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2話「憂鬱と僕」

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 2日が経って、来週になった。夏休みに本格的に突入した。
 僕は、夏休みが嫌いだ。なぜかというと、暑いし、人がとても恋しくなって、寂しくなるからだ。
ちなみに、僕は友達なんていない。クラスで休み時間にたまに話す「だけ」の関係の奴なら2、3人いるけど、そいつらと
一回とて学校以外で会ったこともない。昼休みに一緒に昼食さえとったこともない。
 だから、僕はいつも学校で孤独だ。昼食を一緒にとる人もいない。いや、それだけならまだいいほうなんだけど、最近は
同じクラスの女子が僕の席を使いたがるから嫌だ。クラスの女子たちは楽しいランチタイムかもしれない。でも僕はちっともそんな
楽しい気分じゃない。作業的に昼ごはんを食べて、さっさと図書室にでも行って、読みたくもないけど多少の興味はある本を、
図書室の仕切りのしてあるいくつかのテーブルがあるところで、受験勉強をしてる生徒のように熱心に読まなければならないのだ。
そこまで考えて、僕はひどい憂鬱が夏休み初日から襲ってきそうなので考えるのをやめた。
 
 好きなゲームのことを考えよう。まだ妹の「姉さん」が来るまで時間があるしね。
 好きなゲーム。僕はシンプルだけど奥深いゲームが好きだ。たとえば、テトリスとか。だから、トランプも大好きだ。
一緒にやる相手なんていないけどね。そういえば、yahooの無料ゲームで大富豪をしていたころがあったのを思い出した。
でも、対戦相手が大富豪をろくにやらずに「年齢教えて」とか「性別教えて」と言ってくるのでやめた。
それでなくても、人と話すのは得意じゃないのに……。

 まだ「姉さん」が来るまで時間がある。何をしよう。ゲームをするのは、いつも最後は虚しさが襲ってくるので最近はやめてる。
だから、することがない。勉強なんてする気力もない。暇だ。パソコンをつけようとしたけど、暑い。
らくがきをしてみようと思ったけど、描いた絵が下手すぎて泣きそうになると思うのでやめた。することがない。暇だ。

 暇といえばそうだ、僕はここ何年か、少なくともここ2年間はずっと暇だ。することがない。
 やりたいゲームも、やりつくした。やりこみ系のゲームもすべてやりこんだ。人と会話するスキルはないから、チャットはしない。
mixiもしない。掲示板にも行かない。絵チャットとかお絵かき系のところは、自分が描いた絵が下手すぎて、余計に日々の不安が募るのでしない。
ないない尽くしである。ないない尽くしの人生を送ってきたのだ。だから、常にいらいらしてて、寂しかったりするのだ。ちくしょうめ。

 こう、自室に閉じこもって一人で考えていると、結局は自分の日常について考えてしまう。それで憂鬱になってしまうのだ。
それが僕は嫌いだった。時計の針を見てみると、午後4時を指していた。僕は歓喜した。

 もうすぐ妹の言う「姉さん」が家に来るのだ!
 女の子に、間近で会うことができるのだ! しかも夏休みに!
 しかも、2泊3日だ! 

 興奮度が最高潮に高まった。それから10分くらいしてインターホンが鳴った。それを母親が愛想よく出迎えた。しかも高い声で。
 そして数分後、僕の部屋がノックされた。

 「はじめまして。妹さんのいうお姉さん、の佐藤です。三日間お世話になることになりました。
  よろしくお願いします」

 僕は、思わずドアを開けた。すると、ドアの横に「姉さん」が立っていた。

 年は同じくらいで、ワインレッドのTシャツを着ていた。下はジーパンを短くしたようなものだった。薄い青色をしていた。
 肝心の顔…はというと、まあ美人であった。少なくとも妹よりはかわいい!
 肩まである長い髪で、ふわっとしているように思えた。目は黒。どこか鬱っぽいような目が僕のタイプだった。
 加えて丸メガネをしていたので、もう、まるで僕の好みの女の子を絵に描いたようだった。僕の好みの女の子の姿そのものであった。

 あまりにも、な興奮で僕は顔を赤らめてしまったらしい。体が熱い。

 「じゃあお風呂入ってきますねーおばさんー」

と、姉さんじゃなくて「佐藤さん」。そのあと、佐藤さんは風呂に入ったらしい。僕は思わず、脱衣所の下着を物色しそうになったが、
流石にそれは変態的な行動であるから、やめた。そして僕は興奮を治めるために、自室へ戻った。
 
 それから、気がつけば夕食の時間だった。どうやら僕はあのあとちょっと寝てしまったらしい。時刻は7時で、佐藤さんの
「ごはんですよー」
で目が覚めた。飛ぶように起きた。ばっちり、目は冴えていた。

 それから、夕食の時間になった。夕食の時の佐藤さんは、オレンジと白のしましまのTシャツを着ていた。かわいかった。下はよく見ていない。
僕は佐藤さんばかり見ていたので、食べ物をこぼしてばかりだった。
それを見て、佐藤さんが笑う。ふきなさいよと言わんばかりに、ティッシュを一枚僕にくれた。
 僕は今までものを「同級生」から「普通」にもらう経験がなかったから、余計に佐藤さんに好意をいだいた。
好意といっても、決して恋愛感情ではないし、どうせ恋愛感情にも発展しない。僕の過去からの経験から容易にそう判断できた。
いい人だなぁー、という意味での好意であった、それをいだいたのだ。
夕食が終わり、佐藤さんは妹の部屋で寝ることになった。佐藤さんが妹の部屋に到着する前に妹の部屋をちょっと確認してきたけど、
妹の部屋は本当にきれいに、人が布団をしけるほどきれいになっていた。ちょっと安心した。

 それから、僕は風呂に入ったあと、珍しくテレビを見た。NHKでは「若者の対人関係について」という題目の番組がやっていた。
僕は心が痛くなった。だから、さっさと自室に閉じこもってやろうと思った。その日、僕はすぐに布団に入った。
今日は珍しくいい夢が見れそうな気がした。ものすごい睡魔に襲われた。今日は寝たのが早かったと思う。
 夏休みの僕にしては、濃い一日だった……。

 
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