「若者よ、悩んでいるようだね」
神女が小便に行った後、相も変わらず俺がブランコの上で黄昏ていると、おっさんが声をかけてきた。
何故か和服姿の凄くうさん臭いおっさんだ。
「今世界で俺ほど悩んでいる人は居ないでしょうね」
でも俺は誰かに愚痴りたい気分だったので、おっさんに返事をしていた。
世界の終わり。
誰もが一度は想像した事があるだろう。
例えば隕石が落ちて来るとか。
例えば核戦争で地球が滅ぶとか。
しかしまさか、自分がおっぱいが揉めないせいで世界が滅ぶ事になるとは、誰が予想できようか。
「うんうん、頑張ったね。人生の先輩からのアドバイスだ」
胡散臭いおっさんが更に胡散臭い事を言う。
「君は今、とても強いだろう?」
俺は固まった。
待て。何故知っている。
「その強さを利用すればいいんだよ。囲まれている女の子のところに飛び込み、颯爽と悪者をやっつける。女の子は君にメロメロという算段さ」
「おお、それは素晴らしい! そうかその手があったか!」
俺は思わず立ち上がった。
おっさんは胡散臭すぎるが、しかしその案の方は素晴らしく魅力的だ。
助けるどさくさにまぎれておっぱいを揉むってのもありだよな。
素晴らしすぎる。
「ちょうどここらをまっすぐ行くと、人通りの少なくて女性がよく絡まれるスポットがあるんだよ」
おっさんが道を指差す。そして手を振って去っていった。
俺は何度も何度も手を振ってありがとうと伝えた。
「さあ行くぞ! ついて来い!」
俺はトイレから出てきた神女にやる気満々で吠えた。
「? いやにやる気満々だな」
きょとんとする神女をよそに、俺はおっさんの言った場所に向けて駆け出した。