「離してください!」
なんという幸運だろうか。
俺は小躍りしたくなったね。
裏通りを適当に走ってきたら、とてもわかり易い構図に出くわした、
不良っぽい男三人が、学校帰りっぽい女の子を囲んでいる。
「私用事が」
「そんな事言わずにさあ、俺達と遊ぼうぜ」
女の子は完全に嫌がって泣きそうな顔をしており、男どもはそれを見て嫌らしく喜んでいる。
悪趣味なナンパそのものだ。
「なるほど。考えたの」
神女が俺の狙いを悟ってか、うんうんと頷く。
そう、ここで俺が飛び込んで助ければ、フラグ成立間違いなしだ!
俺は張り切って女の子の前に飛び込んだ。
「やめろ! そこまでだ悪者め!」
「なんだおまえ」
「鋼パンチ!」
俺の拳が有無を言わせず不良Aを吹き飛ばす。ちゃんと手加減はしたが、それでも不良Aは数メートル吹っ飛んで、ごはっと血を吐いてぴくぴく痙攣した。
「な、なんだおま」
「鋼キック!」
俺の蹴りが不良Bを吹き飛ばす。不良Bは不良Aに重なって倒れた。
「そいつらを連れてとっとと失せろ!」
俺はびしっとクールに残った不良Cに言ってやる。不良Cはびびりまくりながら、二人を引きずって去っていった。俺はそれを尻目に、精一杯かっこいい顔を作って後ろの絡まれていた女の子に振り向いた。
「大丈夫でしたか、お嬢さん?」