さて。
俺はごきごきと首をならした。
突如上空に現れた巨大隕石で、世界は大パニックだ。
何せ地球より隕石の方がでかいってんだからどうしようもない。ぶつかれば地球はお陀仏だ。
「神様容赦ねぇなぁ……」
これからの事を思うと気が滅入る。
気が滅入って仕方ない。
何せ世界が滅ぶ――のを止めに、あの隕石を止めに行かなきゃならないんだから。
鋼の肉体やらの力は凄まじい。
その気になれば空だって飛べるだろう。
隕石だって弾き返せるかもしれない。
この力で隕石を跳ね返してやる。
それが俺の狙いだった。
神女は俺の考えに気づいていたのかいなかったのか。
偉そうに準備に入ると行ってどっかに行った。邪魔も冷やかしもない分、非常にやりやすいというものだ。
「さて、行くか」
「こっちだよ」
俺が飛び上がろうとしたまさにその時、横から声がかかる。
驚いて振り向くと、先程あった怪しいおっさんだった。
「そこから飛ぶのは位置が悪い。ここからだ。ここから飛びたまえ」
おっさんは俺の居る場所より、数歩手前を指差して言う。これだけの距離で何が変わると言うんだろう。
いや、それより何故このおっさん、まるで俺が何をしようとしているか知っている口調なんだ。
「僕を信じてくれないか。ここから飛べば、世界は間違いなく救われる」
まあ飛ぶ位置なんてどうでもいいし、おっさんの事をいちいち詮索している暇もない。
「わかったよ。ここから飛ぶから、帰ってきたら理由聞かせろよ」
俺はおっさんにそれだけ言ってから、跳んだ。