20
夜。
ぶーらぶーらとブランコで俺は揺れていた。
「ふぅ」
あれから絡まれてる女の子捜して練り歩いたものの、そんな幸運が何回も続く訳も無く、完全な空振りで終わった。
何気なく腕時計を見ると、もう22時だ。世界が終わるまで二時間弱。
『何がしたいんですか!? 人を馬鹿にしてるんですか!?』
頬をぶった後で、眼鏡っ子のあの子が言った台詞が何か胸に突き刺さったままだ。彼女は少し泣いていた気もする。
そりゃ真面目そうな子だしなぁ。いきなり告白されたりなんだりされたら、ショックでかかったろうなぁ。
「なんかもう嫌だよ。疲れたよ」
「諦めるのか? なら滅ぼすが」
神女が容赦ない事を言う。俺はぶんぶんと首を振って拒絶した。
「まだ諦めてねーし!! 俺は逆転の太郎って二つ名があるくらい逆境に強い男だし!!!」
「ならばもっと足掻け。それが我ら神の娯楽となる」
娯楽。娯楽か。ひでぇもんだ。今すぐにでも滅ぼすとか、ルールとかもいい加減すぎる。こいつらにとって結局この世界ってのはその程度のもんなんだろう――
そこで閃く。そうだ。娯楽だ。娯楽なのだ。
後は確認だ。
「なあ、世界を滅ぼすって具体的にどう滅ぼすんだ?」
「そうだの。おまえら人間の言葉で言うなら、隕石をぶつけてこの星を砕く。すべての生き物ごとな」
それは何とも都合がいい。
「例えばだけど、その隕石を人間が何とか防御して生き延びるとするじゃないか。そしたらまた滅ぼすの?」
「それはそれで面白いの。人間如きの力でそんな事が出来るなら、逆に見所があるので生かしてやるわ」
神女は高笑いした。
そうか。やっぱりそうだ。ただのお遊びなんだ。人間なんか滅んでも滅びなくてもいい。
今すぐにでも滅ぼすみたいな事を言ってる辺り、ルールなんかも適当なもんなんだ。
面白ければそれでいいんだろう。
なら道はあるな。
「なあ、やっぱり諦めるよ。俺もう疲れたし、あと一時間とか悩むのも苦痛だわ。とっとと隕石落としてくれ」
「いいのか?」
「でも当然、能力はちゃんと今日一日つけてくれよな? 世界が終わるとしても、まだ一日は終わらないんだから」