けて。
「ふははははは」
崩れ落ちていく社長室を見て、男は笑った。
手元に残った兵士は乗り組み員の40人程。
だが、ヒーローは殆ど全滅だろう。
生きている者も瀕死、又は重傷・・・勝った。
そう男は確信した。
その時、操舵室の中に声が響いた。
「正義の心を踏みにじり、味方の命も軽視する、宇宙を騙す悪党め!」
「この、ローカルヒーローが成敗してくれるっ!」
操舵室のドアが開き、ローカルヒーローが姿を現す。
「くそっ!何処から入りやがった。お前ら、やれっ!」
操舵室に居た手下に命令する。
命令通りに動く「兵隊達」が襲ってきた。
「ザコは・・・引っ込んでろっ!!」
ローカルヒーローは静かに言い、数十秒で敵を倒してしまった。
「そんな・・・俺が・・・いや、そんな訳無い。俺が負ける訳・・・」
男は焦り始めた。本当は自分が負けた事を解っているのだろう。
あえて、すぐに倒さずに質問をした。
「一つ聞く。アンタは子供の頃、ヒーローに憧れた事は無かったのか?」
ローカルヒーローはうつむきながら、聞いた。
「あ、憧れてたよ。ヒーローに・・・ヒーローを・・・」
男は足下に転がっていたワイヤーアンカーを拾いながら、言った。
「ヒーローを殺す事になぁっ」
男はうつむいているローカルヒーローに向かってワイヤーアンカーを発射した。
アンカーは真っ直ぐにローカルヒーローに向かって飛んでいく。
「そうか・・・残念だ」
アンカーを手で受け止め、顔を上げる。
「は、ははは・・・助けてくれよ、なあヒーローなんだろ? な?」
男は命乞いを始めた。
ローカルヒーローは無言で男に近づいた。
そして・・・・・。
----------------------------------------------------------------------------
巨大な戦艦は地上に落ちて、動きを止めた。
俺達は勝ったのだ。
悪の手から宇宙の平和を取り戻したんだ。
「おーい!ローカルヒーロー!」
うん子だ。良かった、無事だった様だ。
「うん子!大丈夫か?他のヒーローは?」
ローカルヒーローも戦艦の砲撃の様子を見ていたので、答えは大体予測出来た。
「全員無事!砲撃での怪我人は無し」
うん子は笑顔で言った。
「やっぱりな! そうだと思ったよ」
2人は顔を見合わせて笑った。
そうして、大きな危機は去った。
数週間後・・・。
ヒーロー達は元の場所へ帰り、㈱新ヒーロー会社に統合されていた会社も、
元の会社に戻ってしまった。
うちの会社も、経営難のちっぽけな会社に戻りました。
社長は不満そうだったけど・・・
私の会社にはローカルヒーローはもう居ません。
今日付けで、全宇宙の平和を守る、
連合宇宙軍に表彰と特別入隊許可を貰うハズだからです。
それも、いきなり大尉からという超特別待遇です。
「世界を救ったヒーロー」が欲しいって・・・
私はテレビを点けた。
宇宙軍長官とローカルヒーローが映っている。
偉そうな人が、テレビの中で言った。
「君に、「英雄」の称号を与える。そして、特別に連合宇宙軍の入隊を許可する。」
長官が証書を読み上げ、それをローカルヒーローに渡す。
カタカタした動きで証書を受け取っている。
緊張しちゃってるのかな?
「面白い動き方・・・」私は笑いながら独り言を言った。
しかし、証書をじ~っと見ていたローカルヒーローは突然、証書を破った。
テレビの中でも、ざわめきが起こる。
「折角ですが、辞退します」
ローカルヒーローは続けて言った。
「俺達は称号の為に戦っているのではありません」
「それと、既に俺達はHEROですから」
そう言って、ローカルヒーローは式場を後にした。
私はテレビを消して立ち上がった。
「社長、仕事に行ってきます。」
荷物をまとめながら挨拶をする。
「何処に行くの?」
社長は首を傾げ言った。
「決まってるじゃないですか!担当のヒーローの所ですよ!」
私はドアを開け、2人で過ごしたアパートへと向かう。
ローカルヒーローには、サポートが必要だから。
~次回予告~
大きな悪は消えた。
正義の勝利! そして、いつもの日常は続く。
次回・正義のヒーロー へ続く。
~正義のヒーロー~ 1月1日 場所:自宅 時刻0:00
ゴォ~ン!
108つ目の鐘が鳴った。
「あけましておめでとう」
お互いに挨拶をする。
その後、2人揃って神社で初詣。
神社で貰った暖かい甘酒を飲みながら、俺は、あの闘いの事を思い出していた。
結局、親玉の男は終身刑に決まったらしい。
恐らく、出て来られないだろう。
俺はあの男を殺さなかった。
その代わり、変身を解いた状態で思いっきり殴った。
ヒーロー状態じゃ無いとはいえ、俺も格闘技をやっていたし結構痛いだろう。
どうしても許せなかった。
他のヒーロー達も生きてるかな・・・
あの闘いを生き残った奴等だからな、そう簡単には倒れないか?
「なあ、そろそろ【うん子】っての止めないか?」
俺はうん子に提案した。
「ん? うーん・・・いいよ、このままで」
うん子はいつも断る。
「でもさ・・・」俺が言いかけた時。
「正義がつけてくれた名前じゃん!私は気に入ってるの」
うん子は笑顔で言った。
「ピピピ、ピピピ、ピピピ・・・」携帯が3回鳴った。
出動だ!
「元旦なのに・・・仕方ない、行くぞ!うん子」
2人は走る。被害者を出さない為、そして悪事を行わせない為に。
-----------------------------------------------------------------------------
「こんな夜中に出歩いちゃ危ないよぉ。お兄さんが家まで送ってあげる」
一人の男が2人の少女に近づいていく・・・
「そこまでだ!」
「地域の平和を守る為!ローカルヒーローただ今、見参!」
「覚悟しろ!悪党め」
~未来予告~
悪は無くならない。
いつか、大きな悪も必ず現れる。
でも、きっと大丈夫!
いつでも悪が居る様に、ヒーローも必ず居るから。
- 平和な世界のヒーロー 完 -
ゴォ~ン!
108つ目の鐘が鳴った。
「あけましておめでとう」
お互いに挨拶をする。
その後、2人揃って神社で初詣。
神社で貰った暖かい甘酒を飲みながら、俺は、あの闘いの事を思い出していた。
結局、親玉の男は終身刑に決まったらしい。
恐らく、出て来られないだろう。
俺はあの男を殺さなかった。
その代わり、変身を解いた状態で思いっきり殴った。
ヒーロー状態じゃ無いとはいえ、俺も格闘技をやっていたし結構痛いだろう。
どうしても許せなかった。
他のヒーロー達も生きてるかな・・・
あの闘いを生き残った奴等だからな、そう簡単には倒れないか?
「なあ、そろそろ【うん子】っての止めないか?」
俺はうん子に提案した。
「ん? うーん・・・いいよ、このままで」
うん子はいつも断る。
「でもさ・・・」俺が言いかけた時。
「正義がつけてくれた名前じゃん!私は気に入ってるの」
うん子は笑顔で言った。
「ピピピ、ピピピ、ピピピ・・・」携帯が3回鳴った。
出動だ!
「元旦なのに・・・仕方ない、行くぞ!うん子」
2人は走る。被害者を出さない為、そして悪事を行わせない為に。
-----------------------------------------------------------------------------
「こんな夜中に出歩いちゃ危ないよぉ。お兄さんが家まで送ってあげる」
一人の男が2人の少女に近づいていく・・・
「そこまでだ!」
「地域の平和を守る為!ローカルヒーローただ今、見参!」
「覚悟しろ!悪党め」
~未来予告~
悪は無くならない。
いつか、大きな悪も必ず現れる。
でも、きっと大丈夫!
いつでも悪が居る様に、ヒーローも必ず居るから。
- 平和な世界のヒーロー 完 -